【3372】 ○ 西村 直哉 『成果・イノベーションを創出する ダイバーシティ・マネジメント大全 (2020/10 クロスメディア・パブリッシング) ★★★★

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ダイバーシティを企業の活力に。部下ミュニケーションの部分が具体性があった。

ダイバーシティ・マネジメント大全.jpg成果・イノベーションを創出する ダイバーシティ・マネジメント大全』['20年]

 本書では、この度の新型コロナ・パンデミックによって急速な社会変革が進行し、日本人に馴染みの"職場"や"協働"といった概念も変わって、これまで"コンパクトシティ"を目指して「集中・集約化」を行ってきた日本は、今や「集中・集約化」のリスクと向き合わなけれならなくなっていて、「分散化」につながるダイバーシティこそが強みになるとしています。いるとしています。その上で、多様性を認めるダイバーシティ・マネジメントから発展した、成果・イノベーションを創出するダイバーシティという考え方と、その実現方法を示しています。

 第Ⅰ章では、ダイバーシティ・マネジメント(ver.1)の歴史的経緯とアフターコロナ時代の新しいダイバーシティ・マネジメント(ver.2)の概観を説明するとともに、ダイバーシティ・マネジメントとは何か、わが国におけるダイバーシティの現状を、「ジェンダー」「性的マイノリティ」「ジェネレーション/両立社員」「外国人」「障害者」「テレワーク社員」という観点から分析し、さらに、ダイバーシティ・マネジメントを推進する"ビジネスメリット"を説いています。

 第Ⅱ章では、まずジェンダーをテーマに、女性社員・男性社員・LGBTQ+社員について考察し、性別ではなく認知機能の違いによる"個人差"の違いを認め、相手に応じて、体系的・論理的な「システム優位型」働きかけと、相手に感情移入する「共感優位型」の働きかけを使い分けることを説いています。そして、部下に対する1on1においてもこの使い分けは可能であるとして、その具体例を挙げています。続いて、ジェネレーション(若手社員・シニア社員)のマネジメントについて言及し、若手社員を活かすにはローコンテクストなコミュニケーションが有効であり、一方、シニア社員を活かすにはハイコンテクストなコミュニケーションが有効であるとして、具体例を挙げています。

 第Ⅲ章では、外国人社員と障害を持つ社員のマネジメントについて言及しています。外国人社員とのコミュニケーションについては、エリン・メイヤーの『異文化理解力』を引いて、外国人社員を活かすにはローコンテクストの「論理的」なコミュニケーションが効果的であるとしています。また、障害を持つ社員を活かすためのマネジメントで意識すべきポイントを5つ挙げています。

 第Ⅳ章では、仕事と生活を両立しながら奮闘する社員を「両立社員」と定義し、「育児」「介護」「傷病治療」「学習」と仕事を両立する社員について考察しています。ここでは、部下とよく話し合い、さまざまな支援制度の利用を当事者である部下と一緒に考えることなどを推奨しています。

 第Ⅴ章では、テレワーク社員のマネジメントについて述べています。ここでは、テレワークで部下へのマネジメントに求められる4つのポイントとして、業務の成果、オンライン・コミュニケーション、個別管理、組織管理の、それぞれの在り方を解説しています。

 第Ⅵ章では、成果を創出するマネジメントのポイントとして、①生産性を意識する、②成果を評価する、③時間を限定する、④無駄な業務を排除する、⑤成果と業務を"見える化"する、という5つの観点か述べるとともに、成果を創出するマネジメントへ転換する際に乗り越えるべき障壁や、「オンライン」による組織の変質とそれにどう対応すべきかを説いています。

 第Ⅶ章では、成果の創出からさらに一歩進んで、ダイバーシティがイノベーション喚起するとし、イノベーションを生み出す企業文化とはどのようなものかを解説し、最後に、多様性こそが"持続可能"な経営を創るとして、本書を締めくくっています。

 コロナ禍によって人々の働き方や組織の在り方が変わるということはすでにあちこちで言われていることですが、そのことを踏まえ、、これからのダイバーシティ・マネジメントはどうあるべきか捉え直しているのが本書の特徴でしょうか。全体を通して、コミュニケーションの重要性が強調されていたように思いました。

 ただ、そのコミュニケーションに関しては、若手社員を活かすにはローコンテクストなコミュニケーションが有効であり、シニア社を活かすにはハイコンテクストなコミュニケーションが有効であるといった、比較的「具体的」な実践方法が見られた一方で(著者の得意分野?)、成果・イノベーションを創り出すダイバーシティという考え方の部分は、やや「概念的」だったように感じました。

 とは言え、ダイバーシティを企業の活力にしたいと考える経営者や人事担当者、実際に職場でマネジメントする現場のマネジャーにとって多くの示唆を含む内容であったと思います。

《読書MEMO》

プロローグ 働き方の変化によって加速化する、ダイバーシティ・マネジメント
I章 ダイバーシティ・マネジメントの今──ver.1からver.2へ
Ⅱ章 属性の違いを活かすマネジメント──ジェンダー、ジェネレーション
Ⅲ章 2%のマイノリティを活かすマネジメント──外国人、障害者
Ⅳ章 多様な生活様式を活かすマネジメント──育児、介護、傷病治療、学習との両立
Ⅴ章 時空間を超えるマネジメント──テレワーク
Ⅵ章 成果を創出するマネジメント
Ⅶ章 ダイバーシティからイノベーションへ
エピローグ 多様性こそが"持続可能"な経営を創る

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