「●海外絵本」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【689】 アン・ランド 『川はながれる』
「○海外児童文学・絵本 【発表・刊行順】」の インデックッスへ
コラージュ(写真)系「かくれんぼ絵本」。子どもとやってみたらいい勝負だったりして...。
Jean Marzollo
『I Spy: A Book of Picture Riddles』Reprinted版 (1992/01) 『ミッケ!―いつまでもあそべるかくれんぼ絵本 I SPY 1』
「かくれんぼ絵本」とか「探し物系絵本」というのは「ウォーリーをさがせシリーズ」から「ポケモンをさがせ!」とか「アンパンマンをさがせ!」といったものまでいろいろあるようですが、ジーン・マルゾーロ(Jean Marzollo)の文章(文章と言っても何を探すかという簡単な問いのことだが)、ウォールター・ウィック(Walter Wick)の写真によるこれは、「かくれんぼ絵本」の中でも"コラージュ系"とでもいうべきものです。
いや、正確には「写真絵本」というべきでしょうか。積み木やボタンやビーズなどのミニサイズの小物をセンス良く並べたりしていますが、切り貼りしているわけではなく、実際並べたものをそのまま写真に撮っているわけであって、よくこれだけ集めたなあと感心させられます。
原著"I Spy: A Book of Picture Riddles"の刊行は1991年で、個人的にはこうした類では最初に触れた本であり、また、同作者らのシリーズの中で最初に刊行されたのも本書です。それまで普通の絵本作家(文章専門)だったマルゾーロは、その後は通常の絵本原作者としての仕事をしながら、毎年のようにこのシリーズを出しています。
「かくれんぼ絵本」系統のものはこのマルゾーロ&ウィックのコンビ以外の作者によるものも多く出されているようですが、"コラージュ系"乃至"写真系"はこのマルゾーロらのシリーズ以外はあまり見ないように思います。
Walter Wick
「かくれんぼ絵本」の類の中ではかなりセンスがいい方ではないでしょうか。オブジェの1つ1つが、なにか普遍的な郷愁を醸すものとなっています。一見雑然とオブジェをばらまいた感じで、実は巧妙に計算され尽くしていたりもして、これ、実際にやってみると結構大人でも難しいです。
では、子どもにとって難し過ぎるかというと、子どもの年齢にもよりますが、この手の「探す能力」というのはかなり早くから伸長し、子どもがある程度の年齢になるとあまり大人と変わらなくなるようです。子どもと実際やってみたらいい勝負だったりして...。こっちの老化現象とはあまり思いたくないけれど、集中力の持続という点では、子どもの方が勝っていたりする面もあるのかもしれません。