【2677】 ○ 武井 繁/米田 光宏 『時代を勝ち抜く人材採用 (2015/07 ダイヤモンド社) ★★★★

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"元気な会社"が講じている戦略的施策が紹介されていて、啓発的刺激を受けた。

時代を勝ち抜く人材採用 2.jpg時代を勝ち抜く人材採用.png時代を勝ち抜く人材採用

 本書では、少子化による労働力人口の激減など、外部環境の変化により企業の採用活動が厳しさを増す中、採用コスト削減と採用数増加という背反する2つの課題の同時解決を実現し、時代を勝ち抜く人材採用を行うにはどのような採用戦略を取ればよいのかを、「考える」「集める」「選ばれる」「活かす」という4つのポイントから解説しています。

 序章で「採用マーケットの今」を俯瞰し、時代は今「採用効率化時代」へと突入したとして、革新的な採用支援システムにより店舗従業員の採用拡大とコストダウンを両立させたセブン-イレブン・ジャパンをケーススタディとして紹介しています。

 第1章「考える」では、採用においてなぜ「考える」必要があるのか、採用の科学的アプローチとはどういったものかを、「競争優位とマーケティング」「ターゲット選定」「基準値をもってPDCAをまわす」という3つの観点から解説し、エー・ピーカンパニー、テンコーポレーション、三起商行の3社の取り組みをケーススタディとして紹介しています。

 第2章「集める」では、ターゲット選定をした後、いかにして効率的に応募者を集めるかということについて、「オムニチャネル戦略」「トリプルメディア活用」「応募機会の常設」という3つの施策を軸に解説し、シモハナ物流、ツナグ・ソリューションズの2社の取り組みをケーススタディとして紹介しています。

 第3章「選ばれる」では、今日の「選ぶほど応募者がいない」状況の中、企業側がいかにすれば応募者から「選ばれる」ようになるかを、「応募者はお客様」「スピード対応」「面接手法」という3つのキーワードや方法論を軸に解説しています。

 第4章「活かす」では、スタッフの定着率を高めたり、従業員のパフォーマンスを向上させるにはどうすればよいかを、「モチベーション形成」「ハード面における労働環境の見直し」「退職者活用」という3のキーワードや施策を軸に解説し、大光電機、損保ジャパン日本興亜まごころコミュニケーション、日本福祉総合研究所、スタジオアリスの4社の取り組みをケーススタディとして紹介しています。

 解説部分もさることながら、ケーススタディとして取り上げられている各企業の施策が興味深かったです。例えば、居酒屋チェーン店「塚田農場」などを経営するエー・ピーカンパニーは、学生アルバイトに就活期間中も仕事を続けてもらうために、通称「ツカラボ」という就職支援活動を実施しているとのこと、また、天丼チェーン店「てんや」を経営するテンコーポレーションは、外国人スタッフを積極的に採用し、安定稼働させることで店舗の売り上げをアップさせたとのこと、「ミキハウス」ブランドで知られる三起商行では、女性の子育て経験がキャリアに活かされる仕組みを設けているとのことです。

 人材獲得競争が激しい業界の中で、"今、元気な会社"として注目されている企業は、やはり人材採用においても、独自の戦略的取り組みを行っているのだなあと改めて感じます。個々の事例における施策は、一般の企業でも導入可能なものあれば、業種・業態の違いもあってそのまま採り入れることが難しいものもあるかと思いますが、解説部分で示した「考える」「集める」「選ばれる」「活かす」という戦略的な流れに沿ったケーススタディであるため、解説と併せて、自社の採用戦略を考える上で、啓発的な刺激を与えてくれるのではないかと思います。

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This page contains a single entry by wada published on 2018年10月 4日 07:21.

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