【2675】 ○ 下山 博志 『実践 人財開発―HRプロフェッショナルの仕事と未来』 (2017/08 日本能率協会マネジメントセンター) ★★★★

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「人財」開発に関するテキストであり、実務書。"実務的啓発書"とでも言うべき内容か。

実践 人財開発0.JPG実践 人財開発.jpg実践 人財開発』['17年]

 一般に「人材開発」という言葉が主に人材育成の仕組みをさす意味合いで用いられるのに対し、本書ではあえて「人財開発」という言葉を用い、組織にとって財となる人材についての採用・発掘・育成・最適配置・評価・定着・組織開発・キャリア開発などの施策を統合的に行い、組織目標を達成するための戦略的な取り組みを行うことであるという意味をそこに持たせています。本書は、人財開発に取り組む人に向けた実務書であり、人財開発の仕事を体系的に学び、これからどのように展開を図っていきたいかを、「人財開発」「内製化」などをキーワードに考えてもらうための本であるとのことです。

 第1章では、人財開発の仕事を、「組織風土作り」「組織一体化の醸成」「人材の維持・開発」「人材の補強・強化」の4つの視点から、「組織開発」「人材の保持」「キャリアプラン」「後継者育成計画」「パフォーマンス管理」「能力評価」「チームと個人の育成」「人財の発掘」という8つの戦略に分類する体系的モデルを紹介するとともに、人財開発を推進するためのこれら8つの施策が具体的にどのような仕事を指すのかを示しており、それは、1.人材教育(Training and Development)、2.採用発掘(Recruitment & Acquisition)、3.成果管理(Performance Management)、4.キャリア開発(Career Development)、5.配置登用(Personnel Allocation)、6.定着管理(Retention)、7.後継者計画(Succession)、8.組織開発(Organization Development)の8つとなります。

 第2章では「内製化」をキーワードとし、前述の8つの施策(仕事)について、それぞれ内製化にはどのようなものがあり、何を内製化して何を外注化するべきか、その判断のポイントを示しています。結論として、人財開発においては「51%の内製化」を目指すことを強く勧めている点が興味深く思われました。

 第3章では、具体的にビジネスに貢献するための人財開発の進め方について整理しています。また、この章では、人財開発を戦略的に行ってきた3社の事例が紹介されているため、人材開発の具体的なイメージ把握の助けになるのではないかと思います。

 第4章では、人財開発の専門家を育てるにはどうすればよいか、人財開発の学び方や人財開発担当者が身につけるべき専門性について述べています。具体的には、ATD(Association for Talent Development)が整理したコンピテンシーモデルに基づき 6つの基盤コンピテンシーと10種類の専門性について解説しています。また、人財開発責任者とは何をするのかについて述べ、人財開発責任者の10の専門領域と6つの必要能力について説明しています。

 第5章では、人財開発の潮流と課題について考察し、また、これから着目される人財とはどのようなものかを考察し、5つのトレンドと着目すべき15のスキルを掲げています。

 第6章では、近未来の人材開発がどうなっていくかを推察し、多様化する社会や人工知能、技術革新、未来型の組織への対応について述べています。

 人財開発について学びたいに向けた体系的に整理されたテキスト的内容となっています。同時に、実際に人財開発に取り組んでいる(或いは取り組むことになった)人に向けた(著者の言葉を借りれば)実務書でもありますが、むしろ"実務的啓発書"とでも言うべき内容でしょうか。「内製化」をキーワードとして書かれている点が1つポイントだと思います。

 また、すでに企業内に「人材開発部」のような部署がある場合は、そうした部署の現状分析をする際に、本書によってさまざまな角度からの視座を得ることができるかもしれません。さらには、これからの部署の在り方について考えるヒントも与えてくれるかもしれず、いずれにせよ、人材開発戦略、専門家育成、環境変化の潮流と課題、近未来の在り方などが網羅的に整理されていることから、人財開発の担当者、責任者の参考になる点が多いのではないかと思います。

《読書MEMO》
●目次
第1章 人財開発の実務とは―どのように人財開発を行うのか
第2章 内製化について考える―人財開発を内製化するとは
第3章 人財開発の進め方―ビジネスに貢献する人財開発
第4章 人財開発の専門家を育てる―何を学べば専門家と言えるのか
第5章 現状を考察する―人財開発の潮流と課題
第6章 近未来の人財開発―人財開発の未来を創造する
●8つの施策(第1章)
1.人材教育(Training and Development)
2.採用発掘(Recruitment & Acquisition)
3.成果管理(Performance Management)
4.キャリア開発(Career Development)
5.配置登用(Personnel Allocation)
6.定着管理(Retention)
7.後継者計画(Succession)
8.組織開発(Organization Development)
●内製化の項目例(第2章)
1.人材教育の内製化
・集合研修・eラーニング・外部セミナー・OJT・メンタリング・コーチング
・マニュ・ジョブエイド・コミュニティ
2.採用発掘の内製化
・計画・募集・採用・分析・選抜・登用
●人財開発担当者の必要要件(第4章)
◇基盤コンピテンシー
①ビジネススキル
②グローバルマインドセット
③関連業界の知識
④対人関係スキル
⑤パーソナルスキル
⑥情報技術リテラシー
◇専門領域(人財開発担当者が備えるべき専門性)
①パフォーマンス管理
②教育設計
③デリバリー
④ラーニングテクノロジー
⑤学習効果の測定
⑥学習施策の管理
⑦統合的タレント・マネジメント
⑧コーチング
⑨ナレッジ・マネジメント
⑩チェンジ・マネジメント
●人財開発責任者の役割(第4章)
◇人財開発担当者の果たすべき専門領域
①戦略策定
②投資管理
③変革支援
④成果管理
⑤知識管理
⑥理念浸透
⑦成長支援
⑧能力開発
⑨学習効果
⑩技術革新
◇人財開発責任者に求められる6つの必要能力
①マネジメントチームの信頼性
②従業員とのコミュニケーション能力
③人財開発のトレンド理解
④グロース・マインドセットの維持
⑤学び続ける意欲
⑥自社と業界の未来を語れる
●5つのトレンドと着目する15のスキル(第5章))
1.企業戦略の変化に備える
スキル1:俯瞰力
スキル2:ストレス管理力
スキル3:集中力
2.働き方の変化に備える
スキル4:チーミング力
スキル5:バーチャルコラボレーション力
スキル6:分野横断的知識
3.リーダーシップの変化に備える
スキル7:内省力
スキル8:心理的安全力
スキル9:批判的思考力
4.人口動態の変化に備える
 スキル10:多様性受容力
 スキル11:相互関係構築力
 スキル12:社会的知性
5.テクノロジーの変化に備える
 スキル13:情報統合力
 スキル14:IT活用力
 スキル15:エクスポネンシャル力



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和田泰明

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