【262】 ○ 小松崎 茂(画)/根本 圭助(編) 『図説 小松崎茂ワールド (ふくろうの本)』 (2005/11 河出書房新社) ★★★★

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懐かしいプラモデルの箱絵など。"昭和レトロ"を感じさせる異能の職人的画家。

5図説 小松崎茂ワールド.jpg
小松崎茂.jpg ソーラー・シティ.jpg "ソーラー・シティ"
図説 小松崎茂ワールド』['05年] 小松崎茂(1915-2001/享年86)

密林の冒険児.jpg 小松崎茂と言えば、サンダーバードのプラモデルのボックスアート(パッケージアート、箱絵)のイメージが強くあり、サンダーバードに限らず、タミヤのドイツ戦車やゼロ戦などのプラモデルのボックスアートも印象に残っていますが、本書を見て、ボックスアートばかりでなく、様々な仕事を手がけていたことを知りました。

 昭和30年代に創刊された「少年サンデー」「少年マガジン」などの少年漫画雑誌の戦記特集などの挿画も多く手掛けているほか、それ以前からSF・未来世界を描いた作品も数多くあり、自分自身も雑誌などでそうした彼の作品を見ながら、それが小松崎茂という画家の手によるものであるという認識はないながらも、エアカーが超高層ビルの間をぬって疾走する未来社会を夢想した1人であることは間違いないようです。
"密林の冒険児" 

雷電.jpg 小松崎の活躍の始まりは昭和20年代の冒険活劇物語(いわゆる「絵物語」)で、作家として物語を書きつつ挿画も書いていたようですが、「大平原児」とかウェスタン調のものが多いのが面白い。
 また、この画集でやはり圧倒されるのは、「モスラ」などの特撮映画の担当もしたというリアルなメカニックで、その精緻さは戦争モノから宇宙モノまで共通していて、時代を感じさせない現代的な感じがします。

"雷電" 

育ったのが東京の下町(南千住)で、仕事場は宇宙コロニー.jpg 乱雑の極みでしたが、どうしてこういう環境でこのような垢抜けた絵が描けるのか不思議な気もしました。若いころの写真を見ると、小太りでオタクっぽい感じがあります。
 老境に至って"気骨の画家"、あるいは"飄々とした"という感じの独特の風貌を呈していますが、昔から下町のスケッチなども多く描いていて、それらを見ると少し和みます。

 "昭和レトロ"を堪能させてくれるこの異能の職人的画家は'01年に亡くなりましたが、固定ファンが結構いるせいか、作品を集めたサイトもいくつかあるようです。

"宇宙コロニー"

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