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この本そのものも、「心理屋さん」が書いた成功本。
『成功本はムチャを言う!? (青春新書INTELLIGENCE)』['08年] 成毛 眞 本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)』['08年]
タイトルから「成功本」を斬って捨てる本かと思いきや、「成功本の著者が説く成功ノウハウや成功法則と、それをなかなか自分に生かし切れない読者のギャップを埋めることを目的に」書かれた本であるとのことで、著者は、小学校教師から出版社の編集者、取締役を経て、今は、コーチングやカウンセリングを行う心理カウンセラー(乃至コンサルタント)―と言うか、そうしたことを商売とする事業者と言った方がいいかも。
本書では、成功本そのものを否定しているのではなく、成功本が説く法則(ノウハウ)を、「目標を明確にする」「期日を決める、スケジュールを立てる」「好きな仕事をする」「ポジティブ思考をする」「人に感謝する、人に与える」「自分に投資する」「いい人と付き合う、人脈を広げる」「潜在意識を活用する」の8つ類型に分け、これらの法則を読んでも実行できない読者の心理的障壁について、つまり読者が読んでどこに無理が生じる原因があるかを分析しています。
更に、人の行動価値基準を「目標達成的傾向(「勇」:行動を重視する人)」「親和的傾向(「親」:調和することを重視する人)」「献身的傾向(「愛」:愛し愛されることを重視する人)」「評価的傾向(「智」:考えることを重視する人)」の4つの性格傾向に分け、これらに沿って成功本を"自分流"に読み替えるコツを伝授していますが、いかにも「心理屋さん」が書いた本といった印象も受けなくもなく、気づいてみれば、この本そのものも「成功本」の1種だったのかと...(この著者には『異性を思いどおりに動かす!』('93年/橘出版)なんて著書もある)。
「成功本」というのがどこまでを指すのかよくわかりませんが、個人的にはあまりそうした本は読まない方だと思います。
元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞氏が『本は10冊同時に読め!』('08年/知的生きかた文庫)の中で、「家にある成功者うんぬんといった本を捨てるべきである」とし(こっちの方がスッキリしている)、「ビジネスハウツー書ばかり読む人も、私から見れば信じられない人種である。まず、『金持ち父さん、貧乏父さん』系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や、年収1500万円を稼げるといった本を読んでいる人は、間違いなく『庶民』のまま終わるだろう。できる社員系の本を読んでいる人も同じである。なぜならば、他人のノウハウをマネしているかぎり、その他大勢から抜け出すことはできないからだ」と書いていますが、庶民のままで終わって何が良くないのかとは思うものの、「成功本」に対するスタンスは自分も成毛氏に近いかも知れません。この本は"ムチャ本"ではありません(但し、古典や文学作品は読む価値が無いというのはやや乱暴)。