【2419】 ○ アルフレッド・ヒッチコック 「北北西に進路を取れ」 (59年/米) (1959/09 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー) ★★★★

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ヒッチコック唯一のアクション・サスペンス映画。筋立ての旨さで飽きさせない。

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北北西に進路を取れ 022.jpg 広告会社の重役ロジャー・ソーンヒル(ケーリー・グラント)は、ホテルのロビーでの会合中、偶然別の人物に間違えられて誘拐され、広壮な邸宅に連れていかれる。そこにいたタウンゼントと名乗る男(ジェームズ・メイソン)は彼の事をキャプランというスパイだと決めつけ、ロジャーが否定すると、今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、タウンゼントが国連で演説することを知り、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう。政府のスパイ機関の会議室では、教授(レオ・G・キャロル)と呼ばれる男を中心に、予想外の事態への対応を協議していた。タウンゼントに成りすました男は、実はヴァンダムという敵のスパイ一味の親北北西に進路を取れ auction.jpg玉で、教授たちは彼らヴァンダム一味の中に自分たちの側のスパイを送り込んでいた。キャプランは教授たちが創造した架空のスパイで、ヴァンダムの注意をキャプランに引き付けることで、味方のスパイを守ろうという作戦だった。スパイ合戦に巻き込まれたロジャーに対し教授たちは同情しつつも、味方のスパイの安全のHokuhokusei ni shinro wo tore (1959).jpgため敢えて何もしないことに決める。架空の人物とも知らずキャプランを追い求めるロジャーは、彼がシカゴに向かったと知ると駅から特急寝台列車に乗る。その車内でイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)という女性と親しくなる。彼女はロジャーがお尋ね者であることを知りながら、彼を自室に招き入れて匿う。ところが同じ列車にヴァンダム一味も乗っていて、実はイヴは彼らと通じていた―。
Hokuhokusei ni shinro wo tore (1959)

北北西に進路を取れ 09.jpg 1959年のアルフレッド・ヒッチコック作品で、小麦畑でのセスナシーンやラシュモア山のシーンなどで知られるように、ヒッチコック唯一のアクション・サスペンスムービーとも言われています。こうした作品は大味になりがちなところを、筋立てとその運びの旨さで飽きさせず、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。個人的には、アクションもさることながら、ラシュモア山麓に建っている敵のモダンな別荘だとか、ロジャーがオークション会場で敵に囲まれた際に、わざと無茶苦茶な値を付けて警備員に連れ出されることで難を逃れるといったシーンなどが意外と印象に残っていたりします。

北北西に進路を取れ 00.jpgジェームズ・ステュアート.jpg 主演のケーリー・グラント(1904-1986/享年82)は、ジェームズ・ステュアート(1908-1997/享年89)と並ぶヒッチコック映画の代表的俳優であり、「断崖」('41年)、「汚名」('46年)、「泥棒成金」('55年)でヒッチコック映画のまさに"顔"となりましたが、その後、「裏窓」('54年)、「知りすぎていた男」('56年)、「めまい」('58年)でジェームズ・ステュアートが台頭し、立場が逆転した印象もあったところにこの作品に出演し、再びジェームズ・ステュアートに並ぶか、或いは抜き返したという感じではないでしょうか。

 ジェームズ・ステュアートはこの作品のロジャー役を熱望していたそうですが、フランソワ・トリュフォー著『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』(山田宏一・蓮實重彦訳、'81年/晶文社)によれば、ヒッチコックは、「めまい」がヒットしなかったのはジェームズ・ステュアートがラヴ・ストーリーを演じるには年を取り過ぎていたからと考えていたようで、「北北西に進路を取れ」はスパイ・アクション映画ではあるが、ラヴ・ストーリーが大きな位置を占映画術80.JPG映画術78.JPGめているため、ジェームズ・ステュアートよりも若々しいケーリー・グラントを選んだのだろうとトリュフォーは推察しています(実際にはケーリー・グラントの方が3つ年上なのだが)。因みに、当時ヒットしなかったという「めまい」は、"Sight & Sound"誌映画批評家による「オールタイム・ベスト250」の2012年版で第1位に選出されています(「北北西に進路を取れ」は52位)。
定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』('90年/晶文社)

北北西に進路を取れ エヴァ・マリー・セイント.jpg 一方、謎の女性を演じている女優はエヴァ・マリー・セイント(1924- )で、当時すでに「波止場」('54年)でアカデミー助演女優賞を受賞していましたが(因みに「波止場」はグレースー・ケリー北北西に進路を取れ 05.jpgが「裏窓」出演のために役を断り、そのためエヴァ・マリー・セイントに役が回ってきた)、ヒッチコックはこの作品でしかエヴァ・マリー・セイントを使っていません。おそらく、従来のヒッチコ北北西に進路を取れ 06.jpgック作品のヒロイン像と違って、「007シリーズ」のボンドガールのような役回りであることも関係しているのでしょう。ラストのロジャーと2人で寝台車のベッドで抱き合うシーンなども「007シリーズ」の北北西に進路を取れ 07.jpgエンディングっぽいですが、「007シリーズ」の第1作「007 ドクター・ノオ」('62年)の公開は本作の3年後です。ロジャーとイヴが寝台車の中で抱き合った後、列車がトンネルの中に入っていくシーンについて先ほどの『映画術』の中でヒッチコックは、「あれはこれまで私が撮った映画のなかでも一番猥褻なショットだ...列車は男根のシンボルだ」とトリュフォーに語っています。

北北西に進路を取れ hichi.jpg 因みに、恒例のヒッチコック自身のカメオ出演は、この作品では冒頭のクレジットタイトルの最後に出てくるバスに乗り遅れる男性であり、探す上ではかなり分かりやすい部類ではないでしょうか(「裏窓」も分かりやすかったが、それ以上か)。

北北西に進路を取れ 英文ps.jpg「北北西に進路を取れ」●原題:NORTH BY NORTHWEST●制作年:1959年●制作国:アメリカ●監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:アーネスト・レーマン●撮影:北北西に進路を取れ 02.jpgロバート・バークス●音楽:バーナード・ハーマン●時間:136分●出演:ケーリー・グラント/エヴァ・マリー・セイント北北西に進路を取れ 03.jpgジェームズ・メイソン/マーティン・ランドー/ジェシー・ロイス・ランディス/レオ・G・キャロル/ジョセフィン・ハッチンソン/フィリップ・オバー●日本公開:1959/09●配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー●最初に観た場所:高田馬場・ACTミニシアター(88-07-10)(評価:★★★★)●併映:「暗殺者の家」(アルフレッド・ヒッチコック)

    
           



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和田泰明

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