【1437】 ○ ドン・ウィンズロウ (東江一紀:訳) 『フランキー・マシーンの冬 (上・下)』 (2010/09 角川文庫) ★★★★ △ ロベルト・シュヴェンケ 「RED/レッド」 (10年/米) (2011/01 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン) ★★★ )

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サンディエゴ版「ゴッドファーザー」。主人公の"老い"があまり描かれていないと思いきや...。

フランキー・マシーンの冬 上.jpg フランキー・マシーンの冬 上・下.jpg  「RED/レッド」 ブルース・ウィリス.jpg
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)』『フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)』 「RED/レッド」

1フランキー・マシーンの冬.pngThe Winter of Frankie Machine.jpg サンディエゴで釣り餌店など複数のささやかなビジネスを営む傍ら、元妻と娘、恋人の間を立ち回り、余暇にはサーフィンを楽しむ62歳のフランク・マシアーノは、かつては"フランキー・マシーン"と呼ばれた凄腕の殺し屋だったが、今はマフィアの世界からすっかり足を洗ったつもりでいた―が、そうした冬のある日、フランクは、今になって彼の命を奪おうとする何者かに罠に嵌められ、それまでの平和な日々に別れを告げることに―。

 2006年に発表されたドン・ウィンズロウ(Don Winslow、1953-)の10作目の邦訳作品(原題:The Winter of Frankie Machine")であり、叙事詩的大作『犬の力』(2005年発表、'09年/角川文庫)の次の作品になりますが、その後も2011年までに4作書いているとのことで、未だ邦訳が出ていないそれらの作品との関連ではどうなのか知りませんが、過去のシリーズ作品ではなく単独作品です。

 50代に入った作者が62歳の"黄昏の殺し屋"をどう描くか、それまでタフガイながらも繊細さを持った比較的若い主人公が多かっただけに、その新境地に関心を持ちましたが、実際に読んでみると、フランクの人生の過去を追っている部分がかなり占めています。

 "見習いマフィア"のような時代から始まって、様々の抗争事件を振り返るのは、今自分を亡き者にしようとしているのが誰なのかをフランク自身が考えるためでもありますが、過去の出来事も"現在形"のように書かれているため、結局、今までのウィンズロウ作品とあまり変わらないような...(そのため、今までのウィンズロウ作品と同じように楽しめてしまったのだが)。

 「ストリップ戦争」凄いね。"ウィンズロウ節"炸裂という感じ。バイオレンスものが嫌いな人にはお薦め出来ませんが、サンディエゴ版「ゴッドファーザー」と言ってもいいかも(作中に映画「ゴッドファーザー」を意識した記述が縷々ある)。

 一方、現在の"老"フランクは、彼の命を狙う包囲網を次々と切りぬけていきますが、そこには年齢というものがあまり感じられず、やはり、ヒーローは老いても"老い"を見せてはならなのかと。
62歳の元殺し屋と65歳の旧友との再会は確かにキツイものだったけれど、老いているのは相方ばかりで、フランク自身からは(冒頭部分を除いては)年齢は伝わってこないなあと思いきや、"老い"はちゃんと最後に、巧みにプロットに組み込まれていました(『ボビーZの気怠く優雅な人生』(′99年/角川文庫)をちょっと思い出した)。

 ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』('10年/ハヤカワ・ミステリ)に続いて読みましたが、最近、ジョン・ハートや、『エアーズ家の没落』('10年/創元推理文庫)のサラ・ウォーターズなど文芸色の強いミステリがよく読まれている中、この独特の「エンタメ・トーン」は、"ゆるい系ハードボイルド"と呼ばれているそうで、一言でミステリと言っても幅があるなあと思いました。

 2010(平成22)年・第29回「日本冒険小説協会大賞」(海外部門)受賞作(『犬の力』に続いて2年連続の受賞)。2010 (平成22) 年度の「週刊文春ミステリー ベスト10」では、『ラスト・チャイルド』は1位、この作品は9位ですが、宝島社の「このミステリーがすごい!」では『フランキー・マシーンの冬』が4位で『ラスト・チャイルド』は5位。こうなると、どっちがいいかは好みの問題で、優劣の問題ではないような気がします。

robertdeniro.jpg どっちも好きだけど『ラスト・チャイルド』はじっくり読んで、『フランキー・マシーンの冬』は一気に読むのがいいかも。『犬の力』よりは軽めだし。

 因みに『犬の力』の後書きで、本作はロバート・デ・ニーロ主演で映画化が決定していると書いてありましたが、どうなっている?


RED レッド poster 2010.jpgRED レッド 01.jpg(●本記事エントリーの2日後(2011/01/29)に日本公開された、ブルース・ウィリス主演で、引退した"殺し屋"ならぬ"CIAの腕利きエージェント"を主人公にした映画「RED レッド」('10年/米)を観た(「RED」は「引退した超危険人物(Retired Extremely Dangerous)」の意味)。あらすじは― 元CIAのトップエージェントで今は年金で静かな引退生活を送っていた主人公が、ある日何者かに襲われ、それは実は自分が過去に関わった秘密任務が原因でCIAから狙われたのだったが、彼はエージェント時代の仲間や元MI6の女スパイも巻き込んで、自ら巨大な陰謀に立ち向かっていく― RED レッド ド.jpg というもの。モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンなど大物俳優が共演で、それでいてブルース・ウィリスが演じる主人公が年金事務所の電話担当の女性と相思相愛になっているなど途中までコメディチックな流れだったが、ラスト近くで主人公のかつての盟友が仲間のために命を投げ出すに至ってすっかり重くなってしまい(あのモーガン・フリーマンがその役を演じているということもあり)、コメディとして観てていいのか、悲劇としてみるべきだったのか分からなくなってしまった。巷の評価は高かったみたいだが(続編「REDリターンズ」('13年)が作られた)、個人的評価は△。『フランキー・マシーンの冬』をしっかり映画化してほしい。)

RED レッド 02.jpg「RED/レッド」●原題:RED●制作年:2010年●制作国:アメリカ●監督:ロベルト・シュヴェンケ●製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ/マーク・ヴァーラディアン●脚本:ジョン・ホーバー/エリック・ホーバー●撮影:フロリアン・バルハウス●音楽:クリストフ・ベック●原作:ウォーレン・エリス カリー・ハムナー●時間:111分●出演:ブルース・ウィリス/モーガン・フリーマン/ジョン・マルコヴィッチ/ヘレン・ミレン/カール・アーバン/メアリー=ルイーズ・パーカー/ブライアン・コックス/ジュリアン・マクマホン/アーネスト・ボーグナイン/リチャード・ドレイファス●日本公開:2011/01●配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(評価:★★★)

          



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