【2864】 ◎ 真鍋 博 『新装版 真鍋博の鳥の眼―タイムトリップ日本60'S』 (2019/01 毎日新聞出版) 《真鍋博の鳥の眼 (1968/12 毎日新聞社)》 ★★★★☆

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日本の主要都市の鳥瞰図。超細かい。時を経て記録的な価値が高まった。

真鍋博の鳥の眼.jpg真鍋博の鳥の眼2.jpg 鳥の眼―真鍋博の (1968年).jpg 真鍋博3.jpg 真鍋 博
新装版 真鍋博の鳥の眼 タイムトリップ日本60'S』['19年]『鳥の眼―真鍋博の (1968年)』['68年]
(37.2 x 23.3 x 2.1 cm)
真鍋博の鳥の眼1.jpg イラストレーターの真鍋博(1932-2000/68歳没)による日本の主要都市を鳥瞰図的に描いたイラスト集で、昭和43(1968)年に刊行され、今回50年ぶりに令和元年に新装版として復刻されました。描かれているのは、丸ノ内、霞が関、新宿、渋谷、札幌、盛岡、日光、軽井沢、横浜、鎌倉、箱根、熱海、新潟、金沢、名古屋、奈良、京都、大阪、和歌山、神戸、岡山、松江、広島、尾道、高知、松山、別府、福岡、長崎、鹿児島...etc.全部で54に及び、一部、黒四や日本アルプスなどを含みます。個人的には、ちょうど昭和のその頃通っていて、今は廃校になってしまった小学校と中学校が見つかったのが嬉しかったです。

真鍋博の鳥の眼 S.jpeg 週刊誌「サンデー毎日」の連載として昭和43年から翌年にかけて発表されたものですが、一定の技法があるとは言え、CGソフトもない時代に、この細密画に近い鳥瞰図を週一のペースで描き続けていたというのはスゴイなあと思われ、筒井康隆氏が「鳥になり壮絶な技法で日本を国会議事堂から喫茶店まで描ききったこの個人による芸術は唯一無二である」と絶賛したのも頷けます(新装版の解説は、マップラバー(地図愛好者)を自認する生物学者の福岡伸一氏で、真鍋博の息子で恐竜学者の真鍋真氏と知己であるとのこと)。

 よく展望台にあるマップのように、建物に線を引いて名称をこと細かく書いてあるのがまたスゴく、「新宿」(上図)などは大変なことになっています(笑)。因みに旧版は新書本に近いサイズであったから、週刊誌に掲載したサイズに合わせたのだと思いますが、週刊誌でリアルタイムで見た人は、この細かい字をどこまで読み込めたのでしょうか(それぐらい超細かい)。

真鍋博の鳥の眼_5354.JPG 各ページに見開きページに、著者によるその都市の紹介がついていますが、もともとバイコロジーの提唱者で、文明批評的エッセイの分野でも足跡を残した人であり、解説もそうした視点からなされています。新装版になって「タイムトリップ日本60'S」というサブタイトルが付きましたが、年月が経過したことで、記録的な価値が高まった言えるかと思われ(著者自身、当初より"イラスト・ルポルタージュ"という姿勢でこの大作業に臨んだとある)、復刻したのは意義があることだと思います。エッセイ風の解説と併せて堪能できる一冊です。

 自分の知らない街はあまり興味がないという人もいるかもしれませんが、全部かどうか分かりませんが、絵の中に一組の男女が隠れていて(左例はP60「名古屋(南)」)、それを探してみる楽しみもあります(これがなかなか見つからない)。1987年に英国人イラストレーターのマーティン・ハンドフォードによって英国で出版された絵本『ウォーリーをさがせ!』を想起させます(真鍋博の方が20年早いが)。

   [Kindle版]



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和田泰明

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