【1607】 ○ 中野 明 『「超ドラッカー級」の巨人たち―カリスマ経営思想家入門』 (2011/05 中公新書ラクレ) ★★★☆

「●マネジメント」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1699】 フィル・レニール/重光 直之 『ミンツバーグ教授のマネジャーの学校
「●ピーター・ドラッカー」の インデックッスへ

分かり易いが、あくまでドラッカー中心。経営思想の入門書として手頃(専門書への"手引書")。

「超ドラッカー級」の巨人たち1.jpg 『「超ドラッカー級」の巨人たち - カリスマ経営思想家入門 (中公新書ラクレ)』['11年]

 「ドラッカーだけ読めば済むと思うな」との考えのもと、ドラッカー以下、C・K・プラハード、ヘンリー・ミンツバーグ、ジョン・コッター、マイケル・ポーター、フィリップ・コトラー、クレイトン・クリステンセンの7人のカリスマの人物・思想・理論を解説した入門書で、学者ではなく著述家による本ですが、そうしたこともあって大変分かり易く書かれています。
「超ドラッカー級」の巨人たち zu.jpg
 特徴的な点は、まずドラッカーの経歴や逸話を紹介した上で、ドラッガーがマネジメント論で重要とした「ミッション・人・組織」という三角形を成す概念と「戦略・マーケティング・イノベーション」という同じく三角形を成す概念を組み合わせて「六茫星」を作り、以下紹介される6人の経営思想家たちが、その内のどの分野について特に深く言及しているかを、各章の冒頭で図に示していることであり、それによると、6人の経営思想家の重点的カバー領域は次のようになっています。

・C・K・プラハード ...... ミッション・組織・イノベーション
・ヘンリー・ミンツバーグ ...... 戦略・人・組織
・ジョン・コッター ...... 人・組織
・マイケル・ポーター ...... 戦略
・フィリップ・コトラー ...... マーケティング
・レイトン・クリステンセン ...... イノベーション

 ドラッカー以外にこの6人でいいのかというのもありますが、関連する経営思想家も解説文中で紹介されています。そのうえで、各経営思想家が提言した、その考え方の中核となる概念を抜き出して分かり易く解説しており、経営思想の入門書としては"手頃"であるかもしれません。

 但し、新書1冊に7人なので、紙数の関係から、キーワードの羅列みたいになってしまっている部分もあり、その意味では"手頃"と言うより"手軽"と言った方がいいかも。むしろ、より専門書への手引書だろうなあ。

 各カリスマの経営思想の概略的な入門書としては悪くなく、それぞれの重点カバー領域を再確認するうえでもいいと思いますが、常にドラッカーをベースに解説しているムキもあり、こうなると、「超ドラッカー級」と言うより、皆ドラッカーの掌の上にいるような印象も...(実際は、そんなことことはないと思うのだが)。
 
 あくまでドラッカー中心であり、ドラッカーを軸として解説しているから分かり易いというのもあるのだろうなあ。

About this Entry

This page contains a single entry by wada published on 2011年11月24日 00:04.

【1606】 △ 玄田 有史 『希望のつくり方』 (2010/10 岩波新書) ★★★ was the previous entry in this blog.

【1608】 ○ 杉山 浩一 『図解入門ビジネス 最新リーダーシップの基本と実践がよ~くわかる本』 (2009/04 秀和システム) ★★★★ is the next entry in this blog.

Find recent content on the main index or look in the archives to find all content.

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1