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2006年08月19日   書評:HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書備忘録

【200】 ○ フレデリック・S・パールズ 『ゲシュタルト療法―その理論と実際』 (1990/07 ナカニシヤ出版) ★★★★

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創始者フレデリック・パールズ自身によるまさに理論と実践の書。

ゲシュタルト療法.jpg 『ゲシュタルト療法―その理論と実際』 フレデリック・パールズ.jpg フレデリック・パールズ (1893‐1970) in 「グロリアと3人のセラピスト」

 「ゲシュタルト療法」は、人間の精神は部分や要素の集合ではなく、全体性や構造こそ重要視されるべきとした「ゲシュタルト心理学」(ゲシュタルトは「全体」という意味のドイツ語)をベースとしており、また「今・ここ」で「いかに」「なにを」話しているかを問題とするように、実存哲学の考え方も取り入れられています(本書にある“ゲシュタルトの祈り”にその考え方がよく表れている)。
 「理論」の部分は前提知識がないとやや難しく感じられるかも知れませんが、創始者フレデリック・パールズ自身による著書で翻訳されているものは本書しかないので、読む価値はあると思います。

 ユダヤ人精神科医であったパールズは、フロイト派の精神分析医としてスタートしていますが、本書では自由連想法などに対しては完全に批判的で、むしろ「ゲシュタルト療法」というのはその対極にあるものと言ってよいかも(ただし、フロイトという先達に対して著者は、深い尊敬の念も抱いている)。
 患者例として神経症のかなり難しい症例などが選ばれていますが、技法としては、患者の声の調子や姿勢、身振り、他者に対する反応を注視し、その人の人格的欠陥を探し、自身に気づかせながら治療するという、言わば積極的に患者の“態度”に働きかけていく手法をとっています。
 これは、アルバート・エリスの論理療法が、その人の“思考”に積極的に働きかけるのとも、また異なるわけです。

 以前にビデオで見たもので、「グロリアと3人のセラピスト」というのがあります。
 聡明だが現実生活に悩みをもつ若い女性が、ロジャーズ(来談者中心療法)、パールズ(ゲシュタルト療法)、エリス(論理療法) という心理療法の3大創始者のセラピーを1日の間に続けて受ける(!)、その様子を収めた記録映画です。
 面接中に一番口数が多かったのがパールズで、どんどん女性の話を中断して、そのとき女性がとった態度などを話題として割り込んでくる―。しかも瞬時に、その態度に対する彼なりの解釈を添えて。

 女性が面接終了後、パールズ先生は少し怖かったというようなことを述べていたのが印象的でした(残念ながら、貴重な体験をしたこの女性は、その後間もなく、交通事故死してしまった)。
 個人的には、実践場面においてのこの療法は、かなりセラピストのタレント(資質)に依存する部分が大きいのではという気がしています。

   グロリアと3人のセラピスト.jpg ビデオ/カラー『グロリアと3人のセラピスト 』



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和田泰明ブログ

投稿者 wadamy : 2006年08月19日 14:52