「●来談者中心療法」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 「●論理療法」 【196】 今村 義正/国分 康孝 『論理療法に学ぶ』
「来談者中心療法」のカウンセリング事例。「来談者中心療法」の実際を知るうえで格好の入門書。
『来談者中心療法 心理療法プリマーズ』(2003/09 ミネルヴァ書房) Carl Rogers
カール・ロジャーズのカウンセリングの模様
CARL ROGERS AND GLORIA COUNSELLING PT 1 (「グロリアと3人のセラピスト」より)
一般に「来談者中心療法」はカール・ロジャーズによって開発され、ロジャーズ理論とイコールとされていますが、厳密に言えばそれは100%正しいとは言えず、本書にもある通り、ロジャーズが強調した〈純粋性・受容・共感的理解〉という概念は、セラピストの人格とクライエントに向かう態度であり、彼自身は技法論を提唱していません。
この本では、来談者中心療法とは何か、その技法論とは何かなどの歴史と理論に冒頭約3割を充て、それでは専門家たちはどのようにしてカウンセリングを行っているのかを実際の事例で示すことに、残り約7割を充てています。
本書での6人のカウンセラーによる6つの事例は、10回程度のものから60回を超えるものまで面接回数もその内容も多様ですが、単なる逐語記録の抜粋ではなく、カウンセラー自身の考え方や状況説明に加え、自身での振り返りや何を学んだかなどが述べられいます。
例えば、クリスチャンであるカウンセラーが、新興宗教にはまっているクライエントに向かった場合、どこまで介入すべきかといった難しいケースなども、実事例としてこれらの中にあります。
1つ1つの事例の末尾に東山氏がコメントをしていおり、「来談者中心療法」の実際を知るうえで格好の入門書だと思います。