【500】 ◎ 宮部 みゆき 『ぼんくら (2000/04 講談社) ★★★★☆

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時代人情モノとして堪能できるミステリー。

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ぼんくら』['00年/講談社](装画・題字:村上 豊)/講談社文庫 (上・下) ['04年] 

 江戸・深川の長屋を舞台に繰り広げられる時代ミステリーです。主人公の「ぼんくら」と綽名される同心・平四郎と甥の超美少年・弓之介が、長屋で起きた殺人事件を、岡引や市井の人の助けを借りて解いていく―。

 幾つかの短編を併せて長編ミステリーを構成しているのですが、その短編を個々に見ると、ミステリーの1章というより、独立した江戸人情噺としての色合いが強いものがいくつもあります。

 長屋のシステムやルールなどが「霊験お初シリーズ」などの同じ時代推理に比べ丁寧に書き込んであり、そこに住む人々の生活や交わりなどもよく描かれていると思います。こうした長屋モノを得意としたのは山本周五郎ですが、作者は「山本周五郎賞」の方は、現代のカードローン地獄を描いた火車』('92年/双葉社)で早々と取っています。山本周五郎に"恩返し"というわけでもないでしょうが、この『ぼんくら』という作品には、山本周五郎オへのマージュ的なものも個人的には感じました。

 テープレコーダー少年?"おでこ"などの個性的な人物も多く登場しますが、事件に全くと言っていいほど関与しない人物も多く、途中で事件を忘れてしまいそうになります。そのあたりがミステリーファンにとってどうなのだろう、と思いながらも、自分自身は"時代人情モノ"として充分堪能しました。

 作者自身、この構成をどう自己評価したのか、続編日暮らしで答えを探ることにしたいと思いました。

 【2004年文庫化[講談社文庫(上・下)]】

《読書MEMO》
映画 蒲田行進曲.jpgNHK ぼんくら_0003.jpg●2014年ドラマ化 【感想】 岸谷五朗はまずまずだが、久しぶりに見た松坂慶子って昔より演技が下手になってしまったのではないかと思った。でも、昔は演技してなかったけれど、今は頑張って演技しているともとれる。昔は映っているだけで絵になる美人だったので、あとは監督の言う通りにしていればよかったが、年季が行くとそうもいかない。好意的に解すれば、美人姐さん風からおばさん風に芸風をチェンジしたということか。これはこれで、女優としての生き残り戦略ととれなくもないが、映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎」('81年)、「道頓堀川」('82年)、「蒲田行進曲」('82年)の頃の彼女をリアルタイムで知る者としてはやや複雑な思いもあった。

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NHK木曜時代劇「ぼんくら」(2014年10月~12月[全10回])
演出:吉川一義/酒井信行/真鍋斎 脚本:尾西兼一 ほか
出演:岸谷五朗/奥貫薫/風間俊介/六平直政/志賀廣太郎/鶴見辰吾/大杉漣/松坂慶子/勝野雅奈恵ほか


                  

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This page contains a single entry by wada published on 2006年9月10日 13:18.

【499】 ○ 宮部 みゆき 『平成お徒歩日記』 (1998/06 新潮社) ★★★☆ was the previous entry in this blog.

【501】 ○ 宮部 みゆき 『模倣犯 (上・下)』 (2001/03 小学館) ★★★★ (× 森田 芳光 「模倣犯」 (2002/06 東宝) ★☆) is the next entry in this blog.

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