【389】 ◎ 杉山 登志郎/辻井 正次 『高機能広汎性発達障害―アスペルガー症候群と高機能自閉症』 (1999/08 ブレーン出版) ★★★★★

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高機能広汎性発達障害の理解と療育・支援のための優れた参考図書。

高機能広汎性発達障害 アスペルガー症候群と高機能自閉症.gif 『高機能広汎性発達障害―アスペルガー症候群と高機能自閉症』 (1999/08 ブレーン出版)

 本書は「高機能広汎性発達障害」の診断、成長段階ごとの発達援助、治療教育などについて扱っていますが、特徴として、
 ◆この障害特有の複雑な臨床像を多岐にわたり具体的に示している、
 ◆乳幼児期から社会生活上の問題を含む青年期までの支援方法が具体的に示されている、
 ◆個別の治癒教育プログラムの必要性を指導事例と併せて説いている、
 といったことがあげられます。

 発達にムラがある障害と言われても一般の人にはわかりにくいと思いますが、本書は、医学・心理学的分析にとどまらず、理解の助けとなる臨床例が豊富です。
 更には支援のためのアイデアなども具体的で、両親が抱える精神面での問題への対処法にも言及しています。

 著者らが主催する「アスペの会」の活動を通しての研究・実践の集大成とも言えるもので、これまで活動に取り組んでこられた方々に敬意を表すとともに、療育・支援に携わる人たちに是非とも役立ててほしい本だと思います。

《読書MEMO》
●自閉症候群は裾野の広い山(自閉症の山=自閉症スペクとラム・広汎性発達障害(59p
●バロン=コーエン「サリーとアンの課題」心の理論(65p)
●ウィングによる3類型-孤立型・受動型・積極奇異型(105p)
●マルオの事例(129-137p)
●IQ75以下の場合...できる教科は普通学級で受けることは当然だが、特殊学級で基本的学習に取り組む必要も。高学年になって「お客さん」しているのはよくない(159p)

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