【2732】 ○ ロブ・ゴーフィー/ガレス・ジョーンズ (森 由美子:訳) 『DREAM WORKPLACE (ドリーム・ワークプレイス)―だれもが「最高の自分」になれる組織をつくる』 (2016/12 英治出版) ★★★☆

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組織論から入って、リーダー(またはリーダーを志す人)へのアドバイスになっている。

DREAM WORKPLACE1.JPGDREAM WORKPLACE.jpg なぜ、あなたがリーダーなのか 旧3.JPG Rob Goffee & Gareth Jones.jpg
DREAM WORKPLACE(ドリーム・ワークプレイス)――だれもが「最高の自分」になれる組織をつくる』(2016/12 英治出版)『なぜ、あなたがリーダーなのか? (ADL経営イノベーションシリーズ)』['07年] Rob Goffee & Gareth Jones
"Why Should Anyone Work Here?: What It Takes to Create an Authentic Organization""Why Should Anyone Be Led by You? With a New Preface by the Authors: What It Takes to Be an Authentic Leader"(2019)
Why Should Anyone Work Here.jpgWhy Should Anyone Be Led by You?:What It Takes To Be An Authentic Leader.jpg 原題は"Why should Anyone Work Here?"(なぜみんながここで働かなければならないのか?)。本書では、世界で一番働きたいと思う組織は、有能な人材を引きつけ、留まらせる灯台のようなところであり、社員と会社そのものから、常に一番よいところ引き出す場となる組織であるとしています。そして、著者ら(『なぜ、あなたがリーダーなのか』(原題:"Why Should Anyone Be Led by You?: What It Takes To Be An Authentic Leader" 2006))の著者でもある)は、世界中の人々に、理想の組織、すなわち最高の自分になれる組織とはどのようなものであるのかを問い続けた結果、回答は大きく次の6つの原則に分類されることが判ったとしています。

 ①違い(Difference)ありのままの自分でいることができる
 ②徹底的に正直であること(Radical honesty)今現実に起きていることを伝える
 ③特別な価値(Extra value)社員の強みと利益を理解し、強化する
 ④本物であること(Authenticity)アイデンティティ、価値観、リーダーシップ
 ⑤意義(Meaning)日々の仕事にやりがいをもたらす
 ⑥シンプルなルール(Simple rule)余計なものを減らし、透明性と公平性を高める

そして、これらの頭文字をとってこれを「夢(DREAMS)」の原則と呼び、以下、第1章から第6章までは、この6つの原則をひとつずつ詳しく述べ、各章の中でそれぞれの原則に沿ったシンプルな組織診断ツールを示すとともに、末尾にリーダーがとるべきアクションを整理しています。

 第1章「ありのままでいられるように」では、「違い」は埋めずに、むしろ広げるべきであるとして、思考プロセスや人生経験の「違い」を理由に人を雇い、価値観に対する見解の一致を求めながらも、個人が創造的な表現をする余地を認めよとしています。

 第2章「徹底的に正直である」では、今現実に起きていることを伝えるべきであるとして、コミュニケーションは正直に、かつ迅速に行うことなどを説いています。

 第3章「社員の強みと利益を理解し、強化する」では、ひとりひとりのために特別な価値を創造せよとし、能力開発のチャンスを与えること、社員に価値を付加することなどを推奨しています。

 第4章「『本物』を支持する」では、アイデンティティや価値観を重視し、自分の中にある「本物であること(オーセンティシティ)」を行動で示すことを説いています。

 第5章「意義あるものにする」では、日々の仕事にやりがいをもたらすにはどうすればよいかを述べており、意義あるものを見つけようと思ったら、様々な経験を取り入れ、また、あらゆる機会を使って、自分の組織の取り組みと成果を、広くコミュニティにつなげていくことを推奨しています。

 第6章「ルールはシンプルに」では、余計なものを減らして、透明性と公平性を高めることに努めよとし、物事がうまくいかなくても、新しいルールをつくりたいと思う誘惑を退けなさいとしています。

 さらに第7章では、本物の組織を作り維持するにはどうすればよいか、6つの原則を自分の組織の現状にカスタマイズする際に、リーダーとして行わなければならないトレードオフのパターンなどを示しています。

著者らはロンドンの組織行動学とリーダーシップの研究者ですが、各章とも組織の在り方から入って、組織診断ツールを示した上で、リーダーがとるべきアクションを整理しており、最終的にはリーダー(またはリーダーを志す人)に啓発を促す内容になっています。

 「6つの原則」は、それだけではやや抽象的な人生訓のような印象も受けなくはありませんが、多くの事例を紹介することで、読み進んでいく中で具体的にどのようなことを指すのかがイメージ出来るようになっていて、そのことがリーダーへのアドバイスに繋がっていきます(中にはややもやっとした感じのままのものもあったが、一方で、感動的なエピソードも少なからずあった)。

 ただし、本書で挙げた組織は、「6つの原則」の少なくともひとつ以上の達成に向けて努力していると思われるから取り上げられたのであるとのことで、それらの中で「6つの原則」をすべて解決した企業はひとつもないとしています。ですから、「こんなのウチでは無理だ」などと思わないで、自分たちに出来ることは何かという感覚で読んでいった方が、割合受け入れられ易いのではないでしょうか。

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