【2583】 ○ 恩田 陸 『蜜蜂と遠雷 (2016/09 幻冬舎) ★★★☆

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一気に読めた。力作だと思うが、読んでいて少女マンガのイメージがついてまわった。

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蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)』「本屋大賞に恩田陸さん『蜜蜂と遠雷』初の直木賞と2冠」(東京新聞)

 2016(平成28)年下半期・第156回「直木賞」受賞作。2017(平成29)年・第14回「本屋大賞」第1位作品。

 3年に1度の芳ヶ江国際ピアノコンクールは、優勝者の著名コンクールでの優勝が続き、今回特に注目を集めていたが、オーディションの5カ国のうちパリ会場で、3人の審査員は凡庸な演奏を聴き続け飽きていた。そこへ、今年逝去した伝説の音楽家ホフマンのこれまでにない推薦状で、「劇薬で、音楽人を試すギフトか災厄だ」として現れた16歳の少年・風間塵は、その演奏で衝撃と反発を与え、議論の末にオーディション合格、日本の芳ヶ江市での2週間のコンクールへ。塵は師匠の故ホフマンと「音を外へ連れ出す」と約束をしていたが、自分ではその意味がわからず、同じコンテスタントの20歳の栄伝亜夜に協力を頼む。もう一人のコンテスタントのフランス人の父親と日系ペルー人の母親を持つ19歳のマサルは、子供の頃ピアノに出会わせてくれた亜夜と再会する。3人の天才と年長の28歳の高島明石のピアニストたちが、音楽の孤独と競争、友愛などにさまざまに絡み悩みつつ、コンクールの1次、2次予選から3次予選、更に本選を通じて成長し、新たな音楽と人生の地平を開いていく―。

本屋大賞1-9.jpg 作者は、音楽コンクールを予選から本選まですべて小説として書くという着想を得たものの、実際にはかなり難しく、2009年に書き始めるまでに5年かかったとのことです。最終的には、構想から12年、取材に11年、執筆に7年もの歳月を費やしたとのことで、直木賞と本屋大賞とを史上初のW受賞し、苦労が報われて良かったと思います(この世界、苦労しても報われないことが多そうだから)。本屋大賞(1位)は、2005年の『夜のピクニック』に次いで2回目(これも史上初)、直木賞の選考では、林真理子氏が「今回の受賞作は文句なしに『蜜蜂と遠雷』だなと思いつつ審査に臨んだ」と絶賛、浅田次郎氏、宮城谷昌光氏、宮部みゆき氏も推薦し、東野圭吾氏は△から◎に変更。桐野夏生氏、伊集院静氏は△のまま。最も否定的だったのは高村薫氏でしたが、過去の例からみても選考委員の3分の2が◎乃至○であれば、まあ順当に「当選」といった感じでしょうか。

 2段組500ページ強を一気に読ませる筆力はたいしたものだと思いました。一応は力作だと思います。但し、読んでいて、自分のイマジネーションの限度のせいか、登場人物を生身の人間として感じにくかった気もします。何か、少女マンガを読んでいるような...。視覚化するなら、映画やドラマよりも少女マンガではないかと(読んでいて、そのイメージがついてまわった)。Amazon.comのレビューなどを見ると、5つ星が圧倒邸に多い高い評価でしたが、たまに低い評価のレビュワーもいて、その中で『ピアノの森』や『のだめカンタービレ』の方が上だと評しているものもありました。この分野はマンガの方が先行しているのでしょうか。

 読んでいて、本選の結果発表の直前でエンディングになるのかなあと予測しましたが、結果を発表しちゃったなあ。まあ、順位はこの際問題ではないということなのだろうけれど。先の直木賞選考委員評の中で、桐野夏生氏が「なぜに、最終審査があの順位になるのか、選ぶ側の思惑をもっと知りたかった。でなければ、天才とは何か、またコンクールとは何のためにやるのか、はたまた人間にとって音楽とは何か、という大きな謎に迫れない」とコメントしていて、一理あるように思いました。その桐野夏生氏も、「しかし十分に読みごたえもあるし、受賞にかなうものだった」としていますが、個人的も、一応○は○といったところでしょうか(「遠雷」ってどこにも出てこなかったなあ)。

            



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和田泰明

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