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巡査ジョーンズが「刑事」に。双子兄弟の一人二役に続いて、キャラ立ちしている親子の二人四役。
「Midsomer Murders Set 11 [DVD] [Import]」(The House in the Woods(真相の眠る屋敷)/Dead Letters(カーニバルの傷痕)/Vixen's Run/Down Among the Dead Men)
ニュートンの森にひっそりと佇むウィンヤード屋敷は、近頃幽霊が出ると噂になり、地元の子供たちの肝試しスポットとなっていた。ある日、物件探しでこの屋敷に惹かれた夫婦が、屋敷から車に戻ったところで何者かに絞殺されてしまう―。(第44話「真相の眠る屋敷」)
屋敷を売り出しているチャーリーには実は双子のジャックという兄弟がいて、昔起こした事件(警官殺し)で服役中とのこと。しかし、実際には、ジャックがチャーリーの罪を被って服役していたんだなあ。そのジャックは屋敷に思い入れがあって、脱獄までして屋敷を見に来る―。
う~ん、双子の兄弟で自分が知能も人格も全ていいところばかり取ってしまって、弟には悪いところばかりいったからと言って、そのことに後ろめたさを感じて弟の罪を被るかなあというのはありますが、実際ジャックは子供にも好かれるいい人という感じで、自分を愛してくれた女性とも会えて、まあ最後は犯人に殺されなくて良かったという感じでしょうか。
兄弟を同じ俳優が演じていますが、きっちり演じ分けていたし、両者がもみ合う場面などは巧く撮っていました(但し、ジャックを簡単に脱獄させてしまう刑務所や、チャーリーに易々と屋敷に入り込まれる警察というのは如何なものか)。
チャーリーも充分に怪しいのですが、それまでに怪しい人物が目一杯出てくるので、初登場の時は相対的にまともに見えてしまうという、いつもながらの巧みなミスリードのさせ方でした。ある程度まで混迷を深めた段階で、少年がチャーリーをジャックだと思って「ジャック」と呼びかけて反応が無かったという、視聴者から見れば分かり易い謎解きの手立て示したのは親切か。
本作から第9シーズン。バーナビーは、スコット巡査部長の病欠で、代わりに巡査ジョーンズ(ジェイソン・ヒューズ)を警官の制服からスーツに着替えさせて巡査部長代理として共に捜査に当たらせますが(「キミ、やってみるか?」って感じだったね)、もしかしてこの人、スコットより優秀? 一方のスコットは、結局、前シーズンを最後に、このシリーズに復帰することは無かったようです(やや気の毒)。
ミッドサマー・バートンで年一度開催されるオークアップル祭。お祭り気分の中、マリオン・スレードの水死体が発見される。彼女は精神安定剤のダイラシンを多量に服用しており自殺かと思われたが、肩には押さえつけられたような痕があったバーナビーとジョンは捜査を開始、聞き込みを続けるうちに、マリオンに8年前に食中毒で死亡した娘がいたことを知らされる。その後ベラのかつての同級生マークが、自分の犬を祭りのドッグショーに出すと言っていたが現れず、森で首を切られて死んでいるのが見つかる。彼もマリオンと同様にダイラシンを飲まされて殺されたのだった―(第45話「カーニバルの傷痕」)
今回も怪しげな人物が目一杯出てきますが、極めつけは「第1話/謎のアナベラ」に出てきた覗き趣味の"塩沢とき"風オバサンと葬儀屋の息子の親子が、村の祭りの仕切り屋と図書館員の役でまた出てきている点―といっても、2人は第1話で犯人によって殺害されているため、それはあり得ないと思って観ていましたが、どう見ても同じ役者が演じている! 結局、このアリスター親子というのは、第1話のレインバード親子の姉と義兄だったわけかあ(スゴイ役者の使い回し方! それだけあの親子のキャラが視聴者受けしたということか)。
バーナビーがどこかでお会いしましたね、とか、ずっとこの村に住んでいるのですかとか色々訊いて、やっと9年前に妹親子が殺害されたことを聴き出し得心しますが、意外と自分が手掛けた事件のことを覚えていないのかな(9年前ならまあ無理もないか)。こっちのオバサンも覗き趣味だし、息子には溺愛していた甥と同じ格好をさせているし、それがまた葬儀屋の恰好なので、怪しさ全開なのですが、まあ今回も被害者になることはあっても犯人ではないんだろうなあと。
お祭り男の旦那はプロのコメディアンを目指していて実入りのある仕事はしておらず、その旦那にあなたコメディアンにはなれない、なぜならば「あなたの人生そのものがコメディなのよ」と言い放つ妻。その妻も医師と浮気していて、この医師(医者なのにヘビースモーカー)も好色...といった具合に、犯人を除く残りの人たちの方が問題ありではないかと思わせるような村の人々でした。
ジョーンズ巡査の優秀さが結構目立ちました。バーナビーが相手に質問したいことを先回りして聴いていくため、バーナビーもやや感心している様子。「巡査」(階級名)がスーツで仕事しているのを「刑事」と俗称で呼ぶのは日本だけなのかなあ。"DITECTIV"は日本語で「探偵」とか「刑事」とか訳されることが多いですが、本来は階級名の一部でもあるようです(「巡査」が私服刑事になるのに特に試験とはないわけか)。
因みに、イギリスでは、警視以下の役職階層は次の通り。
警視 DSI DITECTIV Superintendent
警部 DCI DITECTIV Chief Inspector
警部補 DI DITECTIV Inspector
巡査部長 DS DITECTIV Sergeant
巡査 DC DITECTIV Constable
バーナビーは「警部」(DCI DITECTIV Chief Inspector、番組のオープニングでは「DCI」の表記)で、かつての部下トロイは「巡査部長」(DS DITECTIV Sergeant、同「Sgt. 」の表記)から「警部補」(DI DITECTIV Inspector)に昇進して番組を去り、今度の部下ジョーンズは、一番下の「巡査」(DC DITECTIV Constable、同「DC」の表記)ということになるようです(トロイの初登場時より年喰っているように見えなくもないが)。
「バーナビー警部(第44話)/真相の眠る屋敷」●原題:MIDSOMER MURDERS:THE HOUSE IN THE WOODS●制作年:2005年●制作国:イギリス●本国上映:2005/10/09●監督:ピーター・スミス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:バリー・シンナー●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/ジョージ・ベイカー●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)
「バーナビー警部(第45話)/カーニバルの傷痕」●原題:MIDSOMER MURDERS:DEAD LETTERS●制作年:2006年●制作国:イギリス●本国上映:2006/02/26●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:ピーター・ハモンド●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/エリザベス・スプリッグス/リチャード・キャント●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)