【2061】 ○ ピーター・スミス 「バーナビー警部(第32話)/委託の代償」 (04年/英) (2009/02 ミステリチャンネル) ★★★☆ (○ リチャード・ホルトハウス 「バーナビー警部(第33話)/聖女の池」 (04年/英) (2009/02 ミステリチャンネル) ★★★☆)

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老人たちが秘めたシルバー・パワーを見せた2作。

バーナビー 委託の代償dvd .jpg バーナビー 委託の代償2.jpg    バーナビー 聖女の池 dvd.jpg
Midsomer Murders [VHS] [Import]」SINS OF COMMISSION (委託の代償)/THE MAID IN SPLENDOUR (聖女の池)

バーナビー 委託の代償1.jpg 第12回ミッドサマー文芸祭の前日、作家のリチャードが自宅で殺害されているのを友人のケイが発見する。現場に駆け付けたバーナビー警部は、ケイがリチャードの部屋に飾られていた絵葉書をバッグにしまいこむのを目撃するが―。(第32話「委託の代償」)

 まず、一番最初に怪しいと疑われる人物(今回は若手の男性作家)は真犯人ではないというのがこのシリーズのパターンですが、その後が全然判らなかったなあ。まさか、犯人がスーパーお婆ちゃんとは。プロット的には面白かったけれど、最後の謎解きでの再現シーンは笑ってしまいました。自然に身体が動いてしまう殺人のプロかあ。

 まあ、確かに、殺害された人物が全て"刺客"的要素を帯びていたと解すれば筋は通り、法廷で全て正当防衛だとして罪に問われないよう尽力するというバーナビーの言葉は、彼が現場に立ち会ってなくとも頷けるものでしたが、このシリーズとしては(お婆ちゃんのアクションシーンも含めて)かなり異色作の部類に入るのではないでしょうか(脚本のエリザベス・アン・ホイールはこのシリーズ初仕事)。

SINS OF COMMISSION.jpg 例の我儘し放題の女流作家の小説もお婆ちゃんが書いていたわけだけど、色恋でもまだまだ現役であることを匂わせる場面がありましたね。本はジョイスに酷評されていたけれど、わざと通俗風に書いていたのでしょうか。

 バーナビーと一緒に捜査に当たる巡査部長がトロイ(ダニエル・ケーシー)からスコット(ジョン・ホプキンズ)に代わって3作目。結構トッポい感じで、聞き込み相手が美人だと捜査を忘れそうになってしまう一方で、巧みに筆跡鑑定の素材を得たり、思わぬところで証拠を見つけたりして、それをバーナビーも叱ったり褒めたりと、こまめにOJTしているなあ。


バーナビー 聖女の池 3.jpg オーナーだったマイケル・バナーマンが引退し、常連客で賑わうレストランとバーを備えたミッドサマーの人気店「美しい池の娘」は息子のスティーブンと妻ローナにより経営されているが、スティーブンはバーを閉めて、レストランを拡大しようと計画して不動産屋との間で売却話を進めていた―。(第33話「聖女の池」)

バーナビー 聖女の池 4.jpg オーナーのスティーブンは絶対に殺されると思ったけれど、そこからの展開が判らなかったなあ。尤も、過去から続く結構複雑な人間関係(2世代にわたる不倫関係と三角関係が、爺さんの老いらくの恋のおかげでクロスしてしまっている)が意外とすんなり頭に入ったのは、見せ方の上手さでしょうか。

バーナビー 聖女の池 店.jpg 実行犯は爺さんだったけど、それを仄めかしたのは、かつて不倫関係にあり、今も結婚を迫っているオバさん。爺さんが心臓発作で亡くなって、バーナビーは「委託の代償」とうって変って、今度は厳しい態度で教唆犯に臨んでいました(前回が異例だった?)。

 まあ、日本の法律でも、「殺人」と「殺人教唆」は最低懲役5年から最高刑は死刑と同じで、時として教唆犯の方が実行犯より重刑となる場合もあるわけですが、このオバさん、バーナビーの追及に観念したのか、殺人教唆の手口を弁護士もいないところで結構バーナビーに喋っていたなあ。

The George Hotel - used as 'The Maid in Splendour' pub

バーナビー 聖女の池 バー'.jpg プロット的には面白かったけれど、愛する男に自分の息子を殺すよう仕向けるかなあ。殺されたオーナーの妻ローナも、亭主が殺されたとたんに店を改装して前オーナーの爺さんを追い出すし、オバさんの娘は、見かけの清楚さとは裏腹に意外と金目当ての蓮っ葉だったし、エゴイスティックな女性ばかりで、主要登場人物がろくなのがおらず、後味はイマイチでした。

 スコットはここでもその娘への関心から単独行動に出て、そこで聞き知ったことをバーナビーに報告せずにいてキツく叱られていたけれど、一方で、爺さんとオバさんの昔の関係を探るヒントを見つけ出してバーナビーを唸らせるなど、誤った推理や挙句の果ての誤認逮捕を繰り返していたトロイに比べる、結構意外なところで鼻が効いたりするのが特徴でしょうか。

The bar in 'The George Hotel' used as one of the interiors for 'The Maid in Splendour'

 爺さんは店の経営を断念せざるを得ないほどに身体は弱っていて、しかもアル中気味だったのに、いざ殺しとなると矍鑠と行動していたわけか(色恋の力?)。前作のスーパーお婆ちゃんといい、秘めたシルバー・パワーを見せた2作でした。

第32話)/委託の代償.jpg「バーナビー警部(第32話)/委託の代償」●原題:MIDSOMER MURDERS:SINS OF COMMISSION●制作年:2004年●制作国:イギリス●本国上映:2004/01/18●監督:ピーター・スミス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:エリザベス・アン・ホイール●時間:96分●出演:ジョン・ネトルズ/ジョン・ホプキンズ/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン●日本放映:2009/02●放映局:ミステリチャンネル(評価:★★★☆)

第33話)/聖女の池.jpg「バーナビー警部(第33話)/聖女の池」●原題:MIDSOMER MURDERS:THE MAID IN SPLENDOUR●制作年:2004年●制作国:イギリス●本国上映:2004/01/25●監督:ジリチャード・ホルトハウス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:アンドリュー・ペイン●時間:95分●出演:ジョン・ネトルズ/ジョン・ホプキンズ/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン●日本放映:2009/02●放映局:ミステリチャンネル(評価:★★★☆)

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