【1986】 ○ ジェレミー・シルバーストン 「バーナビー警部(第2話)/血ぬられた秀作(小説は血のささやき)」 (98年/英) (2002/04 NHK-BS2) ★★★☆

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おどろおどろしさは尽きせず、一方でユーモアも。楽しめたけれど、疑問点も。

血ぬられた秀作 dvd.jpg WRITTEN IN BLOOD DVD.jpg      John Nettles.gif Daniel Casey.gif
バーナビー警部~血ぬられた秀作[DVD]」/輸入盤DVD"Midsomer Murders" Written in Blood" DCI.Barnaby(John Nettles)/Sgt.Troy(Daniel Casey ) 
Gerald Hadley(Robert Swann)/Max Jennings(John Shrapnel)
Robert Swann.pngJohn Shrapnel.gif アマチュア作家サークルを主宰するジェラルド・ハドリー(ロバート・スワン)の家で、主人の死体が発見される。サークルでは前夜、プロの作家マックス・ジェニングス(ジョン・シャープネル)を招いて講演会を開いていたが、ジェラルドとマックスの間には緊張感が漂っていた。
Amy Liddiard(Joanna David)/Honoria Lyddiard(Anna Massey)
Joanna.gifAnna Massey.gif マックスを招くことを提案したエイミー(ジョアンナ・デビッド)は、講演会の前にハドリーから「マックスと二人きりにしないでくれ」と懇願されていたが、義姉オノーリア(アンナ・マッセイ)の命令で、やむなく二人だけを残して先に帰っってしまったことを後悔していた。
Brian Clapper(David Troughton)/Edie Carter(Nancy Lodder)
David Troughton.gifNancy Lodder.gif バーナビー警部(ジョン・ネトルズ)は、トロイ巡査部長(ダニエル・ケイシー)と共にサークルの面々に聞き込みに廻るが、ハドリーの素性を訊いいても誰も知らない。サークルのメンバーで中学校で演劇を指導しているブライアン(ディビッド・トロートン)も、事件当時不審な行動をとった一人だが、教え子イーディー(ナンシー・ロデル)に性的行為をしている現場の写真を生徒に撮られてしまって、事件どころではない。
Selina Jennings (Una Stubbs)/Barbara Kneale(Annoushka Le Gallois)
Una Stubbs.gifAnnoushka Le Gallois.gif そうした中、ハドリーに続いて、マックス・ジェニングスも海辺のコテージで遺体となって発見される。マックスの妻のセリーナ(ウナ・スチュブス)や秘書バーバラ(アノーシュカ・ルガロア)の話によれば、彼は海外へ講演旅行に行っていたはずとのことだったが、バーナビーの調べで、彼は出張を装い、愛人であるバーバラとそこで落ち合うことになっていたことが判る。二人を殺した犯人は一体誰なのか―。

空白の一章.jpg この1998年3月本国イギリスでの放映のシリーズ第2話「血ぬられた秀作」(Written in Blood)は、第1話「謎のアナベラ」(1997)がパイロット版であるため、実質、第1シーズン第1話になります(日本初放映は2004年4月。前後編(第3話・第4話)に分けて放映され、当時のタイトルは「小説は血のささやき」)。キャロライン・グレアムによる原作は、2010年になって『空白の一章―バーナビー主任警部』(論創社)として訳出されました。

Midsomer Murders 1998 (British TV Series).jpg ジェラルド・ハドリーはプロ作家マックス・ジェニングスと会うのを嫌がり、それでもサークルのメンバーの総意で彼を呼ぶことになって渋々それに従い、一方、マックス・ジェニングスもジェラルド・ハドリーと会うことを恐れていた―そして、その両方が殺される、という展開にぐぐっと引き込まれます。

 ジェラルド・ハドリーとマックス・ジェニングスの秘められた過去の因縁がカギになるわけですが、より詳しく言ってしまうと、エイミーの義姉オノーリアの亡くなった弟(つまりエイミーの夫だった人物)とジェラルド・ハドリーの関係が過去にあって、それに元精神科医で今や人気作家マックス・ジェニングスが絡んでいたということだったんだなあ。原作ではマックス・ジェニングスは元精神科医ではなく広告代理店勤務。殺されるには至らず、最後、自らの口から、亡くなったエイミーの夫(オノーリアの弟)と殺されたジェラルド・ハドリーの関係を明かします(それをネタに小説を書いて、流行作家の地位を得た...)。

 しかし、ハドリーの過去、凄すぎるなあ。第1話「謎のアナベラ」の近親相姦に続いて、今度は父親殺し(冒頭シーンで暗示されている)にホモセクシュアルに女装癖。しかし話はこれだけにとどまらず、更に真相はエスカレートしていき、もうおどろおどろしさは尽きることを知らないといった感じで、ステーヴン・キングの「シャイニング」か、はたまたヒッチコックの「サイコ」か、といった場面もあります(但し、これは原作通り)。

Written in Blood (1998).jpg バーナビーが捜査の最中に首筋を掻いてばかりいるのは、後の方で、娘から預かったペルシアン・ブルーのお蔭で猫アレルギーを発症していたことが判明します。重厚でゴシック調の暗っぽさも感じられる事件周辺の雰囲気と、バーナビーのこうした家族との暖かいふれあいやユーモラスな様との取り合わせがこのシリーズの妙なのでしょう(娘の猫を預かる話は原作通りだが、猫アレルギーの話は原作には無い)。田園風景の美しさも楽しめました。

 しかし、こんな因縁を持った二人が、嫌々ながらでも会おうとするかなあ。ハドリーの立場からすれば、サークルのメンバーの意見を容れて呼んだのは、潜在的に復讐の意図があったのか(他に候補に挙がって却下されたのが、フレデリック・フォーサイスだったりジェフリー・アーチャーだったりするのが可笑しいが、この両作家名が招聘候補に挙がるのも原作通り)。でも、マックス・ジェニングスの立場からすれば、ノコノコ出向いていくのは意図不明の印象も受けました。

 それに犯人がたまたま過去の真相を知ったタイミングが合っちゃったわけで、事件が複雑になった...。しかも、二人は同じ村に住んでいて、同じサークルに属していた...。これ、ホントに偶然なのか、何か伏線があったのか、よく分からなかったなあ。

 結局、最初一番怪しくて、生徒に嵌められたりした中学校の演劇の先生は、視聴者の推理をミスリードさせるための目くらましだったということになるのでしょうか。それにしても問題アリの生徒たちだなあ。トロイ巡査部長がこの学校に7年間通っていたということは、彼が労働者階級の出身であることを示唆しているのでしょう。

「バーナビー警部(第2話)/血ぬられた秀作(小説は血のささやき)」」●原題:MIDSOMER MURDERS:WRITTEN IN BLOOD●制作年:1998年●制作国:イギリス●本国上映:1998/03/22●監督:ジェレミー・シルバーストン●脚本:アンソニー・ホロヴィッツ●撮影: ナイジェル・ウォルターズ●音楽 : ジム・パーカー●原作:キャロライMidsomer Murders - On the Set - Written in Blooda.jpgン・グレアム●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ダニエル・ケイシー/ジェーン・ワイマーク/ローラ・ハワード/バリー・ジャクソン/ロバート・スワン/ジェーン・ブッカー/ローラ・ハットン/ジョアンナ・デビッド/アンナ・マッセイ/ディビッド・トロートン/ジュディス・スコット/ジョン・シャープネル/アノーシュカ・ルガロア/マレーネ・サイダウェイ/ナンシー・ロダー/ティモシー・ベーテソン/ウナ・スチュブス●日本放映:2002/04●放映局:NHK‐BS2(評価:★★★☆)
Midsomer Murders - On the Set - Written in Blood

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