「●労働法・就業規則」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【1649】 大内 伸哉 『君は雇用社会を生き延びられるか』
6年間連載した基本事項のQ&Aを、項目順を整理し、最新の法令に準拠し直した集大成。
『労働法実務Q&A 全800問(上)(下) セット (労政時報選書)』『労働法実務Q&A 全800問(上) 人事・労務管理 (労政時報選書)』『労働法実務Q&A 全800問(下) 賃金・労働時間 (労政時報選書)』 『労製時報』連載のファイリング(下写真)
人事専門誌 『労政時報』の付録として連載されていた「実務家のための法律基礎講座」のQ&Aを、単行本上下巻に収録したものです。
上巻の「人事・労務管理」では、就業規則、採用、試用期間、教育・研修など22項目について、下巻の「賃金・労働時間」では、賃金、賞与、退職金、年俸制など20項目について、職場で問題となりがちな事柄をQ&A形式で取り上げ、弁護士や社会保険労務士など第一線で活躍中の多くの専門家が、執筆分担し解説しています。
『労政時報』を購読している企業の人事・労務担当者の中には、本誌の毎号の巻末にある「相談室Q&A」に目を通しながらも、月の前半号に付録としてあったこの「実務家のための法律基礎講座」も読み、さらには、'05年8月の連載開始時からずっとファイリングしていた人もいるかと思いますが、自身が労働法の知識の確認・研鑽をするために読むのにもいいし、新任担当者に読ませるのにも適していると思っていました。
6年間に及んだ連載の第1回のテーマは「賃金」であり、その後「普通解雇」「時間外・休日労働」「就業規則」......と続きました。時系列でファイリングしていくと、労働法の分野内とは言え、読み返す際にあちこちに"飛ぶ"ということになり、また、この6年の間に労働法規等の改正も相当にありました。
この度の連載完結を機に、大括りのテーマごとに項目の順番を整理し、かつ最新の法令に準拠したものを単行本化してもらえればありがたいとは思っていましたが、今回の本書の刊行は、まさにそうした要望に応えるものでした。
計800問というのは相当数の設問だと思いますが、これが2分冊で読めるのがコンパクトで便利であり、また、2色刷りとなってさらに読みやすくなっています。
内容的にも、もともと執筆分担制で書かれたものであるため、各項目とも、取り上げるQ&Aが十分に厳選されているように思います。
重要度の高い問題、実務家が直面する可能性の高い問題を優先的に取り上げており、極端な"レアケース"や、法律家が言うところの所謂"マニアック"なQ&Aに偏ることなく、結果として、実務において必要な労働法の基礎知識を、一通り網羅し解説していることにもなっています。
単に項目数が多いというだけではなく、例えば「不利益変更」や「パートタイマー」「契約社員」など、横断的な切り口のテーマが設けられているのも、実務での利用に適っているように思います。
全編を通して、専門家以外の人にも伝わるような分かりやすい言葉で書かれているため、実際の案件についての法的な取り扱いが知りたい場合の手引書として「引いて使う」だけでなく、労働法の解説書、知識基盤拡充のための学習書として「通して読む」のにも適していると言えます。
また、社内で労務上のトラブルが生じた際などに、初心者や職場の管理者に対し、それが法的にはどのような扱いになり、どう対処すべきなのかということを、該当する事柄を解説した箇所を指し示すことで、できるだけ正確に伝えるといった使い方もできるかと思います。
労務に携わる人にお薦めと言うか、是非手元に置いておきたいセット(置いとくだけでなく、時々でもいいから読みましょう!)。