【1589】 ○ 亀田 高志 『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門―図でわかる、適切な対応ができる』 (2009/03 東洋経済新報社) ★★★☆

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メンタルヘルス関連の知識習得の初期段階で読む分には、手に取り易い本。

人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門.bmp 『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門―図でわかる、適切な対応ができる』(2009/03 東洋経済新報社)

 本書前書きにもありますが、バブル崩壊後、日本企業を取り巻く環境は厳しいものとなり、多くのビジネスマンが強いストレスを感じながら仕事を続け、その結果、メンタルヘルス不調に陥り、休職や退職に至るケースが増えているとのこと(本書データによれば、日本人のうつ病は過去20年で6倍に)、それに加えて、サブプライム問題に端を発した経済不況で、今後もメンタルヘルス不調者は増加することが懸念されています。

 本書の著者はベテランの産業医で、産業医を目指す人の育成にもあたったことがあり、現在は、企業のメンタルヘルス対策のコンサルタント会社を経営している人ですが、企業がメンタルヘルス不調の従業員を抱えることは、労働生産性の低下ばかりでなく、それが労災請求や民事訴訟、行政訴訟に発展すれば、多額の賠償金を支払わなければならなくなる危険性もあると指摘しています。

 そうした事態を招かないようにするために、「人事担当者や管理職が果たすべき役割」というを視点を軸として、メンタルヘルス対策の必要性、うつ病・新型うつ病・そう病・統合失調症・適応生涯・不安障害・人格障害などのメンタルヘルス不調の典型症状の概要、それらがどのように現われるのか、また、対策を進める仕組みづくりや不調者の「復帰支援」をどのように進めていくのか、予防・早期発見をどうするか、などを本書において解説しています。

 ほぼ、見開きの片側が図解になっているため、たいへん解り易いのが特長で、メンタルヘルス不調についての知識、メンタルヘルス対策の基本事項を押えるには良い本だと思います。

 メンタル不調で休業・休職していた従業員の「職場復帰支援」などは、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に準拠して解説されていて、「リハビリ出勤」についてや、業績評価での「不調」を考慮すべきかどうかという問題にも触れられていて、全体に偏りが無く、バランス良い解説書となっているように思います。

 但し、紙数の制約のためか、事例的なものに割くスペースが殆ど無く(守秘義務を遵守している?)、ワンテーマごとの解説がスッキリしている分、やや物足りなさも。
 人事担当者が、知識習得の初期段階で読む分には、手に取り易い本であるとは思いました。

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