【408】 ○ 池波 正太郎 『夜明けのブランデー (1985/11 文芸春秋) ★★★☆

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文章とのとり合わせで味わい深い、豊富な自筆挿画が楽しめる。

夜明けのブランデー tannkoubon.jpg夜明けの.jpg     夜明けのブランデー 文庫.jpg (表紙イラスト:池波正太郎)
夜明けのブランデー』['85年]        『夜明けのブランデー (文春文庫)』['89年]

 池波正太郎が亡くなったのは'90(平成2)年で67歳でしたが、本書は、'84(昭和59)年から翌年にかけて「週刊文春」に連載した40編のエッセイで、著者61歳から62歳にかけてのものです。

 映画や芝居のこと、食べ物のこと、昔の思い出などが淡々と書かれていて、自身の健康のことや「気学」に凝っている話などもあり、かなり"枯れてきた"感じがしないでもありません。

 この「時代小説」作家が、昔の銀座や下町を愛する一方で、フランスへの強い憧憬を抱いていたこともわかります。

真田太平記 風間完.jpg ショートエッセイ1編につき2点ずつ全部で80の自筆画があって、それらが文章とのとり合わせで、どれも味わい深いものでした。

 『真田太平記』の挿画は風間完画伯によるものでしたが、おせっかいながら、作家本人にこれだけ絵心があると、挿絵画家はやりにくいのではないかという気もしました。

 何れにせよ、一挙に大量の"池波画伯"の絵が楽しめるのが、本書の大きな魅力です。

『真田太平記』(挿画:風間完)

 【1989年文庫化[文春文庫]】

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