【376】 ○ 川島 隆太 『自分の脳を自分で育てる―たくましい脳をつくり、じょうずに使う』 (2001/03 くもん出版) ★★★★

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音読・計算ブームの原点となった本だが、他にも読みどころあり。

自分の脳を自分で育てる.jpg 『自分の脳を自分で育てる―たくましい脳をつくり、じょうずに使う (くもん出版)』 〔'01年〕

FMRIscan.jpg '01年に出版されたこの本は、脳の働きを調べるブレーンイメージング研究の成果を通じて、子ども向けに脳の仕組みをわかりやすく伝えようとしたものだったのですが、翌年、『読み・書き・計算が子どもの脳を育てる』('02年/子どもの未来社)が出るや、計算・音読ドリルブームとなりました(料理ドリルまで出た!)。
 結果として、音読や単純計算をしているときは脳が活性化しているということは知られるようになりましたが、他にも興味深いことが結構書いてあります。

 ―右手を開閉させているときは左脳を使っているが、左手を開閉させているときは両脳を使っている。ただし、左利きの人はどちらの場合でも両脳を使っている、
 ―人の顔や風景の記憶は大脳の下部に、動物や植物の名前は脳の後ろのほうにしまわれている、
 といったことなど。脳の不思議を改めて考えさせられる本でもあったのかと。

 しかし、どちらかと言うとこうした点は読み飛ばされ、計算・音読が脳を活性化させる点のみが注目されて、実用的な方向へ大方の関心がいってしまう風潮がやや残念。

《読書MEMO》
●どちらが脳を使う?ゲームと単純計算(内田クレペリン検査)(12p)
●文章を音読すると脳が活発化(30p)
●前頭前野...コンピュータの中のコンピュータ(物事を考えたり覚えたりするときに働く(40p)
●単純計算をする時も左右の前頭前野が活発化(50p)
●ブローカ野...言葉を作り出す働き(58p)ウェルニッケ野...言葉の意味を理解する働き(59p)
●右手の開閉は左脳を使うが、左手は両脳使う→左脳が右脳を助ける(95p)
●左利きの人は常に両脳を使っている(左利きの方が運動に向いてる?)(96p)
●複雑な運動では右利きも両脳使う(98p)
●記憶はどこにしまわれているか→写真を見て知ってる人の顔や風景かどうか答える→どの部分が活性化しているか→顔(側頭葉下部)・風景(側頭葉内面部)・動物・植物(脳の後ろ=視覚野)、記憶を取り出すときに前頭前野が活動、自分自身の記憶(脳の奥深い所(本能に関係するところ)(114-116p)

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