【375】 ○ 養老 孟司/茂木 健一郎/村上 和雄/竹内 薫 『脳+心+遺伝子VS.サムシンググレート―ミレニアムサイエンス 人間とは何か』 (2000/03 徳間書店) ★★★★

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人間とは何か。それは脳と遺伝子に尽きる!(養老孟司)

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脳+心+遺伝子VS.サムシンググレート―ミレニアムサイエンス 人間とは何か』('00年/徳間書店)/『脳とサムシンググレート』 ['09年/5次元文庫(徳間書店)]

 村上和雄(分子生物学)・茂木健一郎(脳科学)・養老孟司(解剖学)の3人の学者の遺伝子・心・脳などについての自説展開と対談をまとめたもので、何だか全員の考えを取り込んだようなタイトル。

 村上氏が遺伝子以外の情報で遺伝子のスイッチがON/OFFとなると言っているのは今や通説です。
 ただ、その遺伝子を支配するものを〈サムシンググレート〉としていることに対して、養老氏は、神を考えたがるのは人間の脳の癖だと冷ややか(?)。
 茂木氏の〈クオリア説〉にも、養老氏は「皆さん、これ納得できる?」みたいな感じです。
 人間を神経系(脳)と遺伝子系という2つの情報系に分けて捉える養老氏の考えが、比較的すっきりしているように思えました。

 随所に興味深い話が多く、公務員であるため上限規制があるという国立大学の学長の給料の話(独立行政法人化され事情は変わった?)なども個人的にはそうだったのですが、話題を拡げすぎて全体にまとまりを欠いた感じもします。

《読書MEMO》
●村上和雄(分子生物学者・筑波大名誉教授)...サムシンググレート(遺伝子を支配している何かがある)。遺伝子以外の情報で遺伝子のスイッチがON/OFに。
●茂木健一郎(脳科学者)...クオリア(脳という物質になぜ感覚が宿るか?)
●養老孟司...人間は神経系(脳)と遺伝子系(免疫系など)の2つの情報系を持つ。当面は2つは違うものとすべき。ヒトゲノムや遺伝子操作の研究は、実は「脳一元論」「脳中心主義」。脳は脳に返せ。
●〔養老〕サムシンググレートは神の類似概念。それを考えるのは「脳のクセ」
●〔村上〕東大や京大の学長の給料なんて知れている。公務員だから(135p)
●〔茂木〕永井均、池田晶子が面白い(242p)
●〔養老〕人間とは何か。それは脳と遺伝子に尽きる(330p)/脳は遺伝子が作ったが、遺伝子から独立しかかっている(338p)

 【2009年文庫化[5次元文庫(『脳とサムシンググレート』)]】

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