「●経済一般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【291】 奥村 宏 『判断力』
新聞記者の視点で日本経済と小泉路線をわかりやすく解説。
『図解でカンタン!日本経済100のキーワード』 講談社+α文庫 〔'04年〕
100個のキーワードがあってそれぞれにぶら下がりで説明がついているというスタイルではなく、景気のメカニズムや国の財政・金融政策を解説しながら、その流れの中でキーワードが出てくるので、頭に入りやすかったです。
'02年に日本国債の格付けはA2となったが、これはボツワナ以下とか(どこにある国か知ってますか)。
発行残高483兆円って、おいおい大丈夫かと言いたくなる(その後500超円超えたけれど)。
先行き不透明な日本経済の現況において、小泉内閣の歩もうとする路線を分析しています。
「経済財政諮問会議」というのが、小泉政権になってから大きな主導権を持つようになったことがわかります。
『大蔵省』('89年/講談社)などの著書もある著者の、小泉首相が元々は「大蔵族」であったという指摘は、竹中プランなどを分析する上でのヒントになるのでは。
生保の予定利率引下げを認めたのも護送船団型の典型で、金融行政が金融庁に分離されても、こうした"規制と保護"の政策は変わらないことを予感させる(郵政民営化で少なからず銀行に金が流れ込むわけだし)。
後半は民間の産業構造の変化を、産業別の過去推移を追いながら解説しています。
日産のゴーン氏が愚直にリストラ推進できたのは外国人だったからとし、ダイエーは再生困難とはっきり予言しています。
著者は東京新聞の論説委員。新聞記者の視点でわかりやすく書かれていて、直近のデータをふんだんに盛り込んでいます。
それだけに、基本的にはその旬の時に読まないと、時間が経ちすぎて読んでもピンとこなくなる本ではありますが、小泉政権の経済政策を振り返ってみるには使える本です。