【171】 △ 岡本 義幸 『転職―人材紹介のプロが教える「考え方・選び方・売り込み方」』 (1987/09 ダイヤモンド社) ★★★

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円高不況期に書かれた転職・人材会社利用ガイド。今に通じる部分も。

転職.jpg 『転職―人材紹介のプロが教える「考え方・選び方・売り込み方」okamoto.jpg岡本義幸 氏(略歴下記)

Change of career.bmp 本書は'87(昭和62)年の出版であり、人材会社(人材斡旋会社)の社長が書いた「転職」のためのガイドブックです。
 この分野では古書に属するものかも知れませんが、読み直してあまり旧い感じがしないのは、本書が書かれ時期が、その直前までバブル景気前の円高不況期であったために、バブル崩壊の際と背景が少し似ているからではないかと思います。
 プラザ合意('85年)による急激な円高が未曾有の鉄鋼不況を招き、新日鉄などが大規模なリストラ策を打ち出したのがこの頃でした。

 転職先の見つけ方・見分け方や、履歴書の書き方から面接での自分の売り込み方などが70項にわたって書かれていますが、「受付嬢で会社がわかる」とかはちょっと平凡ですが、「中小企業なら社長面接のある企業を選べ」とか、なかなか面白いアドバイスもあります。

 当時それほど一般のビジネスパーソンには馴染みのなかった人材会社の活用の仕方について書かれているほか、外資系の会社というものの見つけ方・見分け方が詳しく書かれているのが特徴でしょうか。
 外資系の企業で勤務する場合「本社に2名の友達を持て」というアドバイスは、日本企業の支社・支店に勤める人にも当てはまるかも。

 結局、日本の景気は回復してバブル期に入り、高度専門職能(当時ならば金融・SEなどの専門知識・能力が最も需要があった)を持つ人が、自分をより高く売るためにこういう人材会社を利用したように思います(採用会社が斡旋会社に払う手数料も、かなり高かったように思う)。

 最後に著者の将来予測があり、「企業の国籍は無くなる」とか「理科系出身者が三次産業に押し寄せる」などというのは当たっている面があり、「社長の10人に1人は女性になる」というのは、まだそこまでいってはいないという感じでしょうか。
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岡本 義幸
ボイデン・ジャパン 代表取締役会長。同志社大学経済学部卒。米国大沢商会取締役社長、株式会社ケンブリッジ ヒューイット インターナショナル(現ヒューイット アソシエイツ)社長を経て、1995年、ECI株式会社を設立。現在、同社の代表取締役会長を務める。 

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