【2403】 ○ エドワード・ベネット 「名探偵ポワロ(第5話)/4階の部屋」 (89年/英) (1990/02 NHK) ★★★☆ (○ レニー・ライ 「名探偵ポワロ(第7話)/海上の悲劇(船上の怪事件)」 (89年/英) (1990/03 NHK) ★★★☆)

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自宅マンションでの事件(第5話)とアレクサンドリアでの事件(第7話)。何れも"速攻"解決。

4階の部屋 ポワロ DVDブック.jpg 4階の部屋01.jpg 海上の悲劇 dvdbook.jpg 海上の悲劇 03.jpg
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名探偵ポワロ 4階の部屋 1.jpg ポアロが住むホワイトヘイブンマンションの自宅56Bの二階下36B号室に、裕福なグラント夫人が引っ越してくる。 ポアロはこのところ風邪をこじらせて自室に閉じこもったまま元気が無く、見かねたヘイスティングスがポアロを推理劇に誘う。観劇で二人は、ポアロの直ぐ階下46B号室の住人で 若い女性パトリシア・マシューズを見かける。劇が終わり、アパートに戻ったマシューズと友人達は部屋の鍵が無い事に気付き、友人のドノバンとジミーがゴミ用エレベーターから入ろうとするが、間違えて1つ下の36B号室に入ってしまう。そこで二人はグラントの夫人の死体を発見する―(第5話「4階の部屋」)。

ホワイトヘイブン・マンション.jpg 「名探偵ポワロ」の第5話(第1シーズン第5話)で本国放映は1989年2月5日、本邦初放映は1990年2月17日(NHK)。原作はクリスティー文庫『愛の探偵たち』(「四階のフラット」)、創元推理文庫『二十四羽の黒ツグミ』(「四階の部屋」)などに所収。

 ジャップ警部の言うように、まさにポワロのお膝元で起きた事件で、お蔭でポワロがどんなマンションに住んでいるかが分かりましたが、実はマンションのポワロの部屋の外部の共有部分はいつもと別のマンションを使って撮影されたようです。イギリスでは日本の1階に当たる部分が "the ground floor"で、2階に当たる部分から1階、2階と数え始めますが、この「4階の部屋」というのは、事件があった36B号室があるフロアなのでしょう。原題では"The Third Floor Flat"となっています。

名探偵ポワロ 4階の部屋 0.jpg 原作を多少変えているようですが、引っ越して来たグラント夫人が、1つ上の階のパトリシア・マシューズが友人と音楽とダンスに興じ、下の自分の階に響いてウルサイため、手紙で苦情を伝えようとした―と思わせる所は上手いと思いました。ただ、お手伝いが、部屋に入って来て死体に気づかないまま寝てしまったというのはどうか。何れにせよ、犯人を推理するのは無理な"知られざる背後関係"設定であり、それでもポワロは推理してしまうわけですが(しかも"速攻"で解決!)、意外性は楽しめる作品ではないでしょうか。

 ヘイスティングスに推理劇の犯人当てで10ポンドを賭けて(推理劇ってインターミッションがあるわけか)、その取ってつけたようなオチに憤っていたポワロですが、ちゃんと10ポンドの小切手を切っていたのは律儀。ただ、本編も、見方によっては...。


海上の悲劇 02.jpg海上の悲劇 2.jpg ポワロとヘイスティングスが船で乗り合わせたクラパトン大佐夫妻。夫人は傍若無人な言動をくり返すが、大佐はそんな妻にも献身的だった。それには夫人の古い友人の将軍も憤ったり呆れたりしている。ところが、船がアレクサンドリア港に停泊中、大佐が船に戻ると、鍵のかかった船室で夫人は殺されていた。アレキサンドリアの警察に介入されたくないというと船長の意向でポワロは捜査に乗り出す―(第7話「海上の悲劇」)。

海上の悲劇 00.jpg 「名探偵ポワロ」の第7話(第1シーズン第7話)で本国放映は1989年2月19日、本邦初放映は1990年3月3日(NHK)。原作はクリスティー文庫『黄色いアイリス』(「船上の怪事件」)、創元推理文庫『砂に書かれた三角』(「海上の悲劇」)などに所収。

海上の悲劇 01.jpg 優雅の地中海クルーズとそれに参加している貴族趣味っぽい乗客たち。どういう訳か、その中におそらく休暇中と思われるポワロとヘイスティングも混ざっています(ジャップ警部とミス・レモンは"お休み")。乗客の中でもとりわけ皆から嫌われているのがクラパトン夫人で、大佐はよくあんな女性の夫でいるものだと陰口を叩かれる始末。殺され海上の悲劇 09.jpgるならこの夫人だろうと思って観ていましたが(そうすれば皆が容疑者になるから)、肝腎の事件はなかなか事件は起こらず、船はアレクサンドリア港に寄港。「地中海殺人事件」ではないですが、観光情緒はそこそこ味わえます。TV版としては結構贅沢な方かも。

 そして、ようやっと中盤で殺人事件が...。別に船長の意向でなくたっても、ポワロは捜査に乗り出したろうなあ―と思ったら、これまた"速攻"で解決(残り時間の関係で?)。皆の前で謎解きをしてみせる場面は小道具や子供まで使って芝居がかっていましたが、それなりの効果はありました。あんなのやられて、犯人は名指しされる前にギブアップでしたね。但し、これも、観ていてトリックを見破るのはほぼ無理("いっこく堂"かあ)。束の間の観光気分が味わえた分だけ、星半分オマケです。

The Third Floor Flat L_.jpg4階の部屋03.jpg「名探偵ポワロ(第5話)/4階の部屋」●原題:AGATHA CHRISTIE'S POIROT I:THE THIRD FLOOR FLAT●制作国:イギリス●本国放映:1989/02/05●監督:エドワード・ベネット●脚本:マイケル・ベイカー●時間:55分●出演:デビッド・スーシェ(ポワロ)/ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス) /フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部) /ポーリン・モラン(ミス・レモン) /スザンヌ・バーデン(パトリシア・マシューズ)/ジョシィ・ローレンス(グラント夫人)●日本放映:1990/02/17●放映局:NHK(評価:★★★☆)
The Third Floor Flat

Problem at Sea
Problem at Sea_.jpgPROBLEM AT SEA.jpgo海上の悲劇70.jpg「名探偵ポワロ(第7話)/海上の悲劇(船上の怪事件)」●原題:AGATHA CHRISTIE'S POIROT I: PROBLEM AT SEA●制作国:イギリス●本国放映:1989/02/19●監督:レニー・ライ●脚本:クライブ・エクストン●時間:55分●出演:デビッド・スーシェ(ポワロ)/ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス) /ジョン・ノーミントン(クラパトン大佐)/シェリア・アレン(クラパトン夫人)/ベン・アリス(ファウラー船長)●日本放映:1990/03/03●放映局:NHK(評価:★★★☆)

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