「●相対性理論・量子論」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【350】 福江 純 『100歳になった相対性理論』
中学生でも読める「相対性理論」についてのバランスよい解説。
『「相対性理論」の世界へようこそ―ブラックホールからタイムマシンまで』PHP文庫〔'04年〕/『「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (PHP文庫)』PHP文庫〔'98年〕
本書は中学生でも読めることを意図し、わかりやすく書かれていて、相対性理論について、定番ですが、光時計、ミューオンの時間の遅れといった思考実験や観測、ウラシマ効果、双子のパラドックスの話などで平易に説明した上で、副題にもある通り、ブラックホールやタイムマシンへと話は拡がっていき、佐藤教授の初期宇宙論(インフレーション理論)にも触れています。
姉妹本の『「相対性理論」を楽しむ本』('98年/PHP文庫)の方は、特殊相対性理論を中心に構成されていますが(ただし宇宙論などにも触れてはいますが)、本書でも特殊相対性理論には触れていて、その部分では焼き直しの感じもあります。
しかし「相対性理論」というテーマから見れば、全体的にはこちらの方が構成にバランスがとれていて、「特殊相対性理論(=等速直線運動のみに使える)」→「一般相対性理論(=加速度運動にも使える)」という流れの中で読み進むことができます。
文章もより練れているので、どちらかを読むならばこちらの方をお薦めします。
加速度=重力、重力は時間を遅らせる...だから電車に乗って会社に着いたら、自分だけ時間が遅れているということになるのか...でも他の人も電車に乗ってきているわけだから...とか、あまり実生活に役立たないことを考えるのは何となく楽しいものです。
《読書MEMO》
●《特殊相対性理論》(等速直線運動のみに使える)
・光の速さはどんな速度で動く人からみても一定/・運動するものは時間が遅れる(時間はお互いに遅れる)/・動くものは質量が増える/・E=mc2
●《一般相対性理論》(加速度運動にも使える)
・重力によって時間が遅れる/・ウラシマ効果/・双子のパラドックス(等速直線運動ではお互いの過去を見ている。兄弟が出会うためにUターンしたとき、加速運動を行う必要が生じて、特殊相対性理論ではなく、一般相対性理論になる