「●相対性理論・量子論」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【349】 佐藤 勝彦 『「相対性理論」の世界へようこそ』
サイエンスライターとしての著者の経歴が生きた好著。
知恵の森文庫 〔'03年〕
『アインシュタインの宿題』('00年/大和書房)
著者は宇宙物理学者ですが、サイエンスライターとしての経歴も長く、本書はそうした著者の特質が生かされた相対性理論の入門書であり、一般人の考え方を前提にしたうえでの著者の解説の仕方は、各章にあるコミックや図版と併せ、理解の大きな助けとなります。
ミンコフスキーダイアグラムなど、普通の一般書ではあまり出てこない話なども平易に説く一方で、「新世紀エヴァンゲリオン」のポジトロンライフル(陽電子砲)の話をアインシュタインの式の説明の枕に持ってくるなどはニクイ。
まあ、名作SFを物理学的に解析した『SFを科学する』('87年/ブルーバックス)を書いたのが30歳そこそこですから。
その本の共著者である石原藤大氏が考えたらしい「ウラシマ効果」という言葉が、世界中で使われている「双子のパラドッス」という表現より優れているという著者の説に納得しました。
〈特殊相対性理論〉と〈一般相対性理論〉の違いがスッと頭に入る部分でもあります。
各章の冒頭にアインシュタインの言葉を配しています。
例えば「神はサイコロ遊びをしない」とは、彼が量子力学を批判したものですが、いまだに相対性理論と量子力学の融合はなされていない。
アインシュタインのアカンベーした顔が目に浮かびます。
【2003年文庫化[知恵の森文庫]】
《読書MEMO》
●1987年大マゼラン星雲で超新星爆発、but、爆発したのは16万年前(文庫106p)
●播磨科学公園都市のSPring-8(放射光施設)...素粒子の加速実験(文庫122p)
●ウラシマ効果...地球出発(帰還)時の加速(減速)で慣性系でなくなる(文庫124p)
●1kgの質量は、ビキニ型水爆並みのエネルギーを持つ(文庫134p)
●星の終末...
タイプ1....白色矮星
タイプ2....赤色巨星→白色矮星
タイプ3....赤色巨星→惑星状星雲→白色矮星
タイプ4....赤色巨星→超新星爆発
タイプ5....赤色巨星→超新星爆発→中性子星orブラックホール