【326】 ○ バートン・L・ホワイト 『決定版 ホワイト博士の育児書―3歳までに親がすべきこと』 (1997/05 くもん出版) ★★★★

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示唆に富む「翻訳モノ育児書」の定番。個人的に気になった点が...。

決定版 ホワイト博士の育児書.jpg  『決定版 ホワイト博士の育児書―3歳までに親がすべきこと』 (1997/05 くもん出版)

 「翻訳モノ育児書」では一番安定した人気で改版を重ねているのが本書ではないでしょうか。

スポック博士の育児書.jpgダドソン博士の子育て百科.jpg この他に『スポック博士の育児書』('97年改訂版/暮しの手帖社)というのも人気ですが、「スポック博士」の方は、早期離乳の問題などが批判の対象にもなっているようです(博士の子どもがグレたという話も聞く)。更にこの他に、『ダドソン博士の子育て百科』('96年/あすなろ書房)も悪くなかったですが、5歳までをカバーしている分、「ホワイト博士」に比べ "育児"心理学と言うより "教育"心理学的な内容かなという印象を受けます。まあ、育児書には親の精神安定剤的役割もあり、読まなくても子は子で育つのだとは思いますが...。 

スポック博士の育児書』 『ダドソン博士の子育て百科

 本書は、豊富な臨床経験と発達心理学の観点から様々な示唆を与えてくれるには違いありませんが、1つ気になったと言うか興味を持ったのは、トイレの躾に関して、フロイトの幼児期の発達段階説(「肛門期」段階など)などを実証する証拠が見出だせなかったとしていることです。本書でも引用されているエリクソンも、このフロイト学説の影響を受けているはずだと思いますが、結局フロイトの言う「口唇期」とか「尿道期」とか所謂"幼児性欲"って何だったのでしょうか。

 もう1つ気になったのは、(こっちの方が大問題ですが)著者が、年の近い(3年以上間が離れない)きょうだいを非常に問題視していることです。全編に専門家としての冷静さと親に対する細やかな配慮がみられる本書の中で、この問題についてだけ、かなり"お手上げ"気味なのが気になりました。

《読書MEMO》
●「もう一度はっきり言いましょう。年の近いきょうだいの問題は。いろいろ努力すれば多少は緩和できるでしょうが、一人っ子の場合やきょうだいの年が離れている場合ほど楽な状況にする手だてはないのです。」(353p)

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