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特に個人ワーカー、主婦などには最も適した整理法ではないか。
『「超」整理法 』 中公新書 〔'93年〕 中公文庫 野口悠紀雄 氏
本書の刊行は'93年ですから随分前のことになりますが、刊行後10年を経て'03年に文庫化されたりもしており、ロングセラーと言ってよいかと思います。
本書での提言の核は、何と言っても「押しだしファイリング」でしょう。
書類を内容別に分類して格納するのではなく時間順に並べてしまう方式で、これは、内容に沿って分類して置き場所を決める「図書館方式」と対照を成すものであり、「整理」というとすぐにこの「図書館方式」や「五十音方式」を思い浮かべてしまいがちな人には、「分類する」という考え方自体から脱却したこのやり方は、発想のコペルニクス的転換を促すものでした。
その他にも、電話を使うことよりも、パソコンで作成した文書をプリントアウトせずに電信ファックスする方法を推奨したりしていて、これなどは今で言う「仕事の連絡は電子メールで」という考え方と同じで、著者の先見性を窺わせるものでした。
ただし本書にもあるように、「押しだしファイリング」は"個人用"であり、「時間順」という検索キーは個人の記憶に基づくものであるため、会社の一部署などで情報を共有する場合は、この方法では困難が生じるだろうと。
個人的にも、電子ファイリングにおいてこの方式を採用してますが(ファイル名の冒頭にすべて作成年月日を入れるなどして)、ある時点で自分以外の人と情報共有することになったりすると「あのファイルはどこにありますか」といつも聞かれることに...。
読み返して、この"留意点"を再認識した以外には特に新たな発見もなかったのですが、まだ読んでいない人には、今読んでもそれなりに示唆が得られる、そうした普遍性はあるのではないでしょうか。
特に個人ワーカー、主婦などには最も適した整理法だと思います。
【2003年文庫化[中公文庫]】