「●目標管理・人事考課」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【048】 金津 健治 『"人事評価"に勝つ!』
コンピテンシーをベースとした「評価シート」の具体的モデルを示す。
『コンピテンシー戦略の導入と実践―会社を強くする人材マネジメント』['00年/かんき出版]
コンピテンシーをベースとした評価制度の設計が中心で、その他に業績評価の方法や基本給の設計方法にも触れ、米国型のベースサラリーの作成方法なども紹介しています。
本書によれば、コンピテンシーモデルの作成方法には、
・ハイパフォーマーへのインタービューなどを通してオリジナルで作成する方法
・既存のモデルを利用する方法
の2つがあるということです。個人的には、
・ボトムアップ方式
・トップダウン方式
というように解していましたが、本書を読んで、ほぼ同じことを指しているのではないかと納得しました。
著者の考えは、例外的な場合を除き後者の方が、つまりモデルを用いる方が現実的ということですが、個人的にはほぼ同感です。
コンピテンシーモデルは、本来は職務・職位別に検討されるべきで、本書では25項目のコンピテンシーを挙げるとともに、それをどういった職務・職位で用いるべきかを示しています。
さらに評価シートの事例を、営業、生産、研究開発、人事、総務、財務・経理、経営企画、顧客サービスなど11職種×3職位(一般職、監督職、管理職)=33通り例示していているのが、本書の大きな特長です。
一方、各コンピテンシーのレベルを8段階に分けていますが、これを見ていると評語の内容が抽象的で、著者の説に従えばコンピテンシーとは具体的な"スキル"に近いものであるはずなのに、これでは職能資格制度が陥った失敗を繰り返しそうな感じがしないでもありません。
それでも、単に抽象的な理論説明に止まらず、「評価シート」の具体的モデルを示していることは評価できるし、自社のコンピテンシーモデルや評価シートを作成する際の参考になるかと思います。