【3041】 ○ 安野 光雅 『フランスの旅 (1980/10 朝日新聞社) ★★★★

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画家にして名エッセイストでもあったことを思い起こさせるスケッチ紀行エッセイ。

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フランスの道』['80年]安野光雅(1926-2020)

 昨年['20年]12月に亡くなった安野光雅(1926-2020/94歳没)の1980年刊行のスケッチイラスト付きの紀行エッセイで、絵と文は、1978年以来「アサヒグラフ」に連載していた「西洋のぞき眼鏡」という連載をまとめたものです。

フランスの道 安野光雅1.jpg 著者は、その代表作である『旅の絵本』のシリーズ第1弾を1977年に、第2弾を1978年に福音館書店より刊行しており、同じ頃には、『旅のイラストレーション』 ('77年/岩崎美術社)、『ヨーロッパ・野の花の旅』('78年/講談社)といった本の刊行もあって、当時"旅"をテーマに絵本やイラスト絵画において精力的に活動していたことが窺えます。

 本書では、実際、画材を持ってフランス全土をあちこち歩き回りながらスケッチをしたことが窺えます。パリの街中の絵もいいですが(パリに行けば街中に観光客相手の画家は溢れているし)、ちょっと都市から離れた郊外や田舎の村々の風景や建物の絵がなかなかいいように思いました(因みに『旅の絵本』シリーズ全9冊にはイタリア編やイギリス編、スペイン編やデンマーク編、スイス編はあるが、フランス編は単独ではない)。

 でも、絵もいいですが、本書について言えば、文章も、訪れた土地への想いが伝わってくるようで、また、楽しく読めて、時に哀愁も帯びていていいです。この頃からすでに、画家・絵本作家にして名エッセイストであったことが窺える1冊です。

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