【2304】 ○ 坂詰 真二 『やってはいけない筋トレ―いくら腹筋を頑張ってもお腹は割れません』 (2012/02 青春新書INTELLIGENCE) ★★★☆

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オーソドックス。一般的な理論の確認にはいいが、経験者、初心者両方にとっての物足りなさも。

やってはいけない筋トレ3.jpgやってはいけない筋トレ.jpgやってはいけない筋トレ (青春新書インテリジェンス)

 タイトルからこれまでの常識を覆すようなことが多く書かれているような印象を受けますが、「やってはいけない」というのはこの新書のタイトルの慣用的キャッチフレーズのようなものであり、著者はNSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリストとのことで、本書について言えば、内容的にはオーソドックスでした。

 筋トレは、最初1~2ヵ月の導入期間は週に1~2回のペースで良く、体が慣れてきたら週2~3回の頻度に増やすとか、1セットだけやっても約30%の筋繊維しか収縮しないため意味が無く、2セットで約60%、3セットやって初めて100%効くとか、ジョギングと筋トレを両方行い、双方の効果を最大に引き出したいのであれば 筋トレ → 有酸素運動 の順番でやるとか、基本知識をしっかり伝える一方で、ある程度このジャンルの本を読んで実践している人にとっては、目新しい知見はそれほどなかったかも。

 最近はネットでもいろいろ調べられるし、Amazon.com のレビューでも、「当たり前過ぎてわざわざ読む価値がない」という声もありました。但し、筋トレ理論は"専門家"と言われる人の中にも色んなことを言う人がいて幅があり、読む本によって真逆のことが書いてあったりもするので、基本(マジョリティ)を押さえるうえでは、いろいろ読んでみるのもいいかもしれません。

 一例を挙げれば、最近読んだものに、筋トレをやるのに適した時間帯として、寝る直前がいいというのがありましたが(本書でもそれを1つの"説"として紹介している)、しかし本書では、就寝後に成長ホルモンの分泌が盛んになるというので相乗効果が得られるというのがこの説の根拠であり、確かにそうした見方もあるものの、寝る直前は体温が下がっており、運動には適さないとあり、こっちがオーソドックスと見るべきでしょう。

 人間は16時前後が体温が最も高く、交感神経がよく働いているため、運動するのはその時間帯がベストだが、この時間帯に筋トレをするのは多くの社会人にとっては難しいため、現実的な方法の1つとして、19時頃に夕食を食べて休養した後、21~22時くらいにやる方法を挙げています。でも、これだと結局、寝る時間に結構近い時間帯ということになるのではないかな。本によっては、18時~20時にやることを勧めている本もあるし、詰まるところ、その人の1日の生活リズムによるのでしょう。毎日夕方5時半頃には仕事が終わって、通勤経路から通いの便のいい所に行きつけのフィットネスジムがある人ならば18時~19時でもいいし、ほぼ毎日残業があってそうもいかない人も多くいるでしょうし。フィットネスジムのヨガやティラピスのクラスなどは、平日は20時、21時頃が結構人が多かったりするようにも思います。

 後半、最終章の前の第4章に「部位別筋トレ10種目」というのが写真入りであって実用的である一方で、そこにあるのは全て自宅で出来る"自体重筋トレ"であり、次の最終章で、ジムやパーソナルトレーナーの活用方法が書かれています。新書的・解説的内容でありながら、こちらでも、「全身を鍛える11種目」という実用的項目がありますが、こちらでは、レッグ・エクステンションとかレッグ・カールなどをやる際のポイントについては書かれていますが、写真やイラストは一切無し(マシントレーニングの経験が無い全くの初心者にはやや厳しいか)。

 ジムトレーニングの写真が無いのは、あまりに実用書そのものになってしまい、新書らしくなくなるのを避けたのか、紙数が尽きたのか(全体で200ぺージほどなのだが)、それともホントの初心者に向けた入門書なので、ジムトレーニング系は他の本でということなのか(初心者だからといって、必ずしも自宅トレから始めるとは限らない。その意味では、ジムトレーニングから入りたいと思っている初心者にも物足りないとも言えてしまう)、その辺り、著者の意図がよく分からなかったです。

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