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「(Amazonの)レビュー数が少なく、星が多い本は信用できない」。
『戦略採用』(2014/11 東京堂出版)
「戦略採用」というタイトルですが、大体が類書に書かれているような内容に思われ、書かれていることはそれなりにオーソドックスであり、それを否定するわけではないですが、「戦略」と呼ぶほどのことかなあと思いました。実務経験者らの対談なども入れて読み易くはしていますが、その対談の中でも特に目新しい部分はなく、看板倒れの印象を受けました。これで1,400円はちょっとねえ...という感じです。
新卒採用と中途採用を一括して論じていたり、「総務部が人事の仕事をしている会社があるが、いい人を採用しようと思ったら、人事部を作った方がいい」などと書かれていたりするところをみると、中小企業向けでしょうか。改めて見てみると「戦略採用メソッド」について書いたものとのことですが、「戦略」よりも「メソッド」中心で、しかも、その方法論や考え方にそれほど斬新さは無いというところです。
前項で、安田 正 著『一流役員が実践してきた入社1年目から「できる人になる」43の考え方』('14年/ワニブックス)について、Amazon.comで身内のレビュアーを何人も投入して作為的に5つ星評価にしているのが却って信頼感を損ねているとしましたが、本書も最初に身内のものと思われるレビューが並び、他の本をこれまでレビューしてきた実績が全く無いレビュアーが本書に高い評価を付したりしています。出版不況とは言え、見え透いた手口は却って信頼を失うと思っていたら、「レビュー数が少なく、星が多い本は信用できない」とのレビューがしっかり付されていました。
こうしたことは別にこの2冊に限ったことではなく、柳原愛史 著『人事能力のイノベーション5原則』('14年/産業能率大学出版部)などもそう(4日連続して星5つのレビューが続くなんてあまりに不自然。節操が無さ過ぎる...)。『人事能力のイノベーション5原則』の場合、内容は悪くないだけに、そこまでして売らなければならないのかと疑問に思いました。
本書『戦略採用』について言えば、あとは著者の経歴の書き方。生保会社でどういった役職を歴代最年少で歴任してきたとかズラズラ書かれていますが、本書の内容に関係ないことでしょう。「Amazon.comの作為的レビュー」と「矢鱈と優秀さを強調する経歴」―この2点、結構、ダメな本を見分ける指標になります。