【1869】 ○ 社会保険労務士法人 大野事務所 『待ったなし!2012年労働法改正と企業の実務対応―相次ぐ雇用の規制強化に、どこを見直せばよいか(労政時報選書)』 (2012/12 労務行政) ★★★★

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重改正3法の要点が1冊に纏まっていて便利。実務テキストとしてスタンダードかつ丁寧。

2012年労働法改正と企業の実務対応9.JPG2012年労働法改正と企業の実務対応.jpg待ったなし! 2012年労働法改正と企業の実務対応 ~相次ぐ雇用の規制強化に、どこを見直せばよいか~ (労政時報選書)

 2012年に国会で成立した改正労働法の内、労働契約法、高年齢雇用安定法、労働者派遣法にかかる改正を中心に、実務に精通する社会保険労務士の視点から、改正内容のポイントを整理した本で、まあ、これらの法改正とその内容については、人事労務の専門誌やセミナーなどで既にかなり解説されてはいるわけですが、本書の場合、改正3法の要点が1冊に纏まっているという点で便利です。

 全3章構成の内、本書の中核となるのは、改正3法を解説した第2章ですが、第3章また、加えて第3章で、これらの法律に共通するテーマと言える「非正規雇用」に関して、人材ポートフォリオや労働条件整備のポイントといった事項も収録されています。

 改正3法については、Q&Aやチェックリストなども織り込み、実務に沿った丁寧な解説で、社会保険労務士法人の編著らしく、関連する社会保険の手続き等についても言及・解説されています。

 一方で、例えば、労働契約法における無期転換権の行使における転換権放棄条項を入れた契約書の適否の問題等、法的論争が発生しているものの未だ裁判所の判例が無いような問題は、触れるのを避けている印象も受けます。

 今回の法改正では、高年齢雇用安定法に改正労働契約法が絡んでくるケースが考えられます。65歳超の継続雇用が発生する場合は、更なる定年年齢(70歳など)を定めることで、66歳以上の一定年齢(70歳など)までに雇用契約を終了させることができるとしている点などは、法律家の間で定年とは何ぞやという議論もありますが、弁護士なども大方がそうした方法を教唆しており、本書もそれに倣っています。

 実務テキストとしてはスタンダードである、というか、かなり詳しく書かれている部類に属するかと思われ、一冊手元にあってもいい本。置いておくだけでなく、改正法への未対応の場合は、すぐにでも対応に取り掛からなければならないわけですが...。

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