【1615】 ○ 川村 真二 『58の物語で学ぶ リーダーの教科書 (2010/10 日本経済新聞出版社) ★★★★

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エピソードの纏め方が旨い。読み物を読むように楽しく読め、更に、元気づけられる。

58の物語で学ぶ リーダーの教科書.gif 『58の物語で学ぶ リーダーの教科書』 (2010/10 日本経済新聞出版社)

 長短58の豊富な物語を交えながら、リーダーになる不安の解消法から真のリーダーになるために必要なスキルをやさしく伝授した本。

 リーダーシップについて書かれた本は、理論中心のものは、"輸入物"の理論の付け焼刃だったりすることがあり、一方、事例中心のものは、著者の思い入ればかりが先行していたり、また、有名人を扱ったものは、あまりに"提灯記事"的な内容だったりして、読んでいて鼻白むことも少なからずあるのですが、本書からは、そのような印象は受けませんでした。

 第1章「リーダー・マインドを磨く」、第2章「PDCA能力をつける」、第3章「リーダーシップ発揮の13ステップ」、第4章「人の心を動かす」、第5章「部下を成功者に育成する」、第6章「上司を補佐する」、第7章「困難を突破する」という章建てになっていて、一応体系化されていて、各章ごとに解説されていますが、理論面はオーソドックスであり、やはり本書の特長は「58の物語」の方にあるのでしょう。

 無名の企業人の話から、松下幸之助、本田宗一郎、小倉昌男、カーネギーといった超有名経営者のエピソードまで、更には歌手・芸能人、スポーツ選手、はたまたアムンゼンみたいな探険家の話まで出てきて、持ちネタが広いなあ。
ただ広いだけではなく、エピソードの纏め方が旨くて、読み物を読むように楽しく読めました。

 著者は1948年生まれで、長年にわたり「企業遺伝子の事例・物語」の作成をライフワークとしてきたこの道のスペシャリストとのことですが、やはり、こうした上手な文章を書くには年季がいるのかも。

 個人的には普段あまり経営者の「伝記」的なものは読まないのですが、やはり松下幸之助などはスゴイ人だったのだなあとか、改めて感じました。

 啓蒙的に新任管理者を元気づけ、リーダーとしての指針を示す本であると同時に、ベテラン管理者であっても啓発効果を得られる本ではないかと思います。

【2014年文庫化[日経ビジネス人文庫]】

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