「●キャリア・カウンセリング」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【187】 渡辺 三枝子/平田 史昭 『メンタリング入門』
わかりきっていることの羅列にがっかり。独自の提案が欲しかった。
『キャリア・カウンセリングが会社を強くする―本気で、個人も会社もしあわせになる法、教えます』 (2004/10 経済界)
著者は今や大手となった再就職支援会社の設立者で(後にその会社は外資系になりました)、ある意味、業界の先駆者的な人であると言えるかと思います。
その後〈キャリア工学ラボ〉というものを設立し、自分はたまたま著者のセミナーを聴く機会があって、その前に本書を読みましたが、残念ながら本もセミナーもやや期待外れでした。
セミナーを聴いていて気づいたのですが、本書は著者のセミナー内容を書き起こしたような内容だったのですね。
内容があまりにわかりきっていること、手垢のついた表現の羅列で、著者自身の独自の提案というものが無いと感じました。
一方、自らの経験によるものとしては、「派遣スタッフの身に"安住"しているような人は、チャレンジ精神に欠けるのだ」「学校の先生は社会人の礼儀を知らない」など決めつけ型の表現が目立ちます(この辺りは、限定的な聴衆を対象としたセミナーのノリか)。
例えば、個人が幸せになれば家族も幸せになれ、その幸福感は職場にも連鎖する―といった表現は、セミナーの中で聞き手を惹きつけるうえではある程度効果的なフレーズであるかも知れないし、キャリア・カウンセリングの本筋からも外れてはいない(ワーク。ライフ・バランスという考え方)と思いますが、活字にした場合、その本を選び、お金を払って買って読む側に対して、内容の提供レベル的にどうなのかなあと言う感じも(因みに、自分が受けたセミナーは、コンサルティング会社の販促セミナーだったので無料だったが)。
日本におけるキャリア・カウンセリングという分野の歴史が、企業経営との関連ではまだ浅いために(そうしたセミナーにも社命で何となく参加している人事担当者などもいたりして)、まず、こういうところから説いていかなければならないのかなとも思いました。