「●キャリア行動」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【178】 佐々木 直彦 『キャリアの教科書』
趣旨は、社員の自律的キャリアの構築促進。内容がこなれていない。
『キャリア論』 (2003/06 東洋経済新報社) 高橋 俊介 氏
サブタイトルからは窺えますが、"会社側は"何をすべきなのかという本で、そのあたりが「キャリア論」というタイトルからは少しわかりにくく、それでも個人として買っても役に立ったという人も少なからずいるらしいのは、本書が〈自律的キャリア(CSR=Career Self Reliance)〉を形成・促進することを説いているためだろうと思われます。
この本が企業側に対して明らかにしようとしているのは、社員の〈自律的キャリア〉の構築を促進していくことは、必ずしも優秀人材の流出には繋がらず、むしろ企業にとっても望ましいものであるということです。
それはそれで、企業側部にパラダイム転換を促す1つ筋の通った主張になっていると思います。
ただし、そのことを説明するためにクラスター分析の手法を使って多くのページを割いていますが、学術論文か、その手前のゼミ論文のような生硬さで、一般読者はもちろん企業の担当者にとっても、読んでいて何故こんなゼミの講義みたいな話に付き合わさればならないのかという気分になってきます。
文体にも著者独特の分かりやすさが見られず、どこまで誰が書いたのかわからない、やや"手抜きの1冊"と見ました。
著者が以前から言っている〈自律的キャリア(CSR=Career Self Reliance)〉というが概念にも、少なくとも本書では深化は見られず、加えて〈企業の社会的責任=CSR(Corporate Social Responsibility)〉というハヤリの言葉とカブったのが、ちょっと気の毒。