「●組織論」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【138】 金井 壽宏 『組織変革のビジョン』
短時間でビジョン、ミッション、バリューなどの概念整理はできるが...。
『ビジョニング―あなたのビジョンは今、組織で活きていますか。』('04年/日経BPクリエーティブ)
教育研修コンサルタントによって書かれた本書は、働く個々人に対し「ビジョン」、「ミッション」、「バリュー」を創ることで、生きていく方向性や指針が見つかるとし、とりわけビジョニング(自分自身のマイビジョンを創ること)が自己改革をもたらすと説いていますが、併せて、企業を活性化するためには「組織ビジョン」と「個人ビジョン」の相乗効果が大切であると言っていて、組織論の書としても読めます。
「経営理念」の重要性というのがわかっていても、企業によっては額縁に入れて飾ってあるだけで形骸化していたりして、何でも横文字が良いというわけではありませんが、自社の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」はそれぞれ何であるかという切り口で改めて問い直してみるということも、創造的組織改革への道筋を探る上で無駄ではないと思います。
「ビジョン」は長期のもの、「ミッション」は短期のもの、「バリュー」は現状からビジョンへ至る過程での価値観・行動規範であるという概念区分がスッキリしていてわかりやすく、リーダーシップ論などのマネジメント理論も紹介されています。
短時間で概念整理するには良い本だと思いますが、最終章の組織メンバーがCOEになったつもりで組織変革を考える「バーチャルCEO」 や「忌憚のない議論が大切」といった提案部分が、独自性が弱かったり(ジュニア・ボードという手法は以前からあります)、抽象的だったりするのがやや物足りなかったです(基本的にはやはり個々人に向けた啓蒙書という感じでしょうか)。
《読書MEMO》
●ジョン・P・コッター『リーダーシップ論』でマネジメントよりリーダーシップが大事、コーチングによる組織活性化が必要(56p)
★コッターのリーダーシップの定義...①方向設定 ②人的連携 ③動機付けと鼓舞
●ジェームズ・C・コリンズ『ビジョナリーカンパニー』 成功の鍵はビジョン(110p)
●好き嫌いチャートと強み弱みチャート(116p)
●ルイス・ガースナー(ナビスコ会長→IBMのCEO)『巨象も踊る』 顧客志向へ変革(149p)