【2879】 ○ 和田 誠 (絵) 『3人がいっぱい② (1981/05 新潮文庫) ★★★★

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誰が誰を選んでいるかも興味深いが、やはり、和田誠の絵が一番楽しめる。意外と知られていない傑作集。
3人がいっぱい②_5436.JPG3人がいっぱい  1・2 - コピー.jpg 和田誠 2.jpg
3人がいっぱい 2 (新潮文庫 わ 3-2)』和田 誠(1936-2019)

 雑誌「小説新潮」の1976(昭和51)年7月号から1979(昭和54)年12月号までに掲載されたコラムを文庫化したもので、同誌の1973(昭和48)3人がいっぱい②_5437.JPG年1月号から1976(昭和51)年6月号に掲載のコラムを文庫化した『3人がいっぱい➀』の続編です。

3人がいっぱい②図7.png コラムの趣旨は、「今月の3人」として、毎月異なる選者にテーマを決めてそのテーマに沿った3人の有名人を挙げて文書を書いてもらい、その3人の似顔絵を和田誠が描くというものです(最初の1年間は和田誠自身が似顔絵だけでなく、人選と文書も担当していた)。

3人がいっぱい②_5438.JPG 冒頭の1976(昭和51)年の1月には、黒柳徹子が「私より早口の三人」として、森英恵(美しい早口)、淀川長治(楽しい早口)、沢村貞子(立派な早口)を、2は、寺山修司が「競馬の先輩」として、古山高麗雄(最終レースの古さん)、織田作之助(一の目のオダサク)などを挙げています(織田作之助って随分前に亡くなっているけれど、真面目男がふとした契機から競馬に嵌ることになる「競馬」という傑作短編がある)。9月は渡辺淳一が、「手術してみたい三人」として、ちあきなおみ。浅丘ルリ子、浅茅陽子を挙げています。

3人がいっぱい②_5444.JPG 1977(昭和52)年に入ると、9月に筒井康隆が「三人の破壊者」として、タモリ(言語破壊者)、矢野顕子(フィーリング破壊者)、山下洋輔(ピアノ破壊者)を挙げていたりし、1978(昭和53)年には、本書の解説も書いている作家の阿佐田哲也が「文武百般の大先輩」として、五味廣祐、柴田錬三郎、寺内大吉を挙げていますが、この場合の"武"は賭け事なのでしょう。

3人がいっぱい②_5439.JPG  1979(昭和54)年では、作詞家の阿久悠が「目の光る三人」として倉本聰、浅井慎平、王貞治を挙げています。また、作家の小林信彦が、「笑いの求道者たち」として、森繁久弥、渥美清、萩本欽一を挙げています。

 選者も含め亡くなっている人も多いですが、息長く活躍している人も多いなあと。『3人がいっぱい➀』の方でも感じましたが、誰が誰を選んでどのようなことを書いているかも興味深いですが、やはり絵が一番楽しめるでしょうか。昨年['19年]亡くなった和田誠の、本書は意外と知られていない傑作イラスト集と言えるかもしれません。

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