「●宇宙学」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【352】 野本 陽代 『見えてきた宇宙の神秘』
「●の 野本 陽代」の インデックッスへ 「●岩波新書」の インデックッスへ
世界中の科学者を丹念に取材。宇宙はまだわからない課題が多い。
『宇宙の果てにせまる』 岩波新書 〔'98年〕
同じ岩波新書の「カラー版ハッブル望遠鏡が見た宇宙」シリーズの著者である科学ジャーナリスト野本陽代さんが、シリーズ1冊目の後に書いたもの。
宇宙論の現況とこれまでの展開、そしてハッブル宇宙望遠鏡の登場などによる新発見、新理論と、新たな謎に迫る科学者たちの活躍を書いています。
どうして宇宙の年齢や星までの距離、絶対光度がわかるのかといったことから、最新の宇宙論に至るまでをわかりやすく解説するとともに、現在活躍中の世界中の宇宙物理学者を数多く丹念に取材し、彼らの考え方を、その人となりと併せて生の声で伝えています。
宇宙に関する研究成果が多くの科学者の洞察と努力や工夫によるものであり、そこには様々な競争や運があったということ、宇宙にはまだわからない課題が多くあるということがわかる1冊です。
多数のセファイド型変光星が観測されたしし座の銀河NGC3370 (NASA)
《読書MEMO》
●セファイド型変光星(56p)...変光の周期によって絶対光度がわかる
●余分な運動...宇宙は膨張しているが、個々の天体は特異運動の影響を受ける(86p)
●銀河系・アンドロメダを含む銀河群はおとめ座銀河団の方へ
●光速の70%で遠ざかるクエーサーから2つの光が届く(重力レンズ)(110p)
●1987年カミオカンデが大マゼラン雲の超新星からのニュートリノ検出(140p)
●ビックバン(1/1)から最初の天体形成(1/20)までの間のことがわかっていない(160p)