◆早出についても割増賃金を支払う必要があるか

Qのロゴ.gifのサムネール画像 当社の1日の所定労働時間は、午前9時から午後5時まで(休憩1時間)の7時間です。社員が午後5時を超えて残業した場合には、残業手当を支払っていますが、午前9時前に早出出勤をした場合も、割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
また、朝2時間遅刻した社員が、その日2時間残業した場合には、その残業に対して割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像 いわゆる早出出勤も、時間外労働となります。したがって、早出の場合も、1日の所定労働時間を超えて労働した場合は、その時間に対して時間外手当を支払う必要があります。さらに、その日の労働時間が法定労働時間(8時間)を超えた場合は、超えた時間に対して割増賃金を支払う必要があります。
一方、2時間遅刻し、所定就業時刻を超えて2時間残業した労働者は、働いた時間の長さは通常の日と同じであるため、割増賃金を支払う必要はありません。



■解説
1 早出出勤にも割増賃金を支払う必要があるか
ご質問の前段は、早出出勤に対しても割増賃金を支払う必要があるかということですが、貴社の所定労働時間は7時間とのことですので、早出・残業を問わず、7時間を超えて労働させた時間は時間外労働となり、原則として、通常の労働時間に対して支払うべき賃金を払わなければなりません。ただし、労働協約や就業規則によって、1日8時間(休憩時間を除く)までの1時間について、別に定めた賃金額がある場合は、それを支払うことで足ります。この点について、行政解釈では、「法定労働時間内である所定労働時間外の1時間については、別段の定めがない場合には原則として通常の労働時間の賃金を支払わなければならない。但し、労働協約、就業規則等によって、その1時間に対し別に定められた賃金がある場合にはその別に定められた賃金額で差し支えない」としています。
次に、早出勤務した時間も含め1日の労働時間が8時間を超えた場合についてですが、その場合は、その超えた時間については、通常の賃金のほかに2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
 つまり、早出した時間に対して割増賃金を支払わねばならないのではなく、早出をした結果、その日の労働時間が8時間を超えたときに、割増賃金を支払わねばならないということです。

2 遅刻した日に残業した場合、その残業に対して割増賃金を支払う必要があるか
ご質問の後段は、遅刻した時間と残業した時間を相殺することが可能かという問いに言いかえることもできるかと思いますが、これについても同様の考え方が成り立ちます。その日の実労働時間が所定労働時間である7時間を超えない限りは、必ずしも残業手当を支払う必要はなく、また、法定労働時間である8時間を超えない限りは、必ずしも割増賃金を支払う必要はありません。遅刻した時間と残業時間を相殺することは可能であるということです。
 したがって、ご質問にある社員のように、2時間遅刻した日に所定終業時刻を超えて2時間残業した場合は、その日に働いた時間(実労働時間)は通常の日の労働時間(所定労働時間)と同じであるため、残業手当および割増賃金を支払う必要は原則としてありません。
 ただし、就業規則等で「終業時刻後に労働した場合には時間外労働として扱い、割増賃金を支払う」などの定めがある場合には、終業時刻以降の労働に対しては割増賃金を支払わなければならず、相殺することはできません。
以上がご質問のケースに対する回答ですが、例えば、労働者がより大幅な遅刻をしたために、労働時間が深夜業の時間帯(午後10時から午前5時)に及んだ場合は、実労働時間が8時間以内であっても、深夜業の時間帯の労働時間については、通常の賃金のほかに2割5分以上の率で計算した深夜労働割増賃金を支払わなければなりませんので、この点はご留意ください。

□根拠法令等
・労基法37(時間外、休日および深夜の割増賃金)
・昭23.11.4基発1592(法定内の所定時間外労働に対する賃金)

 ・内容についての無断転載は固くお断りいたします。

◆法定休日に8時間を超えて労働した場合、6割増の割増賃金を支払う必要があるか

Qのロゴ.gifのサムネール画像 当事業所の所定労働時間は8時間ですが、法定休日に8時間を超えて労働した社員がいる場合、その8時間を超えた時間分については、休日割増分の3割5分増に時間外割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
 また、法定休日の労働が深夜に及んだ場合は、その深夜の時間帯の労働時間については、割増賃金はどのように計算すればよいのでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像 所定労働時間が8時間である場合、法定休日に8時間を超えて労働させたときの割増賃金は、その労働が深夜に及ばない限り、3割5分増の割増賃金を支払えば足ります。
 その休日労働が深夜に及んだ場合は、深夜の時間帯の労働時間については、休日割増分の3割5分増に深夜割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

 

■解説
1 休日労働が8時間を超えた場合の取り扱い

 労働基準法37条1項では、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間またはその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」とされており、「政令」(割増賃金令)では、休日の労働については3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされています。
  そこで、ご質問にあるように、法定休日(週1回または4週間を通じ4日の休日)に8時間を超えて労働させた場合は、その超えた時間分については、休日割増分の3割5分増に時間外割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるのかということが疑問となります。
  この場合、そもそも休日には、いわゆる所定労働時間という概念はありませんので、その休日労働が深夜(午後10時から午前5時までの時間帯)に及ぶことがない限り、8時間を超えた場合でも、休日割増分の3割5分増の増賃賃金を支払えば足ります。


2 休日労働が深夜に及んだ場合などの取り扱い

 その休日労働が深夜に及んだ場合は、休日においても深夜労働という概念は除外されていないため、深夜の時間帯の労働時間分について、休日割増分の3割5分増に深夜割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。
  また、平日の時間外労働が休日に及んだ場合は、その休日が法定休日であれば、たとえ前日からの勤務の継続であっても、午前0時からは前日の時間外労働としてではなく、休日労働として取り扱います。したがって、午前0時以降の休日労働の時間については3割5分増以上の率で計算した休日割増賃金を支払う必要があります。さらに、前日(平日)の午後10時から当日(休日)午前5時までの間の時間は深夜労働に該当するため、休日の午前0時から午前5時までの間の時間についても、休日割増分の3割5分に深夜割増分2割5分を加えた6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があることになります(下図参照)。


houtei.gif □根拠法令等
・労働基準法37(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
・労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令
・労働基準法施行規則20②(休日深夜業の割増賃金)




 ・内容についての無断転載は固くお断りいたします。

◆精皆勤手当を3カ月ごとに支払う場合、割増賃金の算定基礎から除外できるか

Qのロゴ.gifのサムネール画像当社(給食センター)では、社員に3カ月ごとに精皆勤手当を支給することを検討しています。仮に、精皆勤手当の支給対象者が残業をした場合、この精皆勤手当は、「臨時に支払われた賃金」または「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれかに該当するものとして、割増賃金の算定基礎から除外することができるでしょうか。1日の所定労働時間は7時間で、手当の額は、支給要件を満たした月について、月額7,000円を考えています。


Aのロゴ.gifのサムネール画像精皆勤手当を何カ月分かまとめて支払うことにした場合でも、それは「臨時に支払われた賃金」には該当しません。さらに、たとえ3月カ月ごとに支払われるものであっても、月ごとに支給額が決められている場合は、「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」にも該当しないと考えられるため、割増賃金の算定基礎額となる賃金から除外することはできません。

 

■解説
1 精皆勤手当はすべて割増賃金の算定基礎から除くことができるのか

労働基準法第37条第4項では、「割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」と定めていますが、ここでいう「厚生労働省令で定める賃金」とは、①別居手当、②子女教育手当、③住宅手当、④臨時に支払われた賃金、⑤1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金をいいます(労働基準法施行規則第21条)。これらに該当しない賃金は、すべて割増賃金の算定基礎に含まれますが、これらの除外される手当についても、名称にかかわらず実質によって取り扱うこととされています。
まず、ご質問にある精皆勤手当が、上記④の「臨時に支払われた賃金」に該当するかどうかということについてですが、ここでいう「臨時に支払われた賃金」とは、結婚祝い金や慶弔見舞金などのように恩恵的・臨時的に支払われる賃金や、賞与などのようにあらかじめ支給額が確定していない変動的な賃金のことをいいます。したがって、精皆勤手当のようにあらかじめ支給することが定められた賃金は、これに該当しないことになります。
次に、上記⑤の「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当するかどうかですが、「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、次のものをいいます(施行規則第8条)。
イ.    1カ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当
ロ.    1カ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当
ハ.    1カ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給または能率手当
 上記イ.の趣旨は、1カ月以内の期間では支給額の決定要素となるべき労働者の勤務成績等を判定するには短すぎる事情もあり得ることから、賞与に準ずるものとして取り扱うこととしているものであり、貴施設で考えておられるような、1カ月ごとに当該月の勤務成績によって支給額が確定し、支払いのみ3カ月分をまとめて行うというような場合は、これに該当しないと考えられます。精皆勤手当のすべてが、除外される賃金ではないということに注意しておく必要があります。


2 精皆勤手当を含めた割増賃金の算定方法

割増賃金の算定基礎となる賃金とは、当該労働者が通常労働した場合の1時間当たりの賃金を意味します。そのように考えると、精皆勤手当を含めた割増賃金を算定する場合は、精皆勤手当を時間額に換算して算出する必要があります。
月の所定労働日数が20日とすれば、月の所定労働時間は1日7時間×20日間=140時間となり、精皆勤手当の時間換算額は、7,000円÷140時間=50円となります。
したがって、仮に時給750円の社員であれば、750円+50円=800円が算定基礎額となり、これにより割増賃金を算定すると800円×1.25=1,000円となります。
割増賃金の算定において、通常の時間もしくは労働日の1時間当たり賃金額または1時間当たり割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げて処理することについては、労基法違反としては取り扱わないものとされています。


□根拠法令等
・労基法37(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
・労基法規則8(臨時に支払う賃金、賞与に準ずるもの)、21(割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金)
・昭22. 9.13発基17(臨時に支払われた賃金)
・昭63. 3.14基発150(賃金計算の端数の取扱い)




 ・内容についての無断転載は固くお断りいたします。

◆管理監督者の深夜割増賃金はどのように算定するのか

Qのロゴ.gifのサムネール画像管理職でも、深夜労働割増賃金の支払いが必要であると聞きましたが、その場合、深夜割増の2割5分相当のみを支払えば足りるのでしょうか、それとも、通常の労働時間1時間分の賃金に割増分2割5分相当を加えた額(125%)を支払う必要があるのでしょうか。
また、当社では、管理職に対して職責の重さに応じて役職手当を支給していますが、こうした通常の賃金に上積み支給する手当がある場合、そのことを理由に、割増賃金を支払わないとすることは可能でしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像いわゆる管理職の深夜労働については、時間単価の2割5分相当を支払えば足ります。
また、職責に対する手当の支払いを理由に、深夜割増賃金を支払わないとすることはできません。ただし、就業規則等によって「深夜労働の割増賃金に相当する手当」として支給することが明記されている場合は、この手当を法定の割増賃金に代わるものとして取り扱うことが可能です。

 

■解説
1 管理監督者の深夜割増は2割5分相当を払えば足りる

労働基準法第41条第2号では、監督もしくは管理の地位にある者(以下「管理監督者」という)について、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用は除外することとされています。ただし、ご指摘の通り、深夜労働割増賃金については、管理監督者に対しても支払いの義務を免れません。
これは、労基法が労働時間に関する規制と深夜労働に関する規制を区別しているためで、行政解釈においても、法第41条は、「労働時間、休憩及び休日の規定を適用除外としているものであり、深夜業の関係規定は適用は排除されるものではない。したがって、本条により労働時間等の適用除外を受ける者であっても、第37条に定める時間帯に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければならない」とされています。
では、実際に管理監督者が深夜労働を行った場合の割増賃金の支払いはどうなるのかということですが、これは、時間単価の2割5分相当の支払いのみで労基法上は足ります。なぜなら、午後10時以降の労働に対する通常の賃金は、時間外賃金と同様、すでに所定賃金に含まれていると解されるからです。


2 役職手当の支払いを理由に深夜割増賃金を支払わないとするのは原則不可

現在貴社で支給されている役職手当は、管理職に対して職責の重さに応じて定額を支給されているもののようです。一方、割増賃金の算定基礎から除外できる賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類のみであり(労働基準法第37条第4項、施行規則第21条)、この他の手当は名称にかかわらず、すべて割増賃金の算定基礎に算入しなければなりません。
以上から、現在支給されている役職手当を深夜割増賃金とみなして、実際に支払うべき割増賃金を支払わないとすることはできず、むしろこれらの手当を割増賃金の算定基礎に含めて深夜割増賃金を計算し、支払わなければならないということになります。
ただし、行政解釈では、管理監督者の深夜労働割増賃金について「労働協約、就業規則その他によつて深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない」とされています。すなわち、役職手当を"職責の重さに応じた手当"ではなく、就業規則等によって「深夜労働の割増賃金に相当する手当として支給する」ことが明記されている場合は、この手当を法定の割増賃金に代わるものとして取り扱うことが可能です。


□根拠法令等
・労基法41(労働時間等に関する規定の適用除外)、37(時間外、休日及び深夜の割増賃金)、
・労基法規則21(割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金)
・昭22. 12.26 基発572(割増賃金の基礎となる手当)
・昭63. 3.14 基発150、平11. 3.31 基発168(深夜労働に関する規定との関係)




 ・内容についての無断転載は固くお断りいたします。

◆残業時間を毎月一定時間までと決めて、割増賃金を毎月定額払いにしてもよいか

Qのロゴ.gifのサムネール画像当社では、年間を通じての月々の給与支給額をおおむね一定額とすることで予算管理の精度を高めたいと考えており、そのために残業時間を毎月一定時間までと決めて、割増賃金を毎月定額払い(固定残業制)にしたいと考えています。
そうすれば、毎月残業時間を計算する手間も省け、労務コストの面でもメリットはあるかと思うのですが、このやり方に何か法律上の問題はあるでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像ご質問のような「固定残業制」であっても、社員の日々の実労働時間を把握することは必要ですが、実際に行われた時間外労働が、定額の残業手当を上回ることがなければ、割増賃金を毎月定額払いとすること自体に法律上の問題はありません。ただし、実際に行われた時間外労働がそれを上回った場合は、超過分については時間外割増賃金を支払わなければなりません。

 

■解説
1 固定残業制と割増賃金

労働基準法第37条第1項では、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と、時間外・休日労働および深夜業の割増賃金の支払いについて定めています。
ご質問は、残業時間を毎月一定時間までと決めて、割増賃金を毎月定額払いとする「固定残業制」をとることが、労働基準法第37条の定めに反するかどうかということになるかと思いますが、その前にまず、使用者は、原則として労働者の労働時間を把握し、法定労働時間あるいは三六協定で定めた残業限度時間を超えないように管理しなければならず、事業所で働く社員が、管理監督者やみなし労働時間制における裁量労働従事者など、労働基準法上の時間管理の適用除外者に該当しない限りは、日々の実動時間を把握することは必要であるということを踏まえておく必要があります。
そのうえで、その月の実際に行われた時間外労働等に対して労動基準法第37条で定められた方法で計算した金額がその定額残業手当の額を上回らない限りは、こうした「固定残業制」そのものは特に違法となるものではありません。しかし、労動基準法上支払うべき割増賃金額がその定額残業手当の額を上回るときは、その都度(賃金支払日ごとに)その差額を支払う必要があります。
裁判例でも、営業社員の時間外労働に対して支払ったセールス手当について、法定の割増賃金を上回る額であれば、法の趣旨は満たされ、割増賃金として一定額を支払うことは許されるとしつつ、法定の計算方法で算出した割増賃金の額が定額の手当の額を上回るときは、その差額の請求権を労働者側に認めたものがあります(「関西ソニー販売事件」昭63.10.26大阪地裁判決)。


2 固定残業制の留意点

定額残業手当は原則として割増賃金の算定基礎対象から除かれますが、営業手当などの諸手当に含めて支払っている場合は、その金額がいくらで何時間分の残業手当に相当するのか、また、その計算方法などを賃金規程などで明確に規定していなければ、固定残業代を含んだ営業手当等の全額が割増賃金の算定基礎対象となる賃金とみなされるおそれがあります。
また、実際に行なわれた残業が多く、割増賃金が定額残業手当を上回る月は、その上回った部分について、定額の残業手当とは別に差額を支払わなければならないのは前述の通りですが、実際に行なわれた残業が少なく、割増賃金が定額の残業手当を下回る月であっても、定額の残業手当は支払わなければならず、前者で生じた差額を後者のような残業の少ない月の定額の残業手当で充当したものとして、相殺することはできません。
さらにつけ加えるならば、残業時間を毎月一定時間までとして、それを超える時間残業することを就業規則等で禁止している場合においても、結果としてその上限を超える残業量になった場合は、すでに労務が提供されている以上、使用者は超えた時間分の残業代を払わなければなりませんのでご注意ください。




 

 

◆年俸制で雇用する契約社員にも割増賃金の支払いは必要か

Qのロゴ.gifのサムネール画像当社ではこのたび、社員の新規採用にあたり、その一部を契約社員として雇用し、年俸制で賃金を決めたいと考えています。その場合に、年俸制で雇用されることになった契約社員にも、時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければならないのでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像契約社員を年俸制で雇用する場合にも、原則として法定労働時間を超えた時間については割増賃金を支払う必要があります。
ただし、年俸額が通常の労働時間の賃金に相当する部分と時間外労働による割増賃金に相当する部分に区分されている場合で、かつ、実際に月に行われた時間外労働につい本来支払うべき割増賃金の額が、年俸の月配分額のうちの割増賃金分としての固定額の範囲内であるならば、必ずしも年俸の月配分額とは別に割増賃金を支払う必要はありません。

■解説
1 年俸制と割増賃金

年俸制とは、賃金を年単位で決める賃金決定方法のことですが、年俸制を採用する場合にも、労働基準法第24条第2項で定める「毎月1回以上定期期日払い」の原則が適用されるため、年単位で決めた年俸の総額を月々に配分して支払う必要があります(年俸額の一部を賞与に配分することは差し支えありません)。
年俸制は、もともと労働時間の長さに関係なく、成果や役割をもとに賃金額を決定しようというものであり、時間外労働や割増賃金といった考えにはなじまない制度です。しかし、一般的には、契約社員であるからといって、労働基準法上の労働時間等の規定は除外されませんから、年俸制で雇用する契約社員が法定労働時間を超えて労働したり、法定休日に労働したりした場合には割増賃金を支払うことを免れることはできません。
ただし、労働基準法第41条では、管理監督者、機密事務取扱者については、労働時間に関する規制の一部の適用を除外しており、労働時間が法定時間を超えても割増賃金を支払う必要はないとされています。また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、労使協定で定めたみなし時間に応じた一定額の割増賃金が支払われていればよいとされています(労働基準法第38条2から4)。
しかしながら、ご質問にある契約社員として採用しようとしている新規従業員の場合には、こうした管理監督者や裁量労働従事者に該当するケースはまずないものと思われますので、年俸制であっても、割増賃金の支払いを適正に行う必要があります。


2 年俸に時間外割増賃金分を含める方法

人件費予算を管理するうえで、あるいは個々の年収管理の観点から、契約社員に年俸制を適用しようとするのであれば、年俸総額に占める予想される年間の時間外割増賃金に相当する額を決め、年俸を月額給与に配分する際にも、月給額のうち、所定内賃金の部分の額と、予想される月の時間外割増賃金に相当する部分の額とに区分して、それぞれ明示するようにすればよいでしょう。
この場合にも社員の日々の実動時間を把握することは必要ですが、その定額の割増賃金の額が、実際に行われた時間外労働に対し労働基準法上支払うべき割増賃金の額を上回る限り、特に違法となるものではありません。このやり方については、行政解釈においても、「年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区分することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上に支払われている場合には、労基法第37条に違反しない」とされています。
ただし、実際に行われた時間外労働が予想を上回り、その時間外労働に対し労働基準法上支払うべき割増賃金の額が定額の割増賃金の額を超えた場合には、その超えた分について、割増賃金を追加して支払わなければなりません。
また、賞与を含め1年を通じて確定した年俸額を定めている年俸制(「完全年俸制」、「確定年俸制」などという)の場合は、賞与は臨時に支給される賃金とはみなされず、時間外労働割増賃金の単価については、賞与相当部分を含めて決定された年俸額の12分の1を算定基礎として割増賃金を支払う必要があるため、注意が必要です。


□根拠法令等
・平12.3.8 基収78(年俸制適用労働者に係る割増賃金及び平均賃金の算定について)



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◆パートやアルバイトに対しても割増賃金は必要か

Qのロゴ.gifのサムネール画像当社では、社員の大部分がパートであり、シフト勤務の調整がつかない部分をアルバイトでまかなっていますが、パートやアルバイトの場合にも、時間外労働に対しては割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
例えば、パート社員やアルバイトを1日8時間を超えて働かせた場合や、1日8時間、週5日勤務を契約内容とするアルバイトを週6日間働かせた場合は、超えた時間について通常の時給を支払えばそれで足りるということにはならないのでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像日または週の実労働時間が法定労働時間を超えたときは、超えた時間に対して2割5分増以上の割増賃金を支払わなければならず、このことは、パートタイマーやアルバイトといえども例外ではありません。
1日の所定労働時間が8時間のパートタイマーやアルバイトをある日に8時間を超えて働かせたとき、あるいは1日の所定労働時間を8時間、1週の所定労働日数を5日とするアルバイトをある週に6日間働かせたときは、ともに日または週の法定労働時間を超えた時間について割増賃金を支払わなければなりません。

 

■解説
1 法定労働時間と時間外割増賃金

労働基準法第32条では、休憩時間を除き「1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない」と、労働時間の上限規制をしています(これを「法定労働時間」という)。また同法35条では、「少なくとも1週間に1回」の休日を与えなければならない(ただし、4週間に4日の休日を与える場合はこの限りではない)と、休日についても規制をしています(これを「法定休日」という)。
しかし、時間外および休日労働に関する労使協定(いわゆる三六協定)を締結した場合には、その協定に定めた範囲内で法定労働時間を超え、あるいは法定休日に労働させることができます。この場合には、時間外労働については2割5分増以上、休日労働については3割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。
これらの規定は、パート・アルバイトを除外していません。したがって、パート・アルバイトを、1日8時間(ただし、変形労働時間制によって8時間を超える所定労働時間を定めた日については、その所定労働時間)を超えて労働させたときや、法定休日(1週間に1回または、休日を変形する場合には4週間に4日)に勤務させたときには、前述の定めに基づいて割増賃金を支払わなければなりません。


2 「特例措置対象事業場」に該当する場合

週40時間労働制は、原則としてすべての事業場に適用されます。しかし、売店や商店等の商業、映画・演劇業、旅館・飲食店等のサービス業、病院、診療所、保育所、老人ホーム等の社会福祉施設、その他の保健衛生業で、常時使用する労働者(パート・アルバイトを含む)が10名未満の事業場(以下「特例措置対象事業場」という」では、1週44時間、1日8時間(ともに休憩時間を除く)まで労働させることができるとされています(労働基準法第40条・施行規則第25条の2)。
ご質問のケースで、1日の所定労働時間が8時間、1週の所定労働日数を5日とするアルバイトを、ある週に6日間働かせたとき、通常は6日目の勤務時間はすべて割増賃金の対象となりますが、貴事業所が「特定措置対象事業場」に該当する場合は、6日目の勤務のうち4時間を超える部分からが割増賃金の対象となります。さらに、1日の所定労働時間を7時間20分とすると、週6日勤務であっても所定労働時間は44時間となり、1日の実労働時間が8時間を超えず、かつ週の実労働時間がその範囲(44時間)内であれば、週休1日制であっても割増賃金は発生しないことになります。





 

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◆三交替制の社員にシフト外の勤務をさせる場合には、割増賃金をいくら払えばよいか

Qのロゴ.gifのサムネール画像当工場では社員を三交替制で勤務させていますが、「早番」の勤務は0時~8時30分、「中番」は8時~16時30分、「遅番」は16時~0時30分で、「早・早・早・中・中・中・休・遅・遅・遅・休・休」という12日中9日勤務のサイクルとなっています。このたび「中番」要員が1人不足する日があるため、ある社員の第10日(「遅番」3日目)の勤務が0時30分に終了して7時間30分後の第11日8時から再び勤務させたいのですが、この労働に対しては、いくらの割増賃金を支払えばよいのでしょうか。就業規則上、休日労働は3割5分増し、時間外労働は2割5分増しとなっています。

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Aのロゴ.gifのサムネール画像深第10日(「遅番」3日目)の勤務後の第11日8時からの「中番」勤務は、前日の勤務の延長上にある時間外労働と考えられますので、2割5分増しの割増賃金を支払えばよいことになります。

 

 

■解説
1 休日労働なのか、前の勤務の延長上の時間外労働なのか

第10日(「遅番」3日目)の勤務終了後、7時間30分の休息をはさんでの第11日8時からの勤務が、前の勤務が延長された時間外勤務なのか、それとも休日勤務なのかという点がご質問のポイントであると思われますが、三交替制勤務における休日の取扱いに関しては、「継続24時間の休息を与えればよいとされており、その休息期間中に暦日による継続24時間がある場合には、その暦日を法定休日として取り扱う」こととなります。この場合、継続24時間が確保されなくなることになった労働をした部分が、3割5分以上の割増賃金を支払うべき休日労働になります。
ご質問のケースでは、第10日の勤務終了時刻に当たる第11日0時30分から、本来の勤務が始まる次のサイクルの第1日までの休息時間の間に、第12日0時から24時までの暦日による継続24時間の休息があり(第12日が法定休日となる)、たとえ第11日8時から「中番」勤務がはいっても、その継続24時間の休息は確保されていることになります。
この場合、第11日8時からの「中番」勤務は、前日の「遅番」勤務の延長ということになり、休日労働ではなく時間外労働になります。したがって、この勤務に対しては2割5分増しの時間外割増賃金を支払えば足りるということになります。


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2 三交替制勤務における休日と休日労働の取扱い

休日は暦日で与えるのが原則ですが、行政解釈では、三交替制勤務の場合は継続24時間の休息を与えれば、暦日によらずに休日と取り扱うことを認めています。この場合、次のように判断されます。
① 休息時間中に、継続24時間の休息が特定されている場合であって、当該継続24時間の休息が確保されている場合は、休日労働となりません。
② 休息時間中に、継続24時間の休息が特定されている場合であって、当該継続24時間の休息が確保されていない場合は、休日労働となり、3割5分以上の割増賃金が支払われます。
③ 休息時間中に、継続24時間の休息が特定されていない場合であって、当該継続24時間の休息が確保されていない場合は、確保されなくなった部分の労働につき休日労働となり、3割5分以上の割増賃金が支払われます。
④ 休息時間中に、継続24時間の休息が特定されていない場合であって、当該継続24時間の休息が確保されている場合は、休日労働となりません。


□根拠法令等
・昭26.10.7基収3962(継続二十四時間休日の場合の休日の範囲)、昭63.3.14基発150 (交替制の場合の休日)、平6.5.31基発331(法定休日における割増賃金の考え方について)

 


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◆残業が深夜や休日に及んだ場合の割増賃金の取扱いはどうすればよいか

Qのロゴ.gifのサムネール画像社員の残業が深夜に及んだ場合の割増賃金はどのように計算すればよいのでしょうか。また、平日の残業が休日に及んだ場合の割増賃金はどのように計算すればよいのでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像時間外労働が深夜に及んだ場合には5割増以上の率で、平日の時間外労働が法定休日に及んだ場合には6割増以上の率で、それぞれ計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 

 

■解説
1 時間外と深夜の割増賃金

労働基準法第37条では、時間外労働については2割5分以上の割増率で計算した割増賃金を支払わなければならないとしていますが、時間外労働が深夜に及んだ場合の割増賃金について「午後10時から午前5時までの間において労働させた場合」には、その時間の労働について「2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」(同条第3項)としています。したがって、時間外労働が午後10時以降に及んだ場合には、使用者は時間外割増の2割5分に深夜割増の2割5分を加えた5割以上の割増率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(施行規則第20条)。


2 時間外労働が休日に及んだ場合の割増賃金

次に、時間外労働が休日に及んだ場合の割増賃金は、その休日が労働基準法第35条によって規定されている法定休日(週1回または4週間を通じ4日の休日)にあたるのか、それとも法定の水準を上回る所定の休日(「法定外休日」という)であるかによって割増率が異なります。
(1)時間外労働が法定休日に及んだ場合の割増賃金
法定休日に労働させた場合の割増賃金は、3割5分以上の率で計算した額とされています(労働基準法第37条第1項および割増賃金令)。時間外労働が深夜に及ぶだけでなく、翌日の法定休日にまで連続して続いた場合(途中に仮眠等の休憩がある場合を含む)には、たとえ前日からの勤務の継続であっても、午前0時からは前日の時間外労働としてではなく、休日労働として取扱います。したがって、午前0時以降の休日労働の時間については3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うことになります。さらに、前日(平日)の午後10時から翌日(休日)午前5時までの間の時間は深夜労働に当たりますので、平日の午後10時から午前0時までは5割増、休日の午前0時から午前5時までの間の時間については、休日割増分の3割5分に深夜割増分2割5分を加えた6割増以上の割増賃金を支払う必要があります。
つまりこの場合、
・平日の午後10時から午前0時までは5割増以上(時間外割増分:2割5分+深夜割増分:2割5分)
・翌日(法定休日)の午前0時から午前5時までは6割増以上(休日割増分:3割5分+深夜割増分:2割5分)
・翌日(法定休日)の午前5時以降(午後10時まで)は、休日割増分3割5分増以上
の割増率で、それぞれ計算するということです。
(2)時間外労働が法定外休日に及んだ場合の割増賃金
時間外労働が法定外休日(法定を上回って設けられた休日)にまたがる場合の割増賃金については、行政解釈では「割増賃金を支払わなければならないのは法第35条の休日のみ」としていますから、所定休日の始まる午前0時以降についても、休日労働としてではなく時間外労働の継続として取扱うことができます。ただし、所定休日の午前0時から午前5時までの間は深夜の時間外労働になりますので、割増賃金は5割以上の率で計算した額となります。
つまりこの場合、
・平日の午後10時から午前0時までは5割増以上(時間外割増分:2割5分+深夜割増分:2割5分)
・翌日(法定外休日)の午前0時から午前5時までも同じく5割増以上(時間外割増分:2割5分+深夜割増分:2割5分)
・翌日(法定外休日)の午前5時以降(午後10時まで)は、時間外割増分2割5分増以上
という割増率での計算になるということです。


□根拠法令等
・昭23.4.5基発537、昭63.3.14基発150(割増賃金を支給すべき休日労働)





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◆割増賃金の計算基礎となる賃金の範囲はどこまでをいうのか

Qのロゴ.gifのサムネール画像割増賃金の計算をする際に、基本給のほかに、家族手当、通勤手当、住宅手当、物価手当などの手当を支給している場合には、これらの手当も算定基礎に含めなければならないのでしょうか。
また、ある社員を「課長補佐」にして管理職扱いとし、管理職手当と営業手当を支給している場合、この社員が労基法で定める「管理監督者」に該当しない場合は、これらの手当も割増賃金の算定基礎に含めなければならないのでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像割増賃金の算定基礎から除外される賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類のみです(労働基準法第37条第4項、施行規則第21条)。したがって、この他の手当は名称にかかわらず、すべて割増賃金の算定基礎に算入しなければなりません。
労働基準法で定める「管理監督者」に該当しない者に管理業務を行わせる際の対価として支払われている管理職手当や、外回りが多いことの対価として支払われている営業手当も、その例外ではありません。

 

■解説
1 算定基礎除外賃金は名称ではなく実質で判断

時間外または深夜に労働させた場合は通常の賃金の2割5分増以上、休日労働については3割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりませんが、これらの割増賃金の算定基礎から除外できる賃金は、上述の7種類のみです。
実際に支払われている手当がその7種類に該当するかどうかは、名称にかかわらず実質的に見て判断することになります。
① の家族手当については、「扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当は物価手当、生活手当その他名称の如何を問わず家族手当として取扱い」、逆に、家族手当と称していても、独身者にもいくらかが支払われているときは、その手当は家族手当とはみなされず、また扶養家族のある者に対して、家族数に関係なく一律に支払われている手当も家族手当とはみなされませんので、割増賃金の算定基礎に入れるべきであるとされています。
また、②の通勤手当については、距離にかかわらず一定額まで一律に支給する場合には、その一定額の部分については通勤手当に該当しませんので、割増賃金の算定基礎賃金に算入しなければなりません。
さらに、⑤の住宅手当についても、家族手当と同様、住宅手当と称していても全員に一律に定額で支払っている場合や、世帯主であるかどうかにかかわらず手当が支払われているような場合には、割増賃金の算定基礎賃金から除外することはできません。
なお、⑥の臨時に支払われた賃金とは賞与等のことを指しますが、年俸制のもとで支払額が確定した「賞与相当分」は、臨時に支払われた賃金に該当しないことに注意が必要です。したがって、年俸制のもとで年2回定期的に支払われる賞与は、その6分の1を算定基礎に含めなければなりません。
また、⑦の「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、労働基準法施行規則第8条に定められた、1カ月を超える期間の出勤成績や一定期間の継続勤務等に対して支給される①精勤手当、②勤続手当、③奨励加給または能率手当の3つの手当のことをいいます。したがって、これら以外のものは、1カ月を超える期間ごとに支払われていても割増賃金の算定基礎から除外することはできません。


2 管理職手当や営業手当について

ご質問の「課長補佐」が、労働基準法第41条第2号で定める「管理監督者」に該当する要件を満たさない場合は、時間外・休日に労働させた時間について割増賃金を支払う必要があります。その場合、管理業務を行わせる際の対価として支払われている管理職手当や、外回りが多いことの対価として支払われている営業手当も、割増賃金の算定基礎から除外することはできません。
ただし、その管理職手当や営業手当が割増賃金に見合うものであることが、貴事業所の就業規則(賃金規程)に明記してある場合は、割増賃金の算定基礎から除外しても差し支えないと考えます。


□根拠法令等
・昭22.9.13発基17(家族手当の意義)、昭25.11.5基発231(家族手当額を基準とする手当)、昭23.2.20基発297(通勤手当)、平11.3.3基発170 (住宅手当の具体的範囲)



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