◆早出についても割増賃金を支払う必要があるか
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また、朝2時間遅刻した社員が、その日2時間残業した場合には、その残業に対して割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
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一方、2時間遅刻し、所定就業時刻を超えて2時間残業した労働者は、働いた時間の長さは通常の日と同じであるため、割増賃金を支払う必要はありません。
■解説
1 早出出勤にも割増賃金を支払う必要があるか
ご質問の前段は、早出出勤に対しても割増賃金を支払う必要があるかということですが、貴社の所定労働時間は7時間とのことですので、早出・残業を問わず、7時間を超えて労働させた時間は時間外労働となり、原則として、通常の労働時間に対して支払うべき賃金を払わなければなりません。ただし、労働協約や就業規則によって、1日8時間(休憩時間を除く)までの1時間について、別に定めた賃金額がある場合は、それを支払うことで足ります。この点について、行政解釈では、「法定労働時間内である所定労働時間外の1時間については、別段の定めがない場合には原則として通常の労働時間の賃金を支払わなければならない。但し、労働協約、就業規則等によって、その1時間に対し別に定められた賃金がある場合にはその別に定められた賃金額で差し支えない」としています。
次に、早出勤務した時間も含め1日の労働時間が8時間を超えた場合についてですが、その場合は、その超えた時間については、通常の賃金のほかに2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
つまり、早出した時間に対して割増賃金を支払わねばならないのではなく、早出をした結果、その日の労働時間が8時間を超えたときに、割増賃金を支払わねばならないということです。
2 遅刻した日に残業した場合、その残業に対して割増賃金を支払う必要があるか
ご質問の後段は、遅刻した時間と残業した時間を相殺することが可能かという問いに言いかえることもできるかと思いますが、これについても同様の考え方が成り立ちます。その日の実労働時間が所定労働時間である7時間を超えない限りは、必ずしも残業手当を支払う必要はなく、また、法定労働時間である8時間を超えない限りは、必ずしも割増賃金を支払う必要はありません。遅刻した時間と残業時間を相殺することは可能であるということです。
したがって、ご質問にある社員のように、2時間遅刻した日に所定終業時刻を超えて2時間残業した場合は、その日に働いた時間(実労働時間)は通常の日の労働時間(所定労働時間)と同じであるため、残業手当および割増賃金を支払う必要は原則としてありません。
ただし、就業規則等で「終業時刻後に労働した場合には時間外労働として扱い、割増賃金を支払う」などの定めがある場合には、終業時刻以降の労働に対しては割増賃金を支払わなければならず、相殺することはできません。
以上がご質問のケースに対する回答ですが、例えば、労働者がより大幅な遅刻をしたために、労働時間が深夜業の時間帯(午後10時から午前5時)に及んだ場合は、実労働時間が8時間以内であっても、深夜業の時間帯の労働時間については、通常の賃金のほかに2割5分以上の率で計算した深夜労働割増賃金を支払わなければなりませんので、この点はご留意ください。
□根拠法令等
・労基法37(時間外、休日および深夜の割増賃金)
・昭23.11.4基発1592(法定内の所定時間外労働に対する賃金)
・内容についての無断転載は固くお断りいたします。