◆法定休日に8時間を超えて労働した場合、6割増の割増賃金を支払う必要があるか
当事業所の所定労働時間は8時間ですが、法定休日に8時間を超えて労働した社員がいる場合、その8時間を超えた時間分については、休日割増分の3割5分増に時間外割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
また、法定休日の労働が深夜に及んだ場合は、その深夜の時間帯の労働時間については、割増賃金はどのように計算すればよいのでしょうか。
所定労働時間が8時間である場合、法定休日に8時間を超えて労働させたときの割増賃金は、その労働が深夜に及ばない限り、3割5分増の割増賃金を支払えば足ります。
その休日労働が深夜に及んだ場合は、深夜の時間帯の労働時間については、休日割増分の3割5分増に深夜割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。
■解説
1 休日労働が8時間を超えた場合の取り扱い
労働基準法37条1項では、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間またはその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」とされており、「政令」(割増賃金令)では、休日の労働については3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされています。
そこで、ご質問にあるように、法定休日(週1回または4週間を通じ4日の休日)に8時間を超えて労働させた場合は、その超えた時間分については、休日割増分の3割5分増に時間外割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるのかということが疑問となります。
この場合、そもそも休日には、いわゆる所定労働時間という概念はありませんので、その休日労働が深夜(午後10時から午前5時までの時間帯)に及ぶことがない限り、8時間を超えた場合でも、休日割増分の3割5分増の増賃賃金を支払えば足ります。
2 休日労働が深夜に及んだ場合などの取り扱い
その休日労働が深夜に及んだ場合は、休日においても深夜労働という概念は除外されていないため、深夜の時間帯の労働時間分について、休日割増分の3割5分増に深夜割増分の2割5分増を加えた、6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。
また、平日の時間外労働が休日に及んだ場合は、その休日が法定休日であれば、たとえ前日からの勤務の継続であっても、午前0時からは前日の時間外労働としてではなく、休日労働として取り扱います。したがって、午前0時以降の休日労働の時間については3割5分増以上の率で計算した休日割増賃金を支払う必要があります。さらに、前日(平日)の午後10時から当日(休日)午前5時までの間の時間は深夜労働に該当するため、休日の午前0時から午前5時までの間の時間についても、休日割増分の3割5分に深夜割増分2割5分を加えた6割増以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があることになります(下図参照)。
□根拠法令等
・労働基準法37(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
・労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令
・労働基準法施行規則20②(休日深夜業の割増賃金)
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