◆所定労働時間が短い日に休業した場合も、平均賃金の6割の休業手当が必要か

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Qのロゴ.gifのサムネール画像当社には、1週のうち特定の曜日の所定労働時間が通常の日の所定労働時間より短いけ社員がいます。先日、会社施設の増改築工事のため社員に対し休業を命じましたが、その社員については、4時間の勤務が予定されていた日でした。そのため、この社員の休業手当の計算をしたところ、平均賃金の60%相当額が4時間分の時給を上回る結果となりました。
こうした場合でも、平均賃金の60%を休業手当として支払う必要があるのでしょうか。4時間分の時給または4時間分の時給の60%の支払いで済ませることはできないでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像所定労働時間が短い日に使用者の責めによる事由で休業し、平均賃金の60%が当該日の所定労働時間分の時給を上回る場合においても、平均賃金の60%以上を休業手当として支払う必要があります。ご質問のケースにおいても、4時間分の時給または4時間分の時給の60%の支払いで済ませることはできません。

 

■解説
1 休業手当

 労働基準法26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定めています。
 「使用者の責に帰すべき事由」には、使用者の故意、過失による休業はもちろん、経営上の理由による休業も含まれます。したがって、天災地変等の不可抗力による休業までは含まれませんが、事業所の移転や施設の増改築による一時休業の場合は、「使用者の責に帰すべき休業に該当する」ものとされ、休業した日について平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。
 休業手当の算定基礎となる平均賃金について、労働基準法12条1項は、「平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」としており、さらに2項では、「前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する」と定めています。
 当該日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額を総日数で除するため、当該休業日の所定労働時間が通常の日の所定労働時間より短い場合には、ご質問のように、平均賃金の100分の60が、当該日の賃金額を上回ることもあり得ることになります。


2 休業手当の額が休業日の賃金を上回る場合の取り扱い

 そこで、4時間の勤務が予定されていた日に休業を命じ、平均賃金の100分の60相当額が4時間分の時給を上回る結果となった場合においても、平均賃金の100分の60を休業手当として支払う必要があるのかというのがご質問の内容ですが、休業手当の趣旨は、平均賃金の100分の60以上に相当する金額の支払いを、使用者に罰則をもって強制することにより、労働者の保護を図ろうとしたものです。したがって、こうした場合でも、平均賃金の100分の60以上に相当する金額を支払わなければならないということになります。
 ご質問のケースにおいても、4時間分の時給または4時間分の時給の100分の60の支払いで済ませることはできません。解釈例規においても、「一週中のある日の所定労働時間が、たまたま短く定められていても、その日の休業手当は、平均賃金の100分の60に相当する額を支払わなければならない」とされています。


□根拠法令等
・労働基準法26(休業手当)、21(平均賃金)
・昭27.8.7 基収3445(休業期間が一労働日に満たない場合の休業手当の額)





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