◆割増賃金の計算基礎となる賃金の範囲はどこまでをいうのか

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Qのロゴ.gifのサムネール画像割増賃金の計算をする際に、基本給のほかに、家族手当、通勤手当、住宅手当、物価手当などの手当を支給している場合には、これらの手当も算定基礎に含めなければならないのでしょうか。
また、ある社員を「課長補佐」にして管理職扱いとし、管理職手当と営業手当を支給している場合、この社員が労基法で定める「管理監督者」に該当しない場合は、これらの手当も割増賃金の算定基礎に含めなければならないのでしょうか。



Aのロゴ.gifのサムネール画像割増賃金の算定基礎から除外される賃金は、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類のみです(労働基準法第37条第4項、施行規則第21条)。したがって、この他の手当は名称にかかわらず、すべて割増賃金の算定基礎に算入しなければなりません。
労働基準法で定める「管理監督者」に該当しない者に管理業務を行わせる際の対価として支払われている管理職手当や、外回りが多いことの対価として支払われている営業手当も、その例外ではありません。

 

■解説
1 算定基礎除外賃金は名称ではなく実質で判断

時間外または深夜に労働させた場合は通常の賃金の2割5分増以上、休日労働については3割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりませんが、これらの割増賃金の算定基礎から除外できる賃金は、上述の7種類のみです。
実際に支払われている手当がその7種類に該当するかどうかは、名称にかかわらず実質的に見て判断することになります。
① の家族手当については、「扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当は物価手当、生活手当その他名称の如何を問わず家族手当として取扱い」、逆に、家族手当と称していても、独身者にもいくらかが支払われているときは、その手当は家族手当とはみなされず、また扶養家族のある者に対して、家族数に関係なく一律に支払われている手当も家族手当とはみなされませんので、割増賃金の算定基礎に入れるべきであるとされています。
また、②の通勤手当については、距離にかかわらず一定額まで一律に支給する場合には、その一定額の部分については通勤手当に該当しませんので、割増賃金の算定基礎賃金に算入しなければなりません。
さらに、⑤の住宅手当についても、家族手当と同様、住宅手当と称していても全員に一律に定額で支払っている場合や、世帯主であるかどうかにかかわらず手当が支払われているような場合には、割増賃金の算定基礎賃金から除外することはできません。
なお、⑥の臨時に支払われた賃金とは賞与等のことを指しますが、年俸制のもとで支払額が確定した「賞与相当分」は、臨時に支払われた賃金に該当しないことに注意が必要です。したがって、年俸制のもとで年2回定期的に支払われる賞与は、その6分の1を算定基礎に含めなければなりません。
また、⑦の「1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、労働基準法施行規則第8条に定められた、1カ月を超える期間の出勤成績や一定期間の継続勤務等に対して支給される①精勤手当、②勤続手当、③奨励加給または能率手当の3つの手当のことをいいます。したがって、これら以外のものは、1カ月を超える期間ごとに支払われていても割増賃金の算定基礎から除外することはできません。


2 管理職手当や営業手当について

ご質問の「課長補佐」が、労働基準法第41条第2号で定める「管理監督者」に該当する要件を満たさない場合は、時間外・休日に労働させた時間について割増賃金を支払う必要があります。その場合、管理業務を行わせる際の対価として支払われている管理職手当や、外回りが多いことの対価として支払われている営業手当も、割増賃金の算定基礎から除外することはできません。
ただし、その管理職手当や営業手当が割増賃金に見合うものであることが、貴事業所の就業規則(賃金規程)に明記してある場合は、割増賃金の算定基礎から除外しても差し支えないと考えます。


□根拠法令等
・昭22.9.13発基17(家族手当の意義)、昭25.11.5基発231(家族手当額を基準とする手当)、昭23.2.20基発297(通勤手当)、平11.3.3基発170 (住宅手当の具体的範囲)



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