◆中途採用者の給与の日割計算のしかたは?

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Qのロゴ.gifのサムネール画像当社では、毎月末日締めで給与計算をしています。これまで社員の採用は、給与計算期間の初日である1日付けで行っていましたが、今回15日付けで新たに社員を採用しました。この場合、給与を日割計算するにはどのようにすればよいでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像中途採用の社員の給与を日割計算する場合には、①暦日による方法、②当該月の所定労働日による方法、③月平均の所定労働日による方法の3つの方法があります。いずれの方法を採用するかは任意ですが、就業規則(給与規定)で定めておく必要があります。

 

■解説
1 「暦日」基準、「所定労働日」基準、「月平均所定労働日」基準の3つの方法

社員が月(または給与計算期間。以下、同。)の途中で入社したり退職したりした場合の、当該月(または当該給与計算期間。以下、同。)の給与を日割計算する場合には、①暦日による方法、②当該月の所定労働日による方法、③月平均の所定労働日による方法の3つの方法があります。
①の「暦日による方法」の場合は、当該月の全暦日数を分母として、入社の際は、入社した日からその日の属する月の締切日までの全暦日数を分子とし、退職の際は、退職した日の属する月の初日から退職した日までの全暦日数を分子として、それぞれ計算するものです。中途入社者の給与は、「給与額×(入社日からその日の属する月の末日までの全暦日数÷当該月の全暦日数)」となります。
②の「当該月の所定労働日による方法」の場合は、当該月の全所定労働日数を分母として、入社の際は、入社した日からその日の属する月の締切日までの所定労働日数を分子とし、退職の際は、退職した日の属する月の初日から退職した日までの所定労働日数を分子として、それぞれ計算するものです。中途入社者の給与は、「給与額×(入社日からその日の属する月の末日までの所定労働日数÷当該月の全所定労働日数)」となります。
③ の「月平均の所定労働日による方法」の場合は、②に近い考え方ですが、分母に当該月の所定労働日数を用いるのではなく、年間を通しての1カ月当たりの平均所定労働日数を用いる点が異なります。分子として、入社の際は、入社した日からその日の属する月の締切日までの所定労働日数を、退職の際は、退職した日の属する月の初日から退職した日までの所定労働日数を用いる点は②と同じです。毎月末日締めの計算をしている事業所での中途入社者の給与は、「給与額×(入社日からその日の属する月の末日までの所定労働日数÷月平均所定労働日数)」となります。


2 就業規則(賃金規程)への記載

例えば、ご質問にあるように、毎月末日締めで給与計算を行っている事業所に15日付けで社員が入社した場合、その社員の月額給与が30万円、その月の暦日数が30日(15日以降の暦日数は16日となる)、その月の所定労働日数が21日、15日以降の所定労働日数が11日、事業所の月平均所定労働日数が20.5日とすると、それぞれの方法による入社月の給与の計算は、①の場合は30万円×(16/30)、②の場合は30万円×(11/21)、③の場合は30万円×(11/20.5)となります。
どの方法が中途入社者にとって有利かは、月によって暦日数や所定労働日数が変動するため一概にはいえず、また、中途退職者にも同じ計算方法を適用するのが一般的ですので、入社者にとってたまたま有利な計算結果であっても、同日付けでの退職者には不利になることが考えられます。
いずれの方法を採用するかは任意ですが、就業規則(賃金規定)で、賃金項目のうちどこまでの範囲を、どういった方法で日割計算するのか定めておく必要があります。また、諸手当についてその一部を日割計算の対象外とし、通常の月と同じ額を支給する場合は、就業規則(賃金規定)で、例えば「家族手当、通勤手当、住宅手当および単身赴任手当の日割計算は行わない」などの定めをしておけばよいことになります。





 

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