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1.賃金制度に対する当コンサルの考え方

■賃金制度に対する当コンサルの考え方

『社員のことが分かりすぎて、逆にどこから手をつけて良いのか分からない!』 経営環境の急激な変化に合わせ、企業の賃金制度はより高度で複雑になっています。
しかし、賃金制度<人事制度<人事戦略という連関で捉えれば分かるとおり、賃金制度は経営戦略の重要な一環を成すものであり、現場(人事部)に任せ放しなどということはあってはなりません。
制度見直しや改革に際しても、経営トップがその狙いを明確にイメージしていなければ、どのような仕組みも組織の活性化、人的資源の向上、会社業績の伸長には結びつきません。

「職能資格制度」など従来型の制度が年功的運用による行き詰まりを見せ、等級・賃金制度は「人」基準から「仕事」基準への見直しが求められています。
でも、いざ自社の処遇制度を見直そうとすると、どこから手をつけてよいのか"茫洋の嘆"にくれている経営者の方も多いようです。
経営者は社員のことをよく見ていますし、よく知っています。
社員の今までの仕事ぶりや過去の業績も含めてよく知りすぎているために、どうしても「人」基準の考え方から脱することができないのです。
こうした経営トップの困惑に拍車をかけているのが、「成果主義」に対する否定論の隆盛です。

■「成果主義」否定論に対する当コンサルの考え方

「成果主義」は問題あり? でも今更、年功主義に戻れますか?
「成果主義」に対する否定論の傾向は、次のようなものです。

  • ●成果主義や業績主義というのは、「成果を出さなければ減給だ、業績が上がらなければリストラだ」という社員に対する脅しの上に成り立つものだ、という拡散的・表面的解釈論
  • ●「競争」や「評価」は、そもそも日本の企業には馴染まない、という情緒的な決めつけ論
  • ●多くの大企業で導入後に混乱や不具合を生じている、という断片情報依存論

「成果主義」に対する否定論には、「成果主義」の定義を明確化せずに、これを拡散的に解釈し、諸事象の表面だけを捉えたものが多く見られるように思えます。
と言って、それに代わる明確なコンセプトが提示されているわけではありません。
一方、こうした否定論を生む背景として、中長期の人材育成に対する考え方などが欠落したまま、安易に成果主義を入れ、社員の不安を増長し、"やる気"の低下を招いている企業が多くあるのも事実です。
一般に、中小含め8割の企業が「成果主義」を入れ、導入企業の7割が見直しをしているとのことです。
しかし"能力主義のつもりが年功主義になってしまった"企業が、成果主義の導入時に多少躓いたからと言って、これから年功主義に戻るとは考えにくいと思います。

■「成果主義賃金制度」に対する当コンサルの考え方

「成果主義」=「成果主義の賃金制度」、是非よりも自社でのあり方の問題
「成果主義」とは、「企業の経営業績に対する貢献度に基づいて人材を評価し、また、その評価に基づいて人材に対する報酬を決定する人事制度」を指します。
処遇制度(の1方向性)であり、端的に言えば、「成果主義」=「成果主義の賃金制度」となるかと思います。
ですから、サブシステムにすぎない「成果主義(賃金制度)」そのものを良いか悪いかと議論するよりは(当然ダメな成果主義というのもあるわけですから)、「自社における成果主義賃金制度」のあり方、運用の仕方が大事なのではないかと思います。

人事戦略(人事制度)が目指すべきところは、「活力のある革新的な人材・組織の実現」にあると考えます。
したがって、"サブシステム"としての成果主義賃金制度が目指すところも同じです。
そこには賃金制度の見直しだけでなく、公平で納得性のある人事考課制度や、仕事(キャリア機会)・権限の与え方、社員の成長を促す教育、なども必要になってくるかと思います。

成果主義賃金制度は、実力のある人、やる気のある人が、高いモチベーションを維持し実際に成果を生み出せるように、またそうした成功体験を通じて自己実現し、成長し、周囲や組織を活性化できるようにするための処遇システムであるべきです。
長年にわたって賃金制度の運用見直しを行っていない会社の多くは、年功的賃金となっています。
年齢・年功と実力・貢献度がぴったり一致している会社ならばそれでいいのですが(その場合は年功主義=成果主義ということになりますが)、そうでなければ、能力のある、キャリア意識の高い若手・中堅社員は、どんどん会社を去っていくでしょう。
賃金制度の設計には多くの選択肢があります。
経営トップは、自らの視座に沿って、自社に適合した成果主義賃金の実現に、自信を持って邁進していただきたいものだと思います。

当コンサルでは、日本の企業および働く社員に受け入れられやすい「役割」という概念をベースにした「役割給」と、定期昇給の縛りから脱却し人件費の変動費化を図る=「業績給」をご提案のキーとして、次のような課題を抱えるクライアント企業に対し、成果主義(役割成果主義)賃金制度の構築・導入・運用のお手伝いさせていただいています。

  • ○ 資格制度が形骸化し、職責と賃金の不均衡や人件費高騰を招いているのを是正したい
  • ○ 年功的な賃金上昇を排除し、役割と業績・成果に応じた処遇を実現したい
  • ○ 成果主義賃金制度を導入したが、モチベーションの低下など不具合をきたしている
  • ○ 会社業績、個人成果を柔軟に反映させる賃金体系により人件費コントロールをしたい
    賃金改革55 > 1.賃金制度 参照

2.賞与制度・ボーナス制度・年俸制に対する当コンサルの考え方

■賞与制度に対する当コンサルの考え方

毎回当然がごとく、○ヶ月分を期待している社員もいるけれど...
賞与とは、労働基準法上の「臨時の賃金」にあたり、「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」を言います。
ですから法律的には支払いが義務化されているわけではありません。
でも大部分の企業では制度化・慣習化され、社員にとっても生活賃金の一部となっています。
しかし、バブル崩壊後の低成長時代に入り、また今後の雇用の流動化を展望し、改めて賞与の人件費調整機能やインセンティブ機能というものが見直されています。
会社業績に応じて支給額を弾力的に変動させ、更にその中でも利益(付加価値)貢献度の高かった社員により厚く報いるようにしたい、というのは経営者の当然の思いであり、また賞与制度の意義であ ると言えます。

不況下において、多くの大企業での賞与支給額カットが報道を通じて伝えられ、あるいは中小企業などで支給できないという事態があることを小耳にはさんだとしても、自分の会社の賞与が安定的に支給されている限り、社員はそれほど差し迫った危機感を抱かないものです。
多少のカットがあったとしても、それは通常一律に行われるため、業績が回復すればまた元に戻るだろうと、自分を納得させてしまいがちです。
そこには、賞与が企業業績の成果配分であって、付加価値貢献度の高かった人が多くもらうべきであり、そうで無かった人は相応の額に甘んずるべきだという発想が欠落しています。
また、不況下における賞与の"一律カット"などの施策が、個人の業績には関係ないところで賞与の額は決まってしまうのだ、という意識を、一層助長しているように思えます。

企業がこれから組織と人材を活性化し、筋肉質の企業体質を築こうとするならば、賞与を業績・成果反映型にすることは経営の急務です。
そのためには、納得性のあるルールづくり、円滑な制度移行、賞与原資の管理などが課題になります。

■ボーナス制度に対する当コンサルの考え方

「馬の目の前にニンジンをぶら下げるがごときやり方」は古いのか?
ここで言う「ボーナス」とは、「企業の今年の夏のボーナスは...」とニュースなどで報じられたりする定期賞与のことを指すのではなく、ゼロベースの臨時の報酬のことを指します。
定期賞与への限らず、利益還元賞与(プロフィット・シェア・ボーナス/ペイ・バック)報奨金(インセンティブ・ボーナス)などのいわゆるボーナスを、なんとか有効なかたちで支給したいと考える経営者の方は多いと思います。
一方で、こうしたボーナス制度を「馬の目の前にニンジンをぶら下げるがごときやり方」とし、疑問を呈する経営者やコンサルタントの方もおられます。
学問的に言うと、「内発的動機付け理論」を強く支持する人たちです。
モチベーションの問題をボーナス制度のみですべて解決できるとは考えません。
しかし会社が成果主義を標榜するならば、そこで働く社員が、自らの付加価値貢献がその年度内に報いられることを期待するのは自然なことです。
実際に、新制度として導入後、社員の業績目標に対するインセンティブが大いに高まったという企業が多くあります。
ボーナス制度は、人件費の弾力的活用、成果応分の処遇による人材活性化、という現代の経営の要請にも沿うものです。決して"古いやり方"ではありません。
前向きに検討していただきたいと思います。

■年俸制に対する当コンサルの考え方

「年俸制」という"魔法の言葉"がもたらすマインド・リセット
また、月例給と賞与を併せて管理する年俸制という選択も当然出てくるかと思います。
年俸制は、月額給与を含めた賃金の、従来の下方硬直性(下がらない、下げられないというルールまたは思い込み)を撤廃する効果が期待できるからです。
「年俸制」は、その言葉自体は賃金の決め方の一つを指すにすぎないのですが、「いくら上げ下げするか」ではなく、「いくらにするか」を決める、というのが運用の"核"です。
そのことは、会社と社員の関係も変えます。長く勤めれば給与は遅かれ早かれ上がっていく、という従来のマインドセット(思い込み)をリセットすることになるからです。
そうした意味では"魔法の言葉"です。

また年俸制を導入することにより、会社がその社員に対して結局のところ基準額としていくら支払っているのかが一目瞭然となります。(業績変動・インセンティブはこの場合除きます。)
これは重要なことです。
ある時期に成果貢献した社員に、賞与において高い評価を与えても、その社員の基本給が低いために結局のところ年収ベースでは先行社員に追いつけない、評価者自身もそのことに気づいていない、というのが、従来の月給・賞余制度で往々にして見られる弱点でした。
年俸制は逆転可能な賃金制度、逆転可能な企業風土を醸成する仕組みとも言えます。
そうした意味では、「全社員年俸制」が理想ではないかと思いますが、そんなことができる会社は少ないと思われています。
しかし、最近ではヤマダ電機やソフトバンクBBといった、よく知られており社員数も相当数いる企業が「全社員年俸制」に移行しています。

当コンサルでは、業績・成果反映型賞与、ボーナス制度、年俸制(全社員年俸制を含む)をご提案のキーとして、自社の処遇制度において業績反映の要素を強め、人件費の弾力化、社員のモチベーション向上を図りたいとお考えのライアント企業に対し、業績連動型の報酬制度の構築・導入・運用のお手伝いさせていただいています。

賃金改革55 > 2.賞与制度・ボーナス制度・年俸制 参照

3.退職金制度に対する当コンサルの考え方

■退職金制度の今まで

自社の退職金が"「超」がつくほどの年功型"になっていませんか?
退職金の性格については、①「長期勤続に対する功労報奨」説、②「退職後の生活保障」説、③「賃金の後払い」説、などがあります。
退職金というのは、江戸時代に商家で奉公人が辞める際に支払われていた独立支援金(または手切れ金)に端を発します。
制度として整備された戦後から高度経済成長期にかけては、人材定着を促進するための長期勤続に対する功労報奨という考え方がベースにありました。
しかし、その多くが、賃金に連動した支給額決定方式(退職時基本給×勤続年数×退職事由係数)であるため、昇給がそのまま支給額増につながる所謂「ベアハネ」現象を生じてきました。

日本企業の退職金制度は"年功的構造である"と言われますが、それは"「超」がつくほどの"と言った方が適切です。
大卒3年(25歳)で退職した場合と定年(60歳)退職の場合の格差は、会社都合退職で50~60倍、自己都合退職で約100~130倍と言われています。
勤続1年当たりの格差でみると、会社都合退職で約5倍、自己都合退職で約10倍になります。
これは、賃金制度で普通に言われている"年功的である"というレベルを大きく超えています。
「退職時基本給×勤続年数×退職事由係数」という算定方法を用いている制度のほとんどにこの試算があてはまりますが、経営者にとってそれほど意識されてこなかったのが今までです。

■退職金制度の現在とこれからの課題

あまりに問題が多すぎて、検討が先送りになっていませんか?
退職金は、法律(通達)上は「賃金の後払い」であるとされていますが、企業側の実感としては、そうした意味合いは希薄ではないでしょうか。
「退職後の生活保障」説にしても、不況下ではそこまで原資が回らないので出さずに済むなら出したくない、という会社が増えています。
ただし、「賃金後払い」説は、最近別な角度から企業に注目されています。
つまり、給与・賞与に成果主義を導入するのであれば、"賃金"である退職金についても同様の検討が必要ではないかと...。
いずれにせよ、今後予想される雇用の流動化促進、外部からの有能な人材の獲得の必要性などを考えても、退職金制度は年功序列型から脱却していかなければならないでしょう。
更には、大量定年時代を迎え、一時期に退職者が集中する問題を考慮するならば、安定的な退職金原資の確保に加え、給付の分散を図るために、「早期退職優遇制度」などの選択的なリタイアメント制度も検討の範疇に入っています。

こうした人材マネジメントの問題だけでなく、企業会計におけるディスクロージャー・マネジメントの問題もあります。
未上場企業であっても、いずれ新会計基準(退職給付会計)への対応をしなければならなくなります。
これまでは企業会計上オフバランス(簿外債務)であった退職金(退職年金)の積立て不足が、今後表面化し企業会計に大きな影響を及ぼすことになります。

この問題と相まって、新企業年金のメニュー検討もしなければなりません。
先行する大企業では、確定給付企業年金は追加拠出のリスクがあるため敬遠されており(当然そこには、企業会計意識が働いています)、確定拠出年金(日本版401k)を選択する企業が多く、そうでなければ混合型のキャッシュバランス・プランという選択となっています。
中企業では、適格年金からの移行の場合、とりあえず制度的に似ている確定給付企業年金への移行が多いようでが、小企業では、検討中、またはこれから検討に入るところが多いようです。
中小企業にとって確定拠出年金は、投資教育のコストの問題もありますが、原則として60歳にならないと受給できない仕組みが馴染むかどうか、という問題もあります。
中小企業にとっては、退職金が手切れ金の役割を担っている面が、まだまだあるからです。

■退職金制度に対する当コンサルの考え方

給付債務を減らし、役割・成果に応じた支給で引き止め・引き離し効果をまず将来にわたっての退職給付債務を減らすということが、大きな課題であると考えます。
新会計基準への移行時、または確定拠出年金への移行時には、債務の一括償却が認められていますが、これはある意味で退職給付会計を健全化するチャンスです。
しかし、その時点で一括償却できないほどに債務規模が大きい企業にとっては、チャンスがチャンスとなり得ません。
ですから大きな退職給付債務を抱えている場合は、相当の資金力がない限り、選択肢が狭まるということにもなります。
また、確定給付企業年金に移行した場合、勤続年数に応じて支給額が膨らむ退職金規定のままでは、引き続き(従前より強制力を持って)債務償却に追われることになります。
退職金制度が「超」年功的なものになっているならば、早急に見直しを図ることが必要です。

今まで企業が退職金制度を通じて社員に発していたメッセージは、「定年まで勤めてほしい」というものになっています。
とにかく長く勤めていれば有利になる仕組みだからです。
これからは「できる人材」へのメッセージが必要になってくると考えます。
退職金の3つの機能はRecruit・Retain・Release(引き寄せ・引き止め・引き離し)です。
コア人材を引き止めるには、長期勤続だけでなく、役割や成果に応じた支給ができる制度にすべきだと考えます。

当コンサルでは、退職給付額の年功的増化を抑制し、支給額に貢献度や業績を反映することが可能な「ポイント制退職金制度」や、現行退職金制度を廃止する際の新たな選択肢としての「退職金前払い制度」、給付の平準化を図るための「早期退職優遇制度」(割増退職金制度)をご提案のキーとし、新しい退職金制度の構築・導入・運用のお手伝いさせていただいています。

賃金改革55 > 3.退職金制度 参照