〔04〕 役割等級制度-「大括り(ブロードバンド)」を原則とする

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● 「役割等級制度」における「期待役割」の2種類の捉え方
「役割」とは、つまり「職責+チャレンジ度」だと述べましたが、「役割等級制度」として実際に運用する際には、ここで言う「チャレンジ度」、言わば「期待役割」の捉え方に2種類あります。
1つは、「その役割につく者すべてに期待される役割」という意味で、この場合、「人」基準ではなく「仕事」基準・属職主義の考え方であり、「役割等級制度」のスタンダードな考え方です。
もう1つは、「その役割についた特定のある個人に期待される役割」という考え方で、この場合は属人基準なので、その役割についた「人」次第で役割基準が変動することになります。
 一般的には、前者のスタンダードな捉え方で運用すべきと考えます。後者の場合、組織改組などが行われなくても、人事異動さえあれば、その都度、等級基準を見直さなければならなくなる可能性があり、「結局のところすべて人基準ではないか」ということにもなりかねないからです。
何れの捉え方をするにしても、現状で職務価値に顕著な差が見出せない場合は、無理に等級を細分化するのではなく、役割等級数を少なくし大括り(ブロードバンディング)するのが望ましいと考えられます。ただし、ブロードバンディングされた大きな等級の中で、キャリアや業績の違いによって区分を設ける方法も考えられます(後述の「多段階洗い替え役割給」などはそれに近い考え方です)ので、後者の捉え方が全面的に否定されるものではありません。

● 「役割等級制度」に付随する問題とその解決
① 誰にも納得がいく職務の序列付けが困難
② 異動が上位方向に限定され、柔軟な異動が困難
③ 上位に空きポストがないと給与が上げ止まり、モラール維持が困難
以上の3つが、「役割等級制度」に付随する"困難"として考えられますが、①については等級の細分化が要因であることが多く、その場合は、ブロードバンディングすることで解決します。
②についても同様ですが、それでもやはり、配置転換になったことで役割等級が下がる、という事態は起こりえます。賃金面では激変緩和措置を講じるにしても、人事異動は経営事項であり、低い職位への異動も起こり得る、という割り切りを社内に定着させることも必要だと思います。
③については、後述する「範囲給」のレンジ幅、等級ごとのレンジの重なり具合の調整で、下位等級者でも評価次第で上位等級者の賃金水準に達するように設計する、または賞与に業績反映度を大きくする、など方法により、一定のモチベーション維持は可能になると思います。

● 「役割等級」設定の考え方
役割等級の設定は、役割内容の重要度、仕事の範囲や職責の大きさ、職務難易度、期待される成果などから決定し、現実に課せられている組織的な役割・機能のレベルに対応します。従って現行の職位(役職)制度と切り分けがほぼ一致するケースも当然でてきます。
等級区分は、全職群共通で定義する方法と、マネジメント職群・プロフェッショナル職群(スペシャリスト職群)・エキスパート職群・スタッフ職群などの職群別に定義する方法があります。
何れも「大括り(ブロードバンド)」を原則とし、等級の階層数は一般に4~8程度になります。

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